労働能力喪失期間(12級13号)

交通事故で負った怪我により神経症状が残存してしまった場合,同症状について後遺障害等級12級13号が認定されることがあります。

後遺障害について等級が認定された場合,原則,症状固定時から67歳までの期間が労働能力喪失期間と判断されますが,神経症状について後遺障害等級認定を得ている場合,裁判所は,12級で10年程度,14級で5年程度に労働能力喪失期間を制限して認定することが多いです。

なぜ,神経症状に関する後遺障害の場合は,労働能力喪失期間が制限して認定されることが多いのでしょうか。

これは,神経症状については,不可逆的・永続的に残存するかは確定的でなく,それが軽快する可能性も否定できない,又は,症状に対する慣れといった要素から労働能力への影響は次第に減少する可能性があると判断されることがあるためです。

 

ただ,神経症状について,症状固定後に改善傾向が認められる場合は別として,他覚所見があり,かつ,全く改善傾向が認められない場合に労働能力喪失期間を制限する合理的根拠はあるのでしょうか。

神経症状に関する後遺障害だからといって安易に労働能力喪失期間を制限することは合理的ではなく,後遺障害の程度,加齢による後遺障害への将来的な影響,年齢,職業などを総合的に勘案して,労働能力喪失期間が制限されるべきか慎重に判断される必要があるのではないかと考えます。

詳しくは弁護士にご相談ください。