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再婚禁止期間

  • 文責:弁護士 上田佳孝
  • 最終更新日:2022年2月22日

1 再婚禁止期間とは

再婚禁止期間とは、文字通り、再婚が禁止される期間のことです。

民法733条1項は「女は、前婚の解消又は取消しの日から起算して百日を経過した後でなければ、再婚をすることができない。」と規定しています。

つまり、再婚禁止期間は、女性にだけ義務づけられており、男性には再婚禁止期間はありません。

2 女性にだけ再婚禁止期間がある理由

子どもの母親が誰であるかは、分娩の事実から容易に特定することができます。

しかし、例えば、離婚した直後に別の男性と再婚した場合、子どもの父親が前夫なのか今の夫なのか、母親にも分からないという事態が生じる可能性があります。

そこで、民法は、嫡出推定(民法722条)の規定と併せ、女性にだけ再婚禁止期間を設けることによって、子どもの父親が誰であるかを確定し、父子関係が争われる事態を未然に防止しようとしたのです。

3 嫡出推定と再婚禁止期間の関係

⑴ 民法による規定

民法722条1項は「妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。」、同条2項は「婚姻の成立の日から二百日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から三百日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。」と規定しています。

⑵ 民法722条1項

1項は、婚姻中に生まれた子は、例えば、夫が在監中で夫婦が性的関係をもつことが不可能であった等の特別の事情がない限り、夫の子と認められるという意味です。

しかし、例えば、母親が婚姻した日から1か月後に出産した場合や、母親が離婚した日から1か月後に出産した場合、子どもの父親は前の夫である可能性があります。

それにもかかわらず、今の夫が子の父親と推定されることは実体に反します。

⑶ 民法722条2項

こうした不都合を回避するために、民法722条は、1項の例外として2項を設け、出産時期が結婚から200日経過後であれば今の夫の子、離婚後300日以内であれば前夫の子と推定すると規定しています。

このことを嫡出推定といいます。

そして、再婚禁止期間は、この嫡出推定がおよぶ期間が重複しないように設けられた規定です。

4 再婚禁止期間を短縮する民法の改正

平成28年6月に今の規定に改正される前の民法733条は、再婚禁止期間を6か月と規定していました。

しかし、再婚禁止期間は、嫡出推定の重複を回避するために設けられたものですから、6か月である必要はなく、100日あれば重複は避けられます。

また、医学やDNA鑑定等の科学技術が発達した現代では、客観的に父親を特定することが容易になりました。

こうした時代の流れを受けて、最高裁判所は、平成27年10月26日、100日を超えて再婚禁止期間を設ける部分は合理性を欠いた過剰な制約であると判断しました。

この最高裁判決を受けて、民法が改正され、再婚禁止期間が100日に短縮されました。

5 再婚禁止期間の例外

さらに、改正法は、離婚時に妊娠していないことが医師によって証明された場合は、再婚禁止期間をゼロとする例外も設けています(民法733条2項)。

例えば、高齢のため妊娠しないことが生物学上明らかである場合等は、離婚後すぐに再婚できることになります。

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