加害未成年運転者と同居扶養する父親賠償責任を認めた裁判例

事故ジャーナルNo.1977に「加害未成年運転者と同居扶養する父親に無免許・居眠り逸走事故の賠償責任を認めた」裁判例が載っていました。

未成年者の親に監督義務違反に基づく損害賠償責任が認めらるのは,(1)親が未成年者が交通事故を発生させることを具体的に予見することが可能であり,(2)親が未成年者の子を指導監督することで事故の発生を回避可能であったにもかかわらず,(3)十分な指導監督をしなかった場合です。

紹介されていた裁判例では,父親は,(1)子が自動車の運転に強い関心があり,かつ,無免許運転に対する関心が低いこと,子が昼夜問わず遊びに耽って頻繁に外泊していたことなどを認識していたことからすると本件交通事故を起こすことを具体的に予見できたにもかかわらず,(2)子に対して運転をしてはならないなどを指導しなかったとして父親の監督義務違反を認めました。

未成年者の子が事故を起こした場合には,その親も賠償責任を負うことがありますので,注意が必要です。

骨挫傷

交通事故の案件で診断書をみていると,たまに「骨挫傷」という診断がされている方がいます。

骨挫傷とは,骨内で微細な浮腫・出血・骨折を起こしている状態をいいます。
骨挫傷の特徴としては,単純X線検査写真では描出されず,MRI撮影をして画像上はじめて確認されます。

交通事故に遭われ,強い痛みが続くようであればMRI検査を受けられても良いかと思います。
MRI検査において骨内の微細な浮腫・出血・骨折が発見されれば,他覚所見がある怪我といえ慰謝料を算定する際の有利な事情となりえます。

交通事故に会った際には,適切な検査を受けることが重要となります。

弁護士として適切なアドバイスをできるよう努めていきたいと思っています。

脳脊髄液減少症

交通事故に遭った後,めまい,耳鳴り,起立性の頭痛などの症状が出た場合に脳脊髄液減少症が疑われることがあります。
そのような病態のなかでも、CTやMRIなどで脊髄液の漏出が確実に認められる場合は「脳脊髄液漏出症」と定義しされています。

脳脊髄液減少症を発症したとして後遺障害等級認定などを受けるためには,起立性頭痛の症状が出ていると診断されている必要があります。
起立性頭痛とは,日本神経外傷学会による「外傷に伴う低髄液圧症候群」の診断基準では「頭部全体および・または鈍い頭痛で,座位または立位をとると15分以内に増悪」する頭痛とされています。
したがって,医師に対し頭が痛いと訴え,それを診断書やカルテに記載してもらっているだけでは,脳脊髄液減少症とは認められない可能性が高いです。
起立性頭痛の症状がある場合には,座位または立位で増悪することまでしっかりと伝えておいた方がよいでしょう。

自保ジャーナル(No1967)で紹介されていた大阪地裁平成27年11月11日判決でも,起立性頭痛が認められないとして脳脊髄液漏症の発症が否定されています。

高次脳機能障害

最近相談者から高次脳機能障害についての質問を受けました。

高次脳機能障害とは,事故などで脳に損傷を受け,知覚,記憶,学習,思考,判断などの認知過程に障害が起きた状態をいいます。

交通事故と高次脳機能障害の因果関係は,主に意識障害の有無や画像所見有無から判断されることになります。

交通事故時に頭部を強打され意識を失い,MRI等を撮影した結果脳出血等が発見され,事故前と比べて人格や認知機能に変化が生じたと不安に思っておられる方は,早い段階で一度弁護士に相談してみるといいと思います。

物損

最近,交通事故のご相談の中でも物損についてのご相談受ける機会が多いです。

物損のご相談を受ける中で,悩ましく思うのが,ご相談者様のお車に対するお気持ちをなかなか損害賠償額に反映させられないことです。
物損に関連する慰謝料は,原則として,認められていないため,お車に対するお気持ちが傷つけられたことに対する慰謝料は認められないことが多いからです。

ご相談者様に満足していただけるいい方法がないのか最近特に考えさせられます。

保険会社との示談成立後の請求

「保険会社と示談してしまったが,金額に不満がある。」と相談に来られる交通事故被害者の方がおられます。

示談の内容を見させていただくと,もう少し高い金額で示談できたのではと思うことも多いです。

ただ,一度示談してしまうと示談した金額以上を相手方に請求することは難しいです。
示談する際,双方で交わす書面には通常,「その余の請求は放棄するとともに,示談金額以外に何ら権利・義務関係の無いことを確認する。」といった文言が記載されています。
このような文言が記載された書面に署名捺印をした場合,示談した金額以上を請求しないといった内容の合意が相手方と成立していることになるからです。

保険会社から示談案が送られてきた場合には,じっくりと考えてから署名捺印する必要があります。

また,示談後に症状が悪化した場合には,例外的に示談成立後でも請求できる場合などもあります。

迷われた場合には,弁護士などの専門家に相談してみるのも一つの手だと思います。