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離婚と財産分与

  • 文責:弁護士 森田清則
  • 最終更新日:2025年4月10日

1 離婚における財産分与とは

離婚における財産分与とは、離婚した当事者の一方が他方の当事者に対して財産を分け与えることであり、これを請求する一方当事者の権利が財産分与請求権です。

財産分与には、①夫婦が婚姻継続中に協力して形成した財産の精算(精算的財産分与)、②離婚後の一方当事者(特に経済的弱者)の扶養(扶養的財産分与)、③離婚の原因が相手方の有責な行為にある場合の慰謝料(慰謝料的財産分与)という異なる三つの要素があります。

2 財産分与の相場

財産分与の額は、主として財産の清算を目的とするのか、扶養料や慰謝料としての要素を含めるかによって全く異なります。

⑴ 財産の精算を目的とする場合の相場

精算的財産分与の場合、離婚する双方の当事者の財産形成、維持への貢献後(寄与度)によって決められます。

従前は、妻が専業主婦の場合、寄与度は2分の1を下回ることも多かったようですが、その後、家事労働が高く評価されるようになり、2分の1の寄与度を認める裁判例が増えていきました。

現在では、妻が専業主婦か共働きかを問わず、妻の寄与度を原則2分の1と考え、特段の事情があれば考慮するという運用がなされているようです。

⑵ 扶養料や慰謝料としての要素を含める場合の相場

扶養的財産分与の場合、婚姻の期間や一方配偶者に有責行為があったか否か、夫婦の年齢や収入、子どもの有無、疾病の有無などを考慮して判断されます。

もっとも、他方当事者(経済的弱者)が再婚や死亡するまでの生活保障を認めるものではなく、他方当事者が生活を再建するまでの一時的な手当てとして認定されることが多いようです。

ただし、過去の裁判例では有責性があったりや療養の必要性があるなどの事情から、一方当事者の死亡ないし再婚まで月1万5000円の扶養料の支払いを命じたものもあるようです。

⑶ 慰謝料的財産分与の場合

財産分与に慰謝料を含ませること、財産分与後に別途慰謝料請求をすることの両方がございますので、相場を見出すことは困難です。

3 財産分与の対象になる財産

⑴ 共有財産

名実ともに夫婦の共有に属する財産(例えば、夫婦共有名義の不動産等)は、財産分与の対象になります。

なお、夫婦のいずれに属するか明らかでない財産については、共有財産と推定されます。

⑵ 実質的共有財産

所有名義は一方に属するが、夫婦が協力して得られた財産(婚姻期間中に一方の名義で取得した財産)は、財産分与の対象となります。

4 財産分与の対象とならない財産

特有財産、すなわち名実ともに一方が所有する財産(例えば、一方が相続した遺産等)は、原則として財産分与の対象とはなりません。

ただし、特有財産であっても、その存在のために一方の財産の減少を防止したとして財産分与の対象とされる場合もあります。

5 子ども名義の財産は財産分与の対象になるか?

先に述べたように、財産分与の対象は共有財産及び実質的共有財産であり、名義がいずれであるかを問いません。

それでは、子ども名義の財産は財産分与の対象になるのでしょうか?

この場合、財産の名義だけで判断するのではなく、実質的に見て夫婦の共有財産と言えるか否かで判断します。

たとえば、子ども名義の預貯金などは、たとえ名義が子どもであったとしても、父母が貯蓄してきたものであれば、財産分与の対象となる可能性があります。

6 財産分与の流れ

⑴ 財産分与の手続

財産分与を獲得するための手続きは、①合意による場合、②調停、審判による場合、③離婚訴訟に伴う場合があります。

参考リンク:裁判所・財産分与請求調停

参考リンク:裁判所・夫婦関係調整調停(離婚)

⑵ 財産分与の方法

財産分与は金銭支払いをもって行われることが多いですが、金銭以外の財産をもって行われることもあります。

⑶ 財産分与義務者が義務を履行しない場合

財産分与義務者が義務を履行しない場合、財産分与権利者の申出により家庭裁判所がその義務を自発的に履行するよう指導する履行勧告の制度、相当期間を定めて支払うよう命ずる履行命令の制度、これらによっても履行を期待できない場合、強制執行も可能です。

7 弁護士にご相談を

財産分与額の決定は、扶養料的要素、慰謝料的要素を含めるか、婚姻期間、有責行為があったか否か、夫婦の年齢や収入、子どもの有無その他さまざま事情を総合的に考慮して決定しなければなりません。

当事者同士での話し合いが難しい場合は、弁護士に相談することをおすすめいたします。

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