養育費の相場
1 養育費とは
養育費とは、未成年の子どもが生活するために必要な費用をいいます。
親は、子どもを扶養する義務を負っていますから、子どもの親権者であるか否かにかかわらず、養育費を負担すべき義務があります。
未成年の子どもの親権者は、子どもを監護養育する義務があり、この義務を果たすためには、費用がかかります。
そこで、夫婦が離婚した場合には、通常は子どもの親権者が、他方の親に対して、監護費用の分担として、養育費の支払いを求めることになります。
養育費の支払い義務は、生活保持義務であると解されています。
生活保持義務とは、扶養義務を負う者(義務者)が、扶養を求める権利を有する者(権利者)に対し、義務者と同程度の生活を保持させる義務のことです。
養育費の分担額は、生活保持義務としての適正妥当な金額となりますから、義務者は、子どもに対して、自分の生活を保持するのと同程度の生活を保持させる義務を負います。
2 養育費の相場(養育費算定表)
具体的な養育費の額は、実務では、算定方式及び算定表によって、権利者と義務者の収入に応じて標準化されています。
例えば、17歳と13歳の子どもがいる場合、義務者の年収が1000万円、権利者の年収がゼロであれば、養育費は、16~18万円の範囲となります。
子の指数は0~14歳の場合は55、15~19歳の場合は90ですから、例えば、子ども2人の養育費が17万円とされた場合、第1子の養育費=17万円×90÷(90+55)、第2子の養育費=17万円×55÷(90+55)となります。
もちろん、当事者同士で合意すれば、算定表の金額以上の養育費とすることもできます。
3 特別な事情がある場合
また、算定表のままでは公平を欠くような特別な事情がある場合には、その事情を考慮して、算定表の額を増減することもあります。
例えば、子どもが私立学校に進学する場合、習い事に高額の費用を要する場合、子どもが夏休みに海外短期留学を希望している場合等の事情です。
養育費の増減について、当事者同士で話し合っても合意に達しなければ、裁判所に対して特別の事情を主張立証していく必要があります。
裁判所は、権利者と義務者の学歴や収入、習い事等の状況、子どもの実績や意向等、事件ごとに様々な要素を総合考慮して、具体的な金額を判断します。
増額または減額を基礎づける特別事情の主張立証方法は、個別のケースによって異なりますから、専門家である弁護士に相談されることをおすすめします。
弁護士法人心 名古屋法律事務所では、「養育費」以外にも、法律に関する事項について、情報を提供しておりますので、他の記事もご覧いただければと思います。