中間利息控除

「交通事故に遭い,治療は終了したが重い後遺障害等が残ってしまった。治療中に被った損害だけではなく,交通事故に遭い後遺障害が残らなければ将来的に稼げたであろう金銭も賠償してもらいたい。」と考えられる方も多いかと思います。

 

交通事故に遭わなければ将来にわたって得られたであろう利益のことを逸失利益といいます。
逸失利益は,相手方から損害として賠償を受けることができます。

 

逸失利益は,原則として,「基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応する中間利息控除係数」という式で計算されます。
今回は,同計算式のうちの中間利息控除係数というものに注目してみたいと思います。

 

逸失利益を計算するに当たり中間利息が控除されるのは,将来において受領するはずの金員を現在受領することから,現在から本来受領するときまでの間に付されるであろう利息分を控除すべきと考えられているためです。
中間利息控除の仕方には,主なものとして複式ホフマン方式と複式ライプニッツ方式という考え方があります。
複式ホフマン係数とは,将来取得する債権額を一定時期ごとに取得するというように考える方式であり,複式ライプニッツ係数とは,将来取得する債権額を一定時期ごとに取得するものとし,利息計算に複利を用いるものをいいます。
現在,実務上ではライプニッツ方式が採用されており,利息は年5%とされています。

 

しかしながら,現在の低金利が続いていることを考えると年5%の中間利息を控除することが妥当なのか疑問が生じます。
改正民法案では今までになかった中間利息控除の条文が設けられています。
また,これまで年5%であった法定利率が3%に変更する内容となっています。

こうした民法上の法定利率の変更や低金利の流れを考慮すると,現状の民法が法定利率を年5%としているからといって中間利息控除を年5%で算定している実務は本当に良いのでしょうか。
民法改正前後で受け取れる逸失利益が大きく異なる結果になるのは不公平な気がします。

 

今後の中間利息控除の考え方について弁護士として注意深く見ていきたいと思います。