交通事故と労災②

最高裁平成30年9月27日判決(判例タイムズ1458号100頁)において,自賠法16条1項に基づく直接請求権を行使する被害者は,被害者が労災保険給付を受けてもなお補填されない損害について,労災保険法12条4項1項により移転した直接請求権を行使する国に優先するとの判断が示されました。

上記判断により,交通事故の被害者は労災保険から120万円を超える治療費などの給付を受けていたとしても自賠法16条1項に基づく直接請求権を行使して,慰謝料などを支払いを国に優先して受けられることが明らかにされました。

そのことにより,加害者側が任意保険に加入していない場合などに被害者が手厚く救済されることとなります。

また,被害者側にも過失があり,過失相殺後の裁判基準の慰謝料額が自賠責保険基準での慰謝料額を下回るような場合は,自賠法16条1項に基づく直接請求権が国に優先することで被害者側が受け取れる慰謝料額が増えるケースがあります。

交通事故に遭ってしまったとき自身にも過失がある場合は,やはり労災保険を利用できる場合は,利用した方が良いケースが多いと考えています。

労災保険を利用しているか否かで,最終的に受け取れる慰謝料などの額が変わる可能性があります。

弁護士としても交通事故に遭われた方にしっかりと情報提供できるようしっかりと情報を得ていきたいと思います。