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交通事故の損害賠償金の相場

  • 文責:弁護士 上田佳孝
  • 最終更新日:2019年10月17日

1 損害賠償金として請求できるものと金額の相場

⑴ 一般的な交通事故の場合,損害賠償金として請求できる主なものとしては,①治療費,②通院のための交通費,③事故が原因で仕事を休んだ場合の休業損害,そして④慰謝料があります。

⑵ このうち,①治療費と②交通費は,実際にかかった費用がそのまま損害として扱われるケースがほとんどです。

③休業損害も,実際に休んだことで生じた減収分を休業損害証明書などで証明して請求しますが,実際に減額された給与分がそのまま損害として扱われるケースがほとんどです。

ただし,被害者の個別の事情によって結論がことなることも少なくありません。

⑶ 一方で,④慰謝料は,被害者の精神的な損害を賠償するものであるため,金銭的に評価することが難しいものです。

そこで,算定基準に基づいて,目安となる金額を機械的に計算したうえで,個別の事情を考慮して金額を決定するのが実務の一般的な取り扱いとなっています。

そのため,慰謝料については,ある程度算定基準に応じた相場というものが存在します。

2 慰謝料の算定基準と相場

慰謝料の算定基準には,大きく分けて①自賠責基準,②保険会社基準,③裁判所基準(弁護士基準)の3つがあります。

⑴ 自賠責基準

強制加入保険である,自賠責保険が定める算定基準です(参照:国土交通省・自動車総合安全情報・自賠責保険の限度額と保障内容)。

自賠責保険は,交通事故の被害者に最低限の賠償を確保するために設けられたものであり,支給金額も最低限の金額に設定されています。

ただし,多くの場合,保険会社はこれに従った慰謝料額を提示し,被害者がよくわからないまま合意しているという実情があり,事実上の相場として機能してしまっているといってよいでしょう。

⑵ 任意保険会社基準

任意保険会社が独自に定める算定基準です。

この基準は,各保険会社で異なることもあり,具体的な計算方法は通常外部には公開されていないことが多いです。

多くの場合で,自賠責基準と同等かやや高額に設定されていますが,多くの場合後述の裁判所基準よりは低額に抑えられた,中間的な基準となっています。

⑶ 裁判所基準

裁判所が判断した場合に認められるであろう算定基準です。

弁護士基準とも呼ばれます。

裁判所基準は,裁判を行った場合はこれくらいの慰謝料が認められるであろうという過去の裁判例を踏まえて設けられた基準です。

3つの基準の中で最も高額な算定基準であり,かつ,最も適切な金額を導き出すための基準といえ,この裁判基準で算定された金額こそが,慰謝料の適切な額ということができます。

⑷ 自賠責や保険会社の基準は裁判所基準よりかなり低いことが多い

ア 上述のとおり,裁判基準で計算された金額こそが,適切な慰謝料の額といえますが,自賠責や保険会社の基準で計算した金額は裁判所基準により計算された額と比べてかなり低額に抑えられていることが少なくありません。

イ たとえば,交通事故に遭い,6か月間(180日)のうち60日通院した場合を例に考えてみましょう。

ウ 裁判所基準では,原則として治療期間の長短で慰謝料の金額を算定します。

総治療期間6か月の場合,慰謝料の額は89万円程度となります。

エ 一方,自賠責基準で計算した場合,日額4200円に総治療期間もしくは実通院日数の2倍の少ない方を掛け合わせた金額が慰謝料となります。

上の例の場合ですと,総治療期間180日と実通院日数60日の2倍の120日の少ない方に4200円を掛け算するので,4200円×120日=50万4000円となります。

ただし,自賠責基準の場合,治療費や交通費,休業損害を含めて合計120万円の上限があります。

そのため,たとえば,治療費等が80万円かかっている場合,慰謝料は120万円から80万円を差し引いた40万円が上限となります。

オ 保険会社基準の場合,自賠責基準よりは高額なこともありますが,それでも裁判所基準よりは低額な金額にされていることが通常です。

カ このように,裁判所基準で算定しないと,適切な額から大きく下回る慰謝料し支払われず,適切な賠償を受けられないことがあります。

3 適切な額に満たない額の賠償金で示談しないよう弁護士に相談

交通事故の被害者が自ら交渉しても,保険会社は保険会社基準以上の金額を提示してくれることは少なく,裁判所基準で計算された額を下回る金額での示談を迫られてしまうことが少なくありません。

裁判所基準で計算された額に満たない額の賠償金で示談してしまうことを防ぐためには,弁護士に示談交渉を依頼して,裁判所基準でしっかりと交渉してもらうことが必要不可欠です。

交通事故の被害に遭い,適切な賠償金を受け取りたいと考えている方は,弁護士法人心名古屋駅法律事務所までご相談ください。

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