労働能力喪失率

後遺障害逸失利益は,基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間で計算されます。

赤い本では,労働能力喪失率について,「労働省労働基準局長通牒(昭32.7.2基発第551号)別表労働能力喪失率表を参考とし,被害者の職業,年齢,性別,後遺症の部位,程度,事故前後の稼働状況を総合的に判断して具体例にあてはめて評価する」とされています。
自賠責で後遺障害14級9号の等級認定を受けた場合の労働能力喪失率は,上記労働能力喪失率表によると5パーセントとされています。

また,労働能力喪失期間については,始期は症状固定日,終期は原則67歳とされています。
ただし,「むち打ち症の場合は,14級で5年程度に制限する例が多くみられる」とされています。

裁判をした場合には,具体的事情を考慮した判断がなされることになりますので,必ずしも14級9号だからといって労働能力喪失率が5パーセントとなるわけではありません。
裁判例の中には,労働能力喪失率を7パーセント(さいたま地裁平成22年9月29日判決)や8パーセント(東京地裁平成25年2月5日判決)と認めたものもあります。

労働能力喪失率表にとらわれることなく個別具体的な事情を考慮してしっかりと判断していきたいと思います。