TFCC損傷と素因減額

交通事故により転倒するなどして手首を負傷した場合,TFCC損傷と診断されることがあります。

(TFCC損傷とは手首の小指側にある骨と骨の間にあるハンモック状の組織(三角繊維軟骨複合体:Triangular Fibrocartilage Complex)を損傷することを意味します)

 

TFCC損傷は,交通事故による外傷以外でも継続的に仕事で手を酷使することで生じたり,加齢によって生じたり,もともと腕の骨が長いことによって生じたりと様々な要因によって生じます。

 

そのため,交通事故被害者の方が自賠責保険でTFCC損傷が事故で生じたとして後遺障害等級認定が得られたような場合でも,加害者が加入している保険会社などからは,TFCC損傷の発症には,事故による外傷だけではなく被害者側の要因(素因)の関与が考えられるため,賠償金を減額するべきであると素因減額を主張されることがあります。

 

しかし、TFCC損傷の後遺症を肯定した裁判例には,素因減額がされてない例も多くあり,加害者が加入している保険会社などから素因減額を主張された場合には,不当な減額がなされないよう具体的事情にあわせて適切な反論することが重要となります。

 

どのような場合に素因減額がなされているのか弁護士として裁判例の検討を行いたいと思います。