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交通事故でPTSDになった場合の後遺障害等級

  • 文責:弁護士 上田佳孝
  • 最終更新日:2023年11月15日

1 PTSDとは何か

ここでは、交通事故とPTSDについてご説明いたします。

PTSDとは、心的外傷後ストレス障害(posttraumatic stressdisorder)のアルファベット頭文字をとった略語です。

米国精神医学会が提唱した疾患です。

交通事故のような衝撃的な体験(他には、戦争や自然災害、DV、性的虐待等の本人や身近な人の生命や身体等を脅かすような体験)により、心に大きな傷を負った結果の疾患です。

具体的には、次のような症状を発症します。

  • ・突然事故がフラッシュバックされる
  • ・事故と関連した刺激を避けようとするか、逆に感情や感覚が麻痺する
  • ・神経の高ぶりによる睡眠障害や、無性にイライラする、集中力が低下する

2 PTSDと事故との因果関係

PTSDと医学的に診断されるための診断基準としては、米国精神医学会発行の基準や、世界保健機関(WHO)の基準があります。

しかし、これらの基準により、医学的にPTSDを発症していると診断される場合であっても、法的な判断の場面で事故とPTSDの発症との間に因果関係が認められるかは別問題であるといわれています。

すなわち、医師が医学的に判断してPTSDを発症していると判断したとしても、訴訟などになった際に医師の診断がそのまま受け入れられて裁判所がPTSDであると認定するとは限らないということです。

実際、訴訟においては、裁判所は事故とPTSDとの因果関係をなかなか肯定しない傾向にあります。

その理由としては、事故によりPTSDを発症するか否かは、被害者によって個人差がかなり大きいからであるといわれています。

そこで、事故でPTSDを発症した場合には、積極的に事故とPTSDの発症との因果関係を主張・立証しなければなりません。

3 PTSDの後遺障害等級

PTSDが後遺障害として認定される場合、9級、12級、14級の認定がされることが多いです。

それぞれの等級の違いは、9級は就労可能な職種が相当な程度に制限され日常生活では著しい支障があるもの、12級は通常の労務に服することはできるが多少の障害を残し日常生活では頻繁に支障が生じる程度のもの、14級は通常の労務に服することはできるが軽微な障害を残し日常生活では時々支障が生じるもの、というイメージです。

4 素因減額されることが多い

前述したとおり、事故によるPTSD発症には個人差が大きいです。

そのため、訴訟等の場面で事故とPTSDとの因果関係が認められたとしても、PTSDの発症は被害者自身の心因的な要素も影響しているとして、素因減額(被害者自身の心因的な要素の度合い分を減額すること)がなされることが多いです。

5 弁護士に相談を

以上のとおり、交通事故でPTSDを発症した場合、事故とPTSDとの因果関係、後遺障害等級の適切な獲得、その他の点で、難しい問題が複数あります。

名古屋で交通事故に遭い、PTSDを発症した場合、名古屋でPTSD案件の取り扱いがある弁護士事務所を探し、一度弁護士に相談してみるのもよいかもしれません。

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