「ムチウチ」と後遺障害等級認定

交通事故で負う怪我として多いものに,いわゆる「ムチウチ」があります。

「ムチウチ」は,正式な傷病名ではなく,「頸椎捻挫」「頸部挫傷」などの総称として使用されています。

「ムチウチ」は,受傷から3か月程度で治ることが多いですが,中には,どうしても症状が残存してしまう方もいます。

治療を受けたものの完治せずに,症状固定に至ってしまった場合は,残った症状(痛み・しびれ等)について,病院で後遺障害診断書を書いてもらい,後遺障害等級認定の申請を行うことになります。

 

ただ,後遺障害等級認定の申請を行った場合に必ずしも後遺障害等級の認定を得られるわけではありません。

自賠責保険が「局部に神経症状」があると認定した場合は14級9号,「局部に頑固な神経症状」があると認定した場合に12級13号が認定されますが,将来的に症状の回復の可能性があると判断されるなどした場合は,後遺障害の等級は認定されません。

14級9号か12級13号かは,症状を裏付けるような他覚的所見があるか否かで判断されており,基本的には,自賠責保険は,主観的な症状の軽重で14級9号と12級13号を区別していません。

 

「ムチウチ」から生じる痛みや痺れの程度を客観的に検査する方法がないため,「ムチウチ」で適切な後遺障害等級認定を得ることは容易ではありません。整形外科の医師などから,「ムチウチ」で後遺障害等級認定を得られるケースは少ないとの話を聞いたことがある交通事故被害者の方もいるかと思います。

 

交通事故被害者の方が,適切な後遺障害等級を獲得できるよう弁護士としてサポートできればと思っています。