交通事故での健康保険の利用

交通事故で怪我をしたときは、病院で治療を受ける際に健康保険は利用できないと思っている方がいますが、加入している健康保険組合などに「第三者行為による傷病届」を提出するのであれば、交通事故でも健康保険を利用して治療を受けることができます。

 

ただし、交通事故の被害者は、交通事故の相手方から治療費の賠償を受けられるため、あえて健康保険を利用する必要性は乏しいです。

骨折後などに長期のリハビリが必要な場合、健康保険を利用していると手術をした日を起算日として150日で健康保険上の標準的算定日数の上限に達したとしてリハビリが打ち切られてしまうことがあるため(医師が150日以降も状態の改善が期待できると医学的に判断する場合は、リハビリの継続は可能です)、健康保険の利用は慎重に判断する必要があります。

交通事故被害者の方が健康保険を利用した方が良いケースは、交通事故被害者の方にも交通事故発生に関する過失がある場合です。

過失がある場合は、発生した治療費のうち交通事故被害者自身の過失分は被害者自身の自己負担となるため(自賠責保険の120万円の範囲内であれば自己負担とならないケースもあります。)、健康保険を利用せずに自由診療で治療を受けると自己負担額が多くなり、交通事故の相手方から賠償される慰謝料などからの精算額が多くなり、受け取れる賠償額が減ってしまうことがあるためです。

 

保険会社から健康保険の利用を打診され、利用して良いか迷う場合は、弁護士までご相談ください。

なお、通勤途中や勤務中の交通事故の場合は、利用できる社会保険は、労災保険となり、健康保険は利用できませんので、保険会社から健康保険の利用を打診されても誤って健康保険を利用しないよう注意する必要があります。