交通事故での健康保険の利用

交通事故で怪我をしたときは、病院で治療を受ける際に健康保険は利用できないと思っている方がいますが、加入している健康保険組合などに「第三者行為による傷病届」を提出するのであれば、交通事故でも健康保険を利用して治療を受けることができます。

 

ただし、交通事故の被害者は、交通事故の相手方から治療費の賠償を受けられるため、あえて健康保険を利用する必要性は乏しいです。

骨折後などに長期のリハビリが必要な場合、健康保険を利用していると手術をした日を起算日として150日で健康保険上の標準的算定日数の上限に達したとしてリハビリが打ち切られてしまうことがあるため(医師が150日以降も状態の改善が期待できると医学的に判断する場合は、リハビリの継続は可能です)、健康保険の利用は慎重に判断する必要があります。

交通事故被害者の方が健康保険を利用した方が良いケースは、交通事故被害者の方にも交通事故発生に関する過失がある場合です。

過失がある場合は、発生した治療費のうち交通事故被害者自身の過失分は被害者自身の自己負担となるため(自賠責保険の120万円の範囲内であれば自己負担とならないケースもあります。)、健康保険を利用せずに自由診療で治療を受けると自己負担額が多くなり、交通事故の相手方から賠償される慰謝料などからの精算額が多くなり、受け取れる賠償額が減ってしまうことがあるためです。

 

保険会社から健康保険の利用を打診され、利用して良いか迷う場合は、弁護士までご相談ください。

なお、通勤途中や勤務中の交通事故の場合は、利用できる社会保険は、労災保険となり、健康保険は利用できませんので、保険会社から健康保険の利用を打診されても誤って健康保険を利用しないよう注意する必要があります。

評価損について

新車で交通事故に遭った場合、車両の機能や外観が修理により元通りになったとしても、事故歴により車の価値が下落した分も損害として賠償してもらいたいと考えることが多いと思います。

上記のような損害は、一般的に「評価損」と呼ばれています。

 

評価損は、交換価値の下落がある場合に認められるため、裁判所の判断の傾向としては、①車両の骨格部分に損傷が及んでいる、②初年度登録からあまり時間が経過していない、⓷走行距離が長くない場合に評価損を認めています。

損傷が骨格部分に及んでいる場合や初年度登録からの時間が経過していない場合は、評価損の請求を検討する必要があります。

なお、評価損の算定は、事故発生直前の車両時価額と修理後の車両時価額の差額を算定できれば一番ですが、当該車両の事故発生直前や修理後の時価額を立証することは困難なため、裁判所では、修理費を基準として評価損が認定している例が多くみられ、おおむね修理費の10パーセントから40パーセントといった評価損を認めています。

 

新車で交通事故に遭い、機能や外観は元通りになったものの、それだけでは納得がいかない場合は、「評価損」を請求できる可能性があります。

ぜひ、弁護士に相談してみてください。

後遺障害等級認定に関する研修②

事務所内で交通事故を担当している弁護士・スタッフ向けに後遺障害等級14級9号に関する研修が再びありました。

今回の研修の講師は、損害保険料率算出機構の元職員ではなく、自賠責調査事務所の職員として実際の認定業務に携わり、後遺障害等級認定業務の豊富な経験を有する当法人の後遺障害申請専任スタッフが担当しました。

 

後遺障害等級認定の申請について、資料を受け取った自賠責調査事務所の担当者は、どのような点に着目して提出された資料を確認しているかなど貴重な話が聞け、とてもためになりました。

加えて、捻挫・打撲による痛みなどの症状が将来的に回復困難な後遺障害といえる状態に至っているかの判断との関係で、治療中に症状の改善傾向がみられたことを自賠責調査事務所の担当者としてどのように捉えているかなどについて興味深い話が聞けて良かったです。

今後の後遺障害等級認定のサポートに活かしていきたいと思います。

 

後遺障害等級認定の研修は、この後も、定期的に開催が予定されています。

後遺障害等級認定業務に携わっていた損害保険料率機構や自賠責調査事務所の元職員から様々な話を詳しく聞ける貴重な機会のため、今後の研修の内容も楽しみです。

労災保険と確定遅延損害金

交通事故に遭った場合、交通事故の被害者は加害者に対し、不法行為による損害賠償請求を行うことができます。

加害者が負う損害賠償債務は、不法行為の時に発生し、かつ、何らの催告を要することなく遅滞に陥るものと解されています(最判昭和37年9月4日判決)。

そのため、不法行為の時から遅延損害金は発生します。

 

他方で、仕事中や通勤中に事故に遭い、労災保険から治療費、休業損害、障害(補償)給付などの支給を受けた場合、上記不法行為の時から労災保険から保険金が給付されるまでの間の遅延損害金は原則発生しないと考えられています(最判平成22年9月13日判決)。

労災保険から保険金が給付されるまでの間の遅延損害金が発生しないと考えられる理由は、「被害者が不法行為によって傷害を受け、その後に後遺障害が残った場合においては、不法行為の時から相当な時間が経過した後に現実化する損害につき、不確実、不確定な要素に関する蓋然性に基づく将来予測や擬制の下に、不法行為の時におけるその額を算定せざるを得ない。その額の算定に当たっては、一般に、不法行為の時から損害が現実化する時までの間の中間利息が必ずしも厳密に控除されるわけではないこと、上記の場合に支給される労災保険法に基づく各種保険給付や公的年金制度に基づく各種年金給付は、それぞれの制度の趣旨目的に従い、特定の損害について必要額をてん補するために、てん補の対象となる損害が現実化する都度ないし現実化するのに対応して定期的に支給されることが予定されていることなどを考慮すると、制度の予定するところと異なってその支給が著しく遅滞するなどの特段の事情のない限り、これらが支給され、又は支給されることが確定することにより、そのてん補の対象となる損害は不法行為の時にてん補されたものと法的に評価して損益相殺的な調整をすることが,公平の見地からみて相当というべきである。」とされています。

 

上記のように労災保険と自賠責保険のどちらから支払いを受けているかで、確定遅延損害金が発生するか否かの判断が異なります。

それ以外にも各種保険から給付を受けている場合、充当関係、損益相殺などの判断がそれぞれの保険で異なることが多いため、賠償請求時には誤らないよう弁護士として注意していきたいです。

後遺障害等級認定に関する研修

先日、事務所内で交通事故を担当している弁護士・スタッフ向けに後遺障害等級14級9号に関する研修がありました。

研修の講師は、「損害保険料率算出機構」において15年間も後遺障害の認定業務に関わり、豊富な経験と知識を有する当法人の後遺障害申請専任スタッフが担当しました。

 

後遺障害等級14級9号は、捻挫・打撲などの傷害を負い、痛みや痺れといった神経症状が残存した場合に認定される後遺障害等級になります。

捻挫・打撲による痛みなどの症状は、客観的に数値化できず、また、症状の原因を検査結果により明らかになることが難しいため、交通事故被害者の方は、痛みや痺れの症状について適切に評価を受け、後遺障害等級認定を得られないことがあります。

交通事故被害者の方が、適切な評価を受けるためには、後遺障害等級認定の申請時に誤った評価を受けないようしっかりとしたサポートが必要となります。

 

今回の研修で、後遺障害等級認定を得る可能性を検討する上での重要なポイントやサポート時に気を付ける点などを学べて良かったです。

交通事故に遭われた方が、治療を受けることで完治し、事故前の状態に戻れることが一番ですが、治療を受けてもどうしても症状が残ってしまう場合もあります。

そのような場合に、交通事故被害者の方の身体の症状を改善させることはできませんが、適切な後遺障害等級認定を得ていただき、金銭面だけでも適切な賠償を受け取っていただけるようしっかりとサポートできればと考えています。

人身事故扱いとは

交通事故に遭いケガをした方から、「人身事故扱いにした方が良いのでしょうか。」といった相談を受けることがあります。

 

交通事故により人的損害が発生した場合、警察に診断書を提出すると「物損事故」から「人身事故」扱いに代わり、交通事故証明書にも人身事故と記載されます。

「人身事故」扱いにするかどうかで、加害者が刑事処分や行政処分を受けるかどうかに違いが生じます。

そのため、生じている人的損害を踏まえて、刑事処分や行政処分を判断してもらいたい場合は、「人身事故」扱いに代えた方が良いです。

また、人身事故扱いにすると警察で実況見分調書が作成され、当事者間で事故状況等に争いがある場合などに、事故状況を立証するための資料として利用できることもあります。

 

民事上の損害賠償請求に関しては、「物損事故」か「人身事故」扱いかで形式的な賠償額の算定基準などに差は生じません。

警察に診断書を提出しているか否かで、交通事故被害者の方がケガをしているかどうかや負ったケガの程度に違いが生じるわけではないためです。

慰謝料の目安額などは、「物損事故」でも「人身事故」扱いでも負っている怪我の程度や治療内容が同じであれば、原則同じです。

ただ、「人身事故」扱いにしていないと、なぜ人身事故扱いにしていないのかという理由を記載した「人身事故証明書入手不能理由書」を自賠責保険へ後遺障害等級認定の申請などをする場合には提出する必要があります。

また、事実上、「人身事故」扱いにしていないのは、ケガの程度が軽微だったからではないかと思われる可能性もあるため、「人身事故」扱いにしない理由がないのであれば、「人身事故」扱いにしておいた方が良いと思います。

交通事故に関する相談は、ぜひ弁護士法人心へお問合せください。

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メガネは物的損害か?

交通事故に遭ったとき,怪我を負うとともに服や眼鏡など身につけていた物が毀損することがあります。

身につけていた物が自賠責法上の「人損」に該当すれば,自賠責保険から支払いを受けることはできるため,身につけていたものが自賠責法上の「人身」に該当するかが問題となるケースがあります。

この点,自賠責保険では,眼鏡,義足,補聴器などについては,日常生活に必要不可欠なものとして身体に密着させているものは「人損」に該当するとみなされています。

つまり,自賠責保険では,メガネは「人損」として扱われています。

 

そのため,例えば,交通事故でメガネが毀損し,新しくメガネを購入した場合は,メガネの購入費用が5万円以内で,かつ,自賠責保険の上限額の範囲内であれば,自賠責保険から支払いを受けることができます。

他方で,指輪やネックレスなど身体に密着させていますが,日常生活において必要不可欠なものとはいえないため,「人損」には該当しないとされています。

 

身につけていた物が「人損」に該当すれば,自賠責保険に請求することで,自賠責保険の枠内であれば,自身にも事故発生について多少過失があったとしても,過失分が差し引かれることなく購入費用や修理費相当額の支払を受けられる可能性があります。

詳しく相談されたい方は,弁護士法人心へお問合せください。

労働能力喪失期間(12級13号)

交通事故で負った怪我により神経症状が残存してしまった場合,同症状について後遺障害等級12級13号が認定されることがあります。

後遺障害について等級が認定された場合,原則,症状固定時から67歳までの期間が労働能力喪失期間と判断されますが,神経症状について後遺障害等級認定を得ている場合,裁判所は,12級で10年程度,14級で5年程度に労働能力喪失期間を制限して認定することが多いです。

なぜ,神経症状に関する後遺障害の場合は,労働能力喪失期間が制限して認定されることが多いのでしょうか。

これは,神経症状については,不可逆的・永続的に残存するかは確定的でなく,それが軽快する可能性も否定できない,又は,症状に対する慣れといった要素から労働能力への影響は次第に減少する可能性があると判断されることがあるためです。

 

ただ,神経症状について,症状固定後に改善傾向が認められる場合は別として,他覚所見があり,かつ,全く改善傾向が認められない場合に労働能力喪失期間を制限する合理的根拠はあるのでしょうか。

神経症状に関する後遺障害だからといって安易に労働能力喪失期間を制限することは合理的ではなく,後遺障害の程度,加齢による後遺障害への将来的な影響,年齢,職業などを総合的に勘案して,労働能力喪失期間が制限されるべきか慎重に判断される必要があるのではないかと考えます。

詳しくは弁護士にご相談ください。

交通事故と医療過誤が競合する場合

交通事故の被害者が病院で治療を受けた中で医療過誤に遭ったことで治療が長期化するなどして治療費などの損害が拡大した場合,当該被害者は誰にどのような賠償を求めることができるのか疑問に思われる方もいるかと思います。

 

上記疑問に対して参考となるのが,最高裁平成13年3月13日判決です。

同最高裁判決は,交通事故により,放置すれば死亡するに至る傷害を負ったものの,適切な治療が施されていれば,高度の蓋然性をもった救命ができたものの,医療過誤により被害者が死亡したという事案について,交通事故と医療事故とのいずれもが,被害者の死亡という不可分の一個の結果を招来し,この結果について相当因果関係を有する関係にあるとし,交通事故と医療事故における医療行為とは共同不法にあたると判示しました。

つまり,被害者は,交通事故の加害者に対して,又は,医療事故における医療行為を行った医師に対して自身の被った損害の全額を賠償請求できるとし,交通事故と医療過誤の結果への寄与度により,被害者の賠償請求額を限定することは許されないと判断しました。

ただし,同判決は,交通事故と医療過誤の結果が一致する類型であるため,交通事故で軽傷を負った被害者が医療過誤で死亡した場合などに共同不法行為が成立するとまでは判断していないため,結果が不一致の場合に共同不法行為が成立するか否かはまた別途検討が必要と考えられています。

新スタッフ加入

9月から新たに2人のスタッフが弁護士法人心大阪事務所に加入してくれました。

5月に弁護士法人心大阪事務所を開設し,やっとパラリーガルなどのスタッフも充実してきました。

弁護士法人心では,現在,ZOOMでの交通事故勉強会なども随時開催しておりますので,さらに交通事故に遭われた被害者のために頑張っていきたいと思います。

 

 

損害額算定基準

交通事故の賠償金額を検討する際は「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準(赤本)」「交通事故損害額算定基準ー実務運用と解説ー(青本)」「大阪地裁における交通損害賠償の算定基準(緑本)」といった本に載っている基準を参考にすることが多いです。

 

例えば,交通事故で首に軽い捻挫を負った場合に,3か月間通院したときの傷害慰謝料の目安額は,赤本だと53万円、青本だと46万円、緑本だと48万円になります。

同じ怪我をして,同じ期間通院した場合でもどの基準を参考にするかで傷害慰謝料の目安額に差が生じます。

 

弁護士としては,交通事故被害者の方に適切な賠償金をお受け取りいただけるよう努めたいと思います。

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障害(基礎・厚生)年金と損益相殺

交通事故により,重度の障害を負った場合,要件を満たしていれば,ご加入の年金(国民年金・厚生年金)から,障害の程度に応じて,年6回,障害年金の給付を受けることができます。

障害(基礎・厚生)年金の受給可能性があるような重度の障害を負った場合は,障害年金の請求を検討する必要があります。

障害年金の申請は,社会保険労務士などが対応していることが多いですが,弁護士法人心では,障害年金の請求にも対応しておりますので,障害年金の請求を考えておられる方はお気軽にご相談ください。

 

ただ,障害年金と交通事故の加害者からの賠償金は2重で受け取れるわけではありません。

調整がなされます。

例えば,先に加害者から賠償金を受け取っている場合は,一定期間(上限36か月)障害年金の支給は停止されます。

また,先に障害年金の支給を受け取ている場合は,現実に既に支給されている障害年金額及び支給が確定している未給付の障害年金額は,加害者からの賠償金から差し引くとの損益相殺が行われます。

 

交通事故で重い障害を負った場合,加害者からの賠償金以外にも公的制度等を利用することで負担を軽減できることがあります。

ただ,各種制度からの給付金と加害者からの賠償金との調整をどのように行うかは,給付金の性質により異なります。

私は,主に加害者に関する賠償請求を受任し,対応することが多いですが,障害年金などの公的制度についても理解を深めていきたいです。

「ムチウチ」と後遺障害等級認定

交通事故で負う怪我として多いものに,いわゆる「ムチウチ」があります。

「ムチウチ」は,正式な傷病名ではなく,「頸椎捻挫」「頸部挫傷」などの総称として使用されています。

「ムチウチ」は,受傷から3か月程度で治ることが多いですが,中には,どうしても症状が残存してしまう方もいます。

治療を受けたものの完治せずに,症状固定に至ってしまった場合は,残った症状(痛み・しびれ等)について,病院で後遺障害診断書を書いてもらい,後遺障害等級認定の申請を行うことになります。

 

ただ,後遺障害等級認定の申請を行った場合に必ずしも後遺障害等級の認定を得られるわけではありません。

自賠責保険が「局部に神経症状」があると認定した場合は14級9号,「局部に頑固な神経症状」があると認定した場合に12級13号が認定されますが,将来的に症状の回復の可能性があると判断されるなどした場合は,後遺障害の等級は認定されません。

14級9号か12級13号かは,症状を裏付けるような他覚的所見があるか否かで判断されており,基本的には,自賠責保険は,主観的な症状の軽重で14級9号と12級13号を区別していません。

 

「ムチウチ」から生じる痛みや痺れの程度を客観的に検査する方法がないため,「ムチウチ」で適切な後遺障害等級認定を得ることは容易ではありません。整形外科の医師などから,「ムチウチ」で後遺障害等級認定を得られるケースは少ないとの話を聞いたことがある交通事故被害者の方もいるかと思います。

 

交通事故被害者の方が,適切な後遺障害等級を獲得できるよう弁護士としてサポートできればと思っています。

後遺障害逸失利益(減収がない場合)

減収がない場合,後遺障害による逸失利益は発生していないのではと問題となることがあります。

この点,最判昭和56年12月22日判決は,結論としては,財産上の損害がないことを理由として逸失利益の発生を否定していますが,減収がない場合でも,「事故の前後を通じて収入に変更がないことが本人において労働能力低下による収入の減少を回復すべく特別の努力をしているなど事故以外の要因に基づくものであって,かかる要因がなければ収入の減少を来しているものと認められる場合とか,労働能力喪失の程度が軽微であっても,本人が現に従事し又は将来従事すべき職業の性質に照らし,特に昇進,昇任,転職等に際して不利益な取扱いを受けるおそれがあるものと認められる場合など,後遺症が被害者にもたらす経済的不利益を肯認するに足りる特段の事情」がある場合には,事故の前後を通じて収入の減少がなくとも後遺障害による労働能力低下による財産上の損害が発生しているとしました。

そのため,事故前後を通じて収入の減少がない場合は,適切な逸失利益に関する賠償を受けるためには,後遺障害が労働能力に与える影響の度合い,本人が後遺障害による労働能力低下を補うために行っている努力,後遺障害による労働能力の低下が被害者の昇進や転職等に与える影響などについて丁寧な主張と立証を行う必要があります。

弁護士として,依頼者の方に収入の減少がない場合でも被害者の方に後遺障害による労働能力低下がある場合は,適切な後遺障害逸失利益を受け取っていただけるよう,努めていきたいと思います。

 

 

大阪法律事務所開設

弁護士法人心は、2021年5月7日付で弁護士法人心大阪法律事務所(関西本部)を大阪駅前第3ビル30階にオープンしました。

大阪駅から徒歩5分、北新地駅から徒歩1分、東梅田駅から徒歩2分の場所ですのでアクセスしやすい立地となっております。

 

弁護士法人心大阪法律事務所オープンに伴い、私を含め3名の弁護士が名古屋から大阪法律事務所へ異動になりました。

名古屋から大阪法律事務所に異動となった3名の弁護士はそれぞれ借金問題、相続、交通事故と注力している分野が異なります。

そのため、それぞれの強みを生かし、3名で力を合わせながら弁護士法人心大阪法律事務所を盛り立てていければと考えております。

 

なお、大阪に異動となりましたが、私は引き続き名古屋地域の交通事故もそのまま担当させていただく予定です。

環境は変わったものの、交通事故被害に遭われた方などのお力に少しでもなれるよう変わらず対応していきたいと思います。

 

再び各地で新型コロナの感染者が増加しております。

大阪の医療体制がひっ迫しているとのニュースも日々流れておりますので、引き継き外食の自粛や手洗いの徹底など感染対策をしっかりと行いながら、新たな環境で頑張っていきたいと思います。

代車使用期間

交通事故によって車両の修理や買換えが必要であり,かつ,代車を使用する必要性がある場合には,修理または買換えに要する「相当な期間」の代車使用料が交通事故と相当因果関係を有する損害として認められます。

「相当な期間」には,事情に応じて見積りその他の交渉をするのに必要な期間も含まれるものと解されています。

 

修理自体に必要な期間が「相当な期間」に含まれることは争いはありませんが,交渉期間,検討期間,部品調達期間,営業車登録のための期間,保険会社の対応期間が「相当な期間」に含まれるのかが争われることがあります。

例えば,交渉期間については,損害保険会社の担当者は,被害者に対して合理的な損害賠償額の算定方法について十分かつ丁寧な説明をなし,被害者の理解を得るように真摯な努力を尽くすべきであって,そのために時間を要し,その結果,修理に着手する以前の交渉期間中の代車料が生じたとしても,それが,損害保険会社の具体的な説明や交渉経過から見て,通常予測し得る合理的な範囲内に留まる限り,損害保険会社はその代車料についても当然に負担すべき責任を負うとした裁判例があります(神戸地裁平成3年6月12日判決)。

また,保険会社の対応については,例えば,損害保険会社のアジャスターが,検討するとして持ち帰り,その後,被害者には何ら連絡することもなく交渉から降りたことにより修理の開始が遅れたことについて,遅延については,加害者側にその責任があるとして,その期間を代車使用の相当な期間と認めた裁判例があります(神戸地裁平成13年3月21日判決)。

 

代車使用期間としての「相当な期間」の判断は一概には行えないため,弁護士として「相当な期間」を検討する際は,具体的事情に照らして検討することを忘れないように注意したいと思います。

 

 

TFCC損傷と素因減額

交通事故により転倒するなどして手首を負傷した場合,TFCC損傷と診断されることがあります。

(TFCC損傷とは手首の小指側にある骨と骨の間にあるハンモック状の組織(三角繊維軟骨複合体:Triangular Fibrocartilage Complex)を損傷することを意味します)

 

TFCC損傷は,交通事故による外傷以外でも継続的に仕事で手を酷使することで生じたり,加齢によって生じたり,もともと腕の骨が長いことによって生じたりと様々な要因によって生じます。

 

そのため,交通事故被害者の方が自賠責保険でTFCC損傷が事故で生じたとして後遺障害等級認定が得られたような場合でも,加害者が加入している保険会社などからは,TFCC損傷の発症には,事故による外傷だけではなく被害者側の要因(素因)の関与が考えられるため,賠償金を減額するべきであると素因減額を主張されることがあります。

 

しかし、TFCC損傷の後遺症を肯定した裁判例には,素因減額がされてない例も多くあり,加害者が加入している保険会社などから素因減額を主張された場合には,不当な減額がなされないよう具体的事情にあわせて適切な反論することが重要となります。

 

どのような場合に素因減額がなされているのか弁護士として裁判例の検討を行いたいと思います。

仕事納め

今年は,本日で仕事納めの予定です。

すっかり,マスクを付けての生活には慣れたものの,今年は新型コロナの流行で今までにない1年でした。

事務所から感染予防のため外食の自粛要請があったこともあり,外食ができない1年ともなりました。

昨年の今頃は夏には,新型コロナの流行は治まっているだろうと思っていましたが,そんなことはなかったですね。

東京オリンピックは開けるのでしょうか・・・

 

最近は,気温が下がったためか感染者数はますます増加しており,新型コロナの流行が治まる日は来るのだろうかと不安に思います。

年末年始も気を引き締めて感染対策をしようと思います。

例年であれば,学生時代の友人等と年末年始集まったりするのですが,今年は感染予防のため家で過ごす予定です。

紅白でもみながらゆっくりとした年末を過ごしたいと思います。

 

来年は,1月4日から仕事始めの予定です。

年明け以降に昨年のように緊急事態宣言が出されたりした場合,弁護士として依頼者の方から請けている交通事故案件の進行に影響が出る可能性もあり,新型コロナのニュースをみていると暗い気持ちになりますが,年末年始で英気を養いたいと思います。

また,年明けから頑張ります。

内部研修

先日,事務所内で交通事故に関する内部研修がありました。

今回の内部研修では,専門的なテーマを深掘りするというよりは,交通事故案件を担当している弁護士が知っておかなければならない基礎的な部分を再度学び直すような内容でした。

 

改めて交通事故を扱う上で大切な基礎的な部分についての研修を受けると,初心に立ち返ることができ良かったです。

交通事故に遭われた被害者の方の代理人として活動するにあたり,一番大切なことは,「事件の解決でも高い賠償金を獲得することでもない」「依頼者の満足」であり,手段と目的を取り違えないように注意する必要があるとの話を研修で聞き,最近の自分は「依頼者の満足」がどこにあるか丁寧に考えられていただろうかとハッとさせられました。

弁護士の実現すべきことは,交通事故被害者の方に適切な賠償金を受け取っていただけるよう尽力し,交通事故被害者の方の無念さや被った損害を回復する手助けをして,交通事故被害者の方に弁護士に依頼して良かったと思っていただくことです。

「依頼者の満足」を実現するための手段ばかりに気を取られ,交通事故被害者の方の気持ちに寄り添うことを疎かにしないよう,常に初心を大切にしていきたいと思いを新たにしました。

 

専門的な内容を深掘りする研修も面白いですが,今回の研修では,基礎的な部分を学ぶ研修を定期的に受ける良さを実感しました。

交通事故と労災②

最高裁平成30年9月27日判決(判例タイムズ1458号100頁)において,自賠法16条1項に基づく直接請求権を行使する被害者は,被害者が労災保険給付を受けてもなお補填されない損害について,労災保険法12条4項1項により移転した直接請求権を行使する国に優先するとの判断が示されました。

上記判断により,交通事故の被害者は労災保険から120万円を超える治療費などの給付を受けていたとしても自賠法16条1項に基づく直接請求権を行使して,慰謝料などを支払いを国に優先して受けられることが明らかにされました。

そのことにより,加害者側が任意保険に加入していない場合などに被害者が手厚く救済されることとなります。

また,被害者側にも過失があり,過失相殺後の裁判基準の慰謝料額が自賠責保険基準での慰謝料額を下回るような場合は,自賠法16条1項に基づく直接請求権が国に優先することで被害者側が受け取れる慰謝料額が増えるケースがあります。

交通事故に遭ってしまったとき自身にも過失がある場合は,やはり労災保険を利用できる場合は,利用した方が良いケースが多いと考えています。

労災保険を利用しているか否かで,最終的に受け取れる慰謝料などの額が変わる可能性があります。

弁護士としても交通事故に遭われた方にしっかりと情報提供できるようしっかりと情報を得ていきたいと思います。