弁護士法人心大阪法律事務所開設2年

弁護士法人心大阪法律事務所が開設して2年が経ちました。

私は、事務所の開設に合わせて、名古屋から関西に戻ってきたのですが、この2年はあっという間でした。

この2年の間に弁護士法人心大阪法律事務所は、弁護士4名、パラリーガル8名の計12名体制となり、4名の弁護士は、借金問題、相続、刑事、交通事故とそれぞれの主な取扱い分野に違いがあり、良いバランスになっているのではないでしょうか。

 

 

弁護士法人心に所属するにあたって、関西から名古屋に引っ越したばかりの頃は、話せはイントネーションで関西出身であることにすぐに気付かれていました。

それが、名古屋で働くうちに関西のイントネーションがすっかり抜けてしまい、今では関西出身であることを指摘されることが少なくなりました。

関西に戻ってきて2年経ち、名古屋で働く前の関西のイントネーションに徐々に戻っていますが、まだ完全には戻ってません。

世の中には、イントネーションを使い分けられる人もいるようですが、私には難しいようです。

どのぐらいの期間をあと大阪で過ごせば関西のイントネーションに戻るのでしょうか、、、

 

 

関西のイントネーションに完全に戻れるようこれからも弁護士法人心大阪法律事務所が存続発展するよう頑張っていきたいと思います!

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民事訴訟手続きのオンライン化

令和5年3月1日から民事裁判でWeb会議を利用できる範囲が広がりました。

今までは、民事裁判におけるWeb会議は、当事者双方がWebで参加する場合には、法的には書面による準備手続であったため、準備書面の陳述や証拠調べなどを行うことができませんでした。

Web会議で弁論準備手続きを行うためには、当事者の一方が裁判所に実際に出頭しなければいけまでんでした。

 

令和5年3月1日以降は、当事者双方がともに裁判所に出頭しなくともWeb会議で弁論準備手続を実施できるようになりました。

また、和解期日にも当事者双方がWeb会議で参加することができるようになりました。

 

今回の改正で、当事者が遠隔地に居住していない場合でもWeb会議を利用して裁判手続きに参加できることも明確になりました。

弁護士が事務所などから弁論準備手続などに参加できる幅が広がったことは、裁判所までの移動時間を省くことができるため、業務の効率化につながりますし、移動時間を考慮すると期日の調整が先の日程にしか入らないといったことを防げます。

当事者双方がWebで参加するWeb会議で弁論準備手続や和解期日を実施できるようになったことは、良かったと思います。

 

労災部会

弁護士法人心では、取り扱っている分野ごとに部会があります。

私は、交通事故部会や労災部会などに入っています。

通勤中や仕事中に交通事故に遭った場合は、自賠責保険と労災保険の両方が関わってくるため両方の部会に入っていると労災保険と自賠責保険の両方をカバーできます。

 

先日の労災部会では、「心理的負荷による精神障害の認定基準」について取り扱われました。

私自身は、労災の中でも勤務中や通勤中に怪我をしたケースを扱うことが多く、業務中の心理的負荷により精神障害を発病したといった労災のケースはあまり扱ったことがありません。

そのため、先日の労災部会で心理的負荷による精神障害の認定基準や業務による心理的負荷の評価法について改めてしっかりと把握できたのは良かったです。

 

労災は、勤務中の事故で怪我をした場合や心理的負荷による精神障害以外にも、いわゆる職業病(腰痛、騒音性難聴、化学物質等による疾病)や過労死(脳・心臓疾患)など多岐に認定されます。

それぞれについて労災の認定基準は定められているため、どのような要件を充たしている場合に労災の認定を受けられるのか正確に把握し、労災について適切に対応できるようにしておきたいです。

判例・裁判例を調べる

交通事故で過失割合などについて争いになっている場合、別冊判例タイムズ38号で似た事故類型の過失割合を確認することに加えて、似た事故態様の裁判例がないか調べることがあります。

裁判例を調べるのは、別冊判例タイムズ38号だけでは、過失割合の検討に不十分であったり、裁判所の判断の傾向や類似の事故状況で依頼者に有利な判断をしている裁判例があれば、どのような理由付けで有利な判断がなされたのかを確認し、依頼者に何か有利な主張ができないか検討する際の参考にしたりするためです。

 

裁判例を調べる際は、判例検索サービスを利用しています。

弁護士法人心では、判例秘書、TKCローライブラリー、D1-LAW、westlawjapanなどの複数の判例検索サービスを利用できるようになっています。

それぞれの検索システムで掲載されている裁判例が異なることもあるため、一個の判例検索サービスだけではなく、他の判例検索サービスで似た事故態様の裁判例がないか調べることもあります。

 

交通事故の発生状況ごとに、過失割合は、ある程度類型化されていますが、個別具体的な事故について、事案に即した主張を行うためには、裁判例の調査も重要となります。

大阪で交通事故で弁護士をお探しの方はこちらをご覧ください。

交通事故の慰謝料の算定基準

交通事故でケガをし、治療を受けた場合、加害者側から慰謝料の賠償を受けることができます。

慰謝料は、実務上、通院期間、ケガの程度などを慰謝料算定基準にあてはめて目安金額を算定しています。

慰謝算定基準として良く利用されている基準に、赤い本(民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準)、緑本(大阪地裁における交通損害賠償の算定基準)に掲載されいる基準などがあります。

赤い本は、日弁連交通事故相談センター東京支部が作成しているものであり、緑本は、大阪地裁民事交通訴訟研究会が作成しているものになります。

赤い本の算定基準と緑本の算定基準は異なる部分もあるため、同じ通院期間とケガの程度であったとしてもどの算定基準が採用されるかによって慰謝料の目安金額が異なる場合があります。

大阪では、緑本の基準で慰謝料が算定されることが多く、むち打ちで3か月通院した場合の慰謝料の目安は、赤い本だと53万円ですが、緑本だと48万円程度となります。

賠償額の算定基準が被害者相互間の平等を保つために設けられた趣旨からすると地域によって、慰謝料の目安額が異なる合理的な理由はないように思いますが、地域により採用されている基準が異なっているのが実情となっています。

刑事記録について

交通事故の発生状況に争いがある場合、入手する資料として刑事記録があります。

刑事記録は、捜査中は入手することができませんが、不起訴か起訴かが決まれば、23条照会(弁護士照会)などで入手することができます。

 

民事事件において、入手できる刑事記録の範囲は、不起訴か起訴事件かで異なります。

起訴事件であれば、実況見分調書に加えて、供述調書なども入手できますが、不起訴事件であれば、基本的には、実況見分調書しか入手することはできません(人身事故に切り換えを行っていない場合は、実況見分調書ではなく物件事故報告書が作成されているため、入手できる刑事記録は、実況見分調書ではなく物件事故報告書になります。物件事故報告書は、実況見分調書に比べると事故発生時の状況について詳しく記載されていないため、事故状況を確認する資料としてはあまり役に立たないことが多いです。)。

 

不起訴事件の場合は、基本的には、実況見分調書しか入手できませんが、例外的に民事裁判所から特定の者の供述調書について文書送付嘱託がなされ、かつ、以下の要件を充たす場合は、通達により入手できるとされています。

1 供述調書の内容が、民事裁判の結論を直接左右する重要な争点に関するものであって、かつ、その争点に関するほぼ唯一の証拠である等その証明に欠くことができない場合であること

2 供述者が死亡、所在不明、心身の故障若しくは深刻な記憶喪失等により、民事裁判においてその供述を顕出することができない場合、又は当該供述調書の内容が供述者の民事裁判所における証言内容と実質的に相反する場合であること

3 当該供述調書を開示することによって、捜査・公判への具体的な支障又は関係者の生命・身体の安全を侵害するおそれがなく、かつ、関係者の名誉・プライバシーを侵害するおそれがあるとは認められない場合であること

 

起訴事件か不起訴事件かや人身事故扱いか物件事故扱いかで入手できる刑事記録は異なるため注意が必要です。

 

過失相殺について

交通事故の賠償請求時に、当事者の過失相殺が問題となることがあります。

交通事故被害者は、被害者側にも交通事故の発生について過失があるときは、加害者からは、発生した損害から自身の過失分を差し引いた額しか賠償を受けることができません。

例えば、交通事故により100万円の損害が発生した場合、交通事故の発生について自身に30%の過失がある場合は、交通事故の相手方からは、70万円の賠償しか受けることはできません。

 

交通事故の賠償において過失相殺は、交通事故から発生した損害について、相手方にどの程度負担させるのが「公平」であるのかといった視点で問題とされます。

この点、過失相殺の考え方には、被害者と加害者の事故発生に対する責任(過失)の対比により判断しようとする考え方(相対説)と被害者と加害者の対比ではなく被害者の過失の大小のみを考慮して過失相殺を判断しようとする考え方(絶対説)があります。

相対説の立場に立てば、四輪車と歩行者の間で発生した交通事故について歩行者に4割の過失がある場合には、歩行者が賠償請求する際は4割の過失相殺がなされ、四輪車が損害賠償請求する際は6割の過失相殺がなされますが、絶対説の立場に立てば、歩行者に4割の過失があったとしても四輪車が損害賠償請求する場合に直ちに過失相殺率は6割と決まらないことになります。

 

交通事故の過失相殺は、概ね相対説の立場に立っていると考えられていますが、交通事故の過失相殺を検討する際に実務上利用されている別冊判例タイムズ38号「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」では、歩行者といった弱者と四輪車の間での交通事故の場合は、歩行者の損害について3割の過失相殺がなされた場合に、四輪車の損害について7割の過失相殺率が直ちに妥当するわけではないとしています。

 

過失相殺率をどのように検討するかは、具体的な事故発生状況によっても異なるため、弁護士としては、交通事故被害者の方に適切な賠償を受けてもらえるようしっかりと検討してきたいと思います。

 

最高裁令和4年3月24日判決

交通事故において、自身が契約する人身傷害保険会社から先に保険金を受領した場合、当該保険金を支払った人身傷害保険会社は、交通事故の相手方が加入する自賠責保険に対し求償し、自社が支払った保険金相当額を回収します。

人身傷害保険会社が交通事故の相手方の自賠責保険から受領した自賠責保険金は、交通事故の相手方が負担すべき損害賠償額から控除されるのかという争点について、交通事故の相手方が負担すべき損害賠償額から、人身傷害保険会社が保険金の支払により保険代位することができる範囲を超えて自賠責保険金に相当する額を控除することはできないというべきであるとの最高裁で判決が出ました。

最高裁令和4年3月24日判決は、人身傷害保険の具体的な約款の文言を解釈して判断を示しているため、今後の全てのケースにあてはまるわけではありませんが、人身傷害保険会社の求償の範囲と自賠責保険の問題について、交通事故被害者に寄り添った最高裁の考え方が示されて良かったです。

交通事故には様々は保険の種類が登場し、保険会社等によっても約款の文言が異なる場合もあります。

控除について適切に算定しないと交通事故被害者の方が不利益を被ることになるため気を付けていきたいです。

詳しくは弁護士法人心へご相談ください。

交通事故での健康保険の利用

交通事故で怪我をしたときは、病院で治療を受ける際に健康保険は利用できないと思っている方がいますが、加入している健康保険組合などに「第三者行為による傷病届」を提出するのであれば、交通事故でも健康保険を利用して治療を受けることができます。

 

ただし、交通事故の被害者は、交通事故の相手方から治療費の賠償を受けられるため、あえて健康保険を利用する必要性は乏しいです。

骨折後などに長期のリハビリが必要な場合、健康保険を利用していると手術をした日を起算日として150日で健康保険上の標準的算定日数の上限に達したとしてリハビリが打ち切られてしまうことがあるため(医師が150日以降も状態の改善が期待できると医学的に判断する場合は、リハビリの継続は可能です)、健康保険の利用は慎重に判断する必要があります。

交通事故被害者の方が健康保険を利用した方が良いケースは、交通事故被害者の方にも交通事故発生に関する過失がある場合です。

過失がある場合は、発生した治療費のうち交通事故被害者自身の過失分は被害者自身の自己負担となるため(自賠責保険の120万円の範囲内であれば自己負担とならないケースもあります。)、健康保険を利用せずに自由診療で治療を受けると自己負担額が多くなり、交通事故の相手方から賠償される慰謝料などからの精算額が多くなり、受け取れる賠償額が減ってしまうことがあるためです。

 

保険会社から健康保険の利用を打診され、利用して良いか迷う場合は、弁護士までご相談ください。

なお、通勤途中や勤務中の交通事故の場合は、利用できる社会保険は、労災保険となり、健康保険は利用できませんので、保険会社から健康保険の利用を打診されても誤って健康保険を利用しないよう注意する必要があります。

評価損について

新車で交通事故に遭った場合、車両の機能や外観が修理により元通りになったとしても、事故歴により車の価値が下落した分も損害として賠償してもらいたいと考えることが多いと思います。

上記のような損害は、一般的に「評価損」と呼ばれています。

 

評価損は、交換価値の下落がある場合に認められるため、裁判所の判断の傾向としては、①車両の骨格部分に損傷が及んでいる、②初年度登録からあまり時間が経過していない、⓷走行距離が長くない場合に評価損を認めています。

損傷が骨格部分に及んでいる場合や初年度登録からの時間が経過していない場合は、評価損の請求を検討する必要があります。

なお、評価損の算定は、事故発生直前の車両時価額と修理後の車両時価額の差額を算定できれば一番ですが、当該車両の事故発生直前や修理後の時価額を立証することは困難なため、裁判所では、修理費を基準として評価損が認定している例が多くみられ、おおむね修理費の10パーセントから40パーセントといった評価損を認めています。

 

新車で交通事故に遭い、機能や外観は元通りになったものの、それだけでは納得がいかない場合は、「評価損」を請求できる可能性があります。

ぜひ、弁護士に相談してみてください。

後遺障害等級認定に関する研修②

事務所内で交通事故を担当している弁護士・スタッフ向けに後遺障害等級14級9号に関する研修が再びありました。

今回の研修の講師は、損害保険料率算出機構の元職員ではなく、自賠責調査事務所の職員として実際の認定業務に携わり、後遺障害等級認定業務の豊富な経験を有する当法人の後遺障害申請専任スタッフが担当しました。

 

後遺障害等級認定の申請について、資料を受け取った自賠責調査事務所の担当者は、どのような点に着目して提出された資料を確認しているかなど貴重な話が聞け、とてもためになりました。

加えて、捻挫・打撲による痛みなどの症状が将来的に回復困難な後遺障害といえる状態に至っているかの判断との関係で、治療中に症状の改善傾向がみられたことを自賠責調査事務所の担当者としてどのように捉えているかなどについて興味深い話が聞けて良かったです。

今後の後遺障害等級認定のサポートに活かしていきたいと思います。

 

後遺障害等級認定の研修は、この後も、定期的に開催が予定されています。

後遺障害等級認定業務に携わっていた損害保険料率機構や自賠責調査事務所の元職員から様々な話を詳しく聞ける貴重な機会のため、今後の研修の内容も楽しみです。

労災保険と確定遅延損害金

交通事故に遭った場合、交通事故の被害者は加害者に対し、不法行為による損害賠償請求を行うことができます。

加害者が負う損害賠償債務は、不法行為の時に発生し、かつ、何らの催告を要することなく遅滞に陥るものと解されています(最判昭和37年9月4日判決)。

そのため、不法行為の時から遅延損害金は発生します。

 

他方で、仕事中や通勤中に事故に遭い、労災保険から治療費、休業損害、障害(補償)給付などの支給を受けた場合、上記不法行為の時から労災保険から保険金が給付されるまでの間の遅延損害金は原則発生しないと考えられています(最判平成22年9月13日判決)。

労災保険から保険金が給付されるまでの間の遅延損害金が発生しないと考えられる理由は、「被害者が不法行為によって傷害を受け、その後に後遺障害が残った場合においては、不法行為の時から相当な時間が経過した後に現実化する損害につき、不確実、不確定な要素に関する蓋然性に基づく将来予測や擬制の下に、不法行為の時におけるその額を算定せざるを得ない。その額の算定に当たっては、一般に、不法行為の時から損害が現実化する時までの間の中間利息が必ずしも厳密に控除されるわけではないこと、上記の場合に支給される労災保険法に基づく各種保険給付や公的年金制度に基づく各種年金給付は、それぞれの制度の趣旨目的に従い、特定の損害について必要額をてん補するために、てん補の対象となる損害が現実化する都度ないし現実化するのに対応して定期的に支給されることが予定されていることなどを考慮すると、制度の予定するところと異なってその支給が著しく遅滞するなどの特段の事情のない限り、これらが支給され、又は支給されることが確定することにより、そのてん補の対象となる損害は不法行為の時にてん補されたものと法的に評価して損益相殺的な調整をすることが,公平の見地からみて相当というべきである。」とされています。

 

上記のように労災保険と自賠責保険のどちらから支払いを受けているかで、確定遅延損害金が発生するか否かの判断が異なります。

それ以外にも各種保険から給付を受けている場合、充当関係、損益相殺などの判断がそれぞれの保険で異なることが多いため、賠償請求時には誤らないよう弁護士として注意していきたいです。

後遺障害等級認定に関する研修

先日、事務所内で交通事故を担当している弁護士・スタッフ向けに後遺障害等級14級9号に関する研修がありました。

研修の講師は、「損害保険料率算出機構」において15年間も後遺障害の認定業務に関わり、豊富な経験と知識を有する当法人の後遺障害申請専任スタッフが担当しました。

 

後遺障害等級14級9号は、捻挫・打撲などの傷害を負い、痛みや痺れといった神経症状が残存した場合に認定される後遺障害等級になります。

捻挫・打撲による痛みなどの症状は、客観的に数値化できず、また、症状の原因を検査結果により明らかになることが難しいため、交通事故被害者の方は、痛みや痺れの症状について適切に評価を受け、後遺障害等級認定を得られないことがあります。

交通事故被害者の方が、適切な評価を受けるためには、後遺障害等級認定の申請時に誤った評価を受けないようしっかりとしたサポートが必要となります。

 

今回の研修で、後遺障害等級認定を得る可能性を検討する上での重要なポイントやサポート時に気を付ける点などを学べて良かったです。

交通事故に遭われた方が、治療を受けることで完治し、事故前の状態に戻れることが一番ですが、治療を受けてもどうしても症状が残ってしまう場合もあります。

そのような場合に、交通事故被害者の方の身体の症状を改善させることはできませんが、適切な後遺障害等級認定を得ていただき、金銭面だけでも適切な賠償を受け取っていただけるようしっかりとサポートできればと考えています。

人身事故扱いとは

交通事故に遭いケガをした方から、「人身事故扱いにした方が良いのでしょうか。」といった相談を受けることがあります。

 

交通事故により人的損害が発生した場合、警察に診断書を提出すると「物損事故」から「人身事故」扱いに代わり、交通事故証明書にも人身事故と記載されます。

「人身事故」扱いにするかどうかで、加害者が刑事処分や行政処分を受けるかどうかに違いが生じます。

そのため、生じている人的損害を踏まえて、刑事処分や行政処分を判断してもらいたい場合は、「人身事故」扱いに代えた方が良いです。

また、人身事故扱いにすると警察で実況見分調書が作成され、当事者間で事故状況等に争いがある場合などに、事故状況を立証するための資料として利用できることもあります。

 

民事上の損害賠償請求に関しては、「物損事故」か「人身事故」扱いかで形式的な賠償額の算定基準などに差は生じません。

警察に診断書を提出しているか否かで、交通事故被害者の方がケガをしているかどうかや負ったケガの程度に違いが生じるわけではないためです。

慰謝料の目安額などは、「物損事故」でも「人身事故」扱いでも負っている怪我の程度や治療内容が同じであれば、原則同じです。

ただ、「人身事故」扱いにしていないと、なぜ人身事故扱いにしていないのかという理由を記載した「人身事故証明書入手不能理由書」を自賠責保険へ後遺障害等級認定の申請などをする場合には提出する必要があります。

また、事実上、「人身事故」扱いにしていないのは、ケガの程度が軽微だったからではないかと思われる可能性もあるため、「人身事故」扱いにしない理由がないのであれば、「人身事故」扱いにしておいた方が良いと思います。

交通事故に関する相談は、ぜひ弁護士法人心へお問合せください。

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メガネは物的損害か?

交通事故に遭ったとき,怪我を負うとともに服や眼鏡など身につけていた物が毀損することがあります。

身につけていた物が自賠責法上の「人損」に該当すれば,自賠責保険から支払いを受けることはできるため,身につけていたものが自賠責法上の「人身」に該当するかが問題となるケースがあります。

この点,自賠責保険では,眼鏡,義足,補聴器などについては,日常生活に必要不可欠なものとして身体に密着させているものは「人損」に該当するとみなされています。

つまり,自賠責保険では,メガネは「人損」として扱われています。

 

そのため,例えば,交通事故でメガネが毀損し,新しくメガネを購入した場合は,メガネの購入費用が5万円以内で,かつ,自賠責保険の上限額の範囲内であれば,自賠責保険から支払いを受けることができます。

他方で,指輪やネックレスなど身体に密着させていますが,日常生活において必要不可欠なものとはいえないため,「人損」には該当しないとされています。

 

身につけていた物が「人損」に該当すれば,自賠責保険に請求することで,自賠責保険の枠内であれば,自身にも事故発生について多少過失があったとしても,過失分が差し引かれることなく購入費用や修理費相当額の支払を受けられる可能性があります。

詳しく相談されたい方は,弁護士法人心へお問合せください。

労働能力喪失期間(12級13号)

交通事故で負った怪我により神経症状が残存してしまった場合,同症状について後遺障害等級12級13号が認定されることがあります。

後遺障害について等級が認定された場合,原則,症状固定時から67歳までの期間が労働能力喪失期間と判断されますが,神経症状について後遺障害等級認定を得ている場合,裁判所は,12級で10年程度,14級で5年程度に労働能力喪失期間を制限して認定することが多いです。

なぜ,神経症状に関する後遺障害の場合は,労働能力喪失期間が制限して認定されることが多いのでしょうか。

これは,神経症状については,不可逆的・永続的に残存するかは確定的でなく,それが軽快する可能性も否定できない,又は,症状に対する慣れといった要素から労働能力への影響は次第に減少する可能性があると判断されることがあるためです。

 

ただ,神経症状について,症状固定後に改善傾向が認められる場合は別として,他覚所見があり,かつ,全く改善傾向が認められない場合に労働能力喪失期間を制限する合理的根拠はあるのでしょうか。

神経症状に関する後遺障害だからといって安易に労働能力喪失期間を制限することは合理的ではなく,後遺障害の程度,加齢による後遺障害への将来的な影響,年齢,職業などを総合的に勘案して,労働能力喪失期間が制限されるべきか慎重に判断される必要があるのではないかと考えます。

詳しくは弁護士にご相談ください。

交通事故と医療過誤が競合する場合

交通事故の被害者が病院で治療を受けた中で医療過誤に遭ったことで治療が長期化するなどして治療費などの損害が拡大した場合,当該被害者は誰にどのような賠償を求めることができるのか疑問に思われる方もいるかと思います。

 

上記疑問に対して参考となるのが,最高裁平成13年3月13日判決です。

同最高裁判決は,交通事故により,放置すれば死亡するに至る傷害を負ったものの,適切な治療が施されていれば,高度の蓋然性をもった救命ができたものの,医療過誤により被害者が死亡したという事案について,交通事故と医療事故とのいずれもが,被害者の死亡という不可分の一個の結果を招来し,この結果について相当因果関係を有する関係にあるとし,交通事故と医療事故における医療行為とは共同不法にあたると判示しました。

つまり,被害者は,交通事故の加害者に対して,又は,医療事故における医療行為を行った医師に対して自身の被った損害の全額を賠償請求できるとし,交通事故と医療過誤の結果への寄与度により,被害者の賠償請求額を限定することは許されないと判断しました。

ただし,同判決は,交通事故と医療過誤の結果が一致する類型であるため,交通事故で軽傷を負った被害者が医療過誤で死亡した場合などに共同不法行為が成立するとまでは判断していないため,結果が不一致の場合に共同不法行為が成立するか否かはまた別途検討が必要と考えられています。

新スタッフ加入

9月から新たに2人のスタッフが弁護士法人心大阪事務所に加入してくれました。

5月に弁護士法人心大阪事務所を開設し,やっとパラリーガルなどのスタッフも充実してきました。

弁護士法人心では,現在,ZOOMでの交通事故勉強会なども随時開催しておりますので,さらに交通事故に遭われた被害者のために頑張っていきたいと思います。

 

 

損害額算定基準

交通事故の賠償金額を検討する際は「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準(赤本)」「交通事故損害額算定基準ー実務運用と解説ー(青本)」「大阪地裁における交通損害賠償の算定基準(緑本)」といった本に載っている基準を参考にすることが多いです。

 

例えば,交通事故で首に軽い捻挫を負った場合に,3か月間通院したときの傷害慰謝料の目安額は,赤本だと53万円、青本だと46万円、緑本だと48万円になります。

同じ怪我をして,同じ期間通院した場合でもどの基準を参考にするかで傷害慰謝料の目安額に差が生じます。

 

弁護士としては,交通事故被害者の方に適切な賠償金をお受け取りいただけるよう努めたいと思います。

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障害(基礎・厚生)年金と損益相殺

交通事故により,重度の障害を負った場合,要件を満たしていれば,ご加入の年金(国民年金・厚生年金)から,障害の程度に応じて,年6回,障害年金の給付を受けることができます。

障害(基礎・厚生)年金の受給可能性があるような重度の障害を負った場合は,障害年金の請求を検討する必要があります。

障害年金の申請は,社会保険労務士などが対応していることが多いですが,弁護士法人心では,障害年金の請求にも対応しておりますので,障害年金の請求を考えておられる方はお気軽にご相談ください。

 

ただ,障害年金と交通事故の加害者からの賠償金は2重で受け取れるわけではありません。

調整がなされます。

例えば,先に加害者から賠償金を受け取っている場合は,一定期間(上限36か月)障害年金の支給は停止されます。

また,先に障害年金の支給を受け取ている場合は,現実に既に支給されている障害年金額及び支給が確定している未給付の障害年金額は,加害者からの賠償金から差し引くとの損益相殺が行われます。

 

交通事故で重い障害を負った場合,加害者からの賠償金以外にも公的制度等を利用することで負担を軽減できることがあります。

ただ,各種制度からの給付金と加害者からの賠償金との調整をどのように行うかは,給付金の性質により異なります。

私は,主に加害者に関する賠償請求を受任し,対応することが多いですが,障害年金などの公的制度についても理解を深めていきたいです。