脳脊髄液露出症の画像所見等2

交通事故に遭った後,めまい,耳鳴り,起立性の頭痛などの症状が出た場合に脳脊髄液減少症が疑われることがあります。

脳脊髄液減少症とは,脳脊髄液が漏れた結果,脳が脳脊髄液に浮いている状態から脳底部に落ち込んでしまう疾患をいいます。

 

そのような病態のなかでも、CTやMRIなどで脊髄液の漏出が確実に認められる場合は「脳脊髄液漏出症」と定義されています。

脳脊髄液漏出症については,平成22年度厚生労働科学研究費補助金障害者対策総合研究事業の脳脊髄液減少の診断・治療法確立に関する研究班が脳髄液漏出症画像判定基準・画像診断基準というものを公表していることは以前ブログで紹介しました。

そして,平成26年度厚生労働科学研究費補助金障害者対策総合事業の脳脊髄液減少症の診断・治療法の確立に関する研究班が画像判定により脳脊髄液露出症が確定・確実な症例に限定したブラッドパッチ療法の有効性の検討をおこなった結果,約4割で治癒,残4割の症例も軽快したとのことで,画像診断をしっかりと行えば,ブラットパッチ療法は,安全かつ有効な治療法になりえることを示唆しました。

 

交通事故に遭った後,脳脊髄液減少症が疑われる症状があるにもかかわらず,脳脊髄液減少症と認められないケースが多々あります。弁護士としても歯がゆい思いです。

画像判断の確立ですべての脳脊髄液減少症の問題が解決するわけではありませんが,「脳脊髄液露出症」と定義できるものだけでもその科学的根拠に基づく診療指針が早く確立し,少しでも多くの脳脊髄液減少症が疑われる症状で困っておられる交通事故被害者の方が救済されるようになればと思っています。