繊維筋痛症と交通事故

繊維筋痛症診療ガイドライン2013において,繊維筋痛症は,「原因不明の全身疼痛を主症状とし,不眠,うつ病などの精神神経症状,過敏性腸症候群,逆流性食道炎,過活動性膀胱などの自律神経系の症状を随伴」すると説明されています。

 

繊維筋痛症の発症原因は今だ医学的に明らかではありません。

また,繊維筋痛症の診断基準としては米国リウマチ学会が提唱する,繊維筋痛症分類基準(1990)や予備診断基準(2010)といったものがありますが,繊維筋痛症の症状の主体は,自覚症状であり,繊維筋痛症を他の疾患と鑑別し,適切に診断することは難しいことが多いです。

 

そのため,交通事故後に全身疼痛の症状が現れ,繊維筋痛症との診断がなされた場合は,①そもそも繊維筋痛症を発症しているか,②繊維筋痛症を発症しているとして交通事故に遭ったことで発症したのかという点が大きな問題となります。

したがって,交通事故に遭ったことと繊維筋痛症を発症したこととの間に相当因果関係があることを立証することは容易ではありません。

 

交通事故と繊維筋痛症発症との因果関係が争点となった判例のうち,相当因果関係を否定したものとしては名古屋地裁平成26年4月22日判決などがあり,相当因果関係を肯定したものとしては京都地裁平成22年12月2日判決などがあります。

 

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