高次脳機能障害と紛争処理機構に対する紛争処理手続の申請

名古屋で交通事故案件を取り扱っている弁護士の青山です。

高次脳機能障害をはじめとして、重い後遺障害が残った被害者について、自賠責保険に後遺障害の申請をしたものの、思っていたよりも後遺障害の等級が低かったため、より重い等級を獲得できないか、というご相談をいただくことがよくあります。

高次脳機能障害をはじめとする後遺障害等級について不服を申し立てるには、最も典型的な手段は、自賠責保険に対する異議申立てです。

では、自賠責保険への異議申し立てでも等級が変わらない場合、裁判を起こすしかないのでしょうか?

実は、裁判を起こす前に、紛争処理機構に対する紛争処理手続の申請という方法があります。

実際に、私も高次脳機能障害のケースで、この方法をとることはあります。

紛争処理機構とは、一般財団法人自賠責保険・共済紛争処理機構を正式名称とし、平成14年4月1日に改正された自動車損害賠償保障法に基づき設立された、裁判外紛争処理機関(ADR)です。

自賠責保険の判断に不服がある場合には、紛争処理機構に紛争処理手続きの申請をすることで、不服申立をすることができます。

自賠責保険とは別の判断主体になりますので、偏見なく、中立な判断者による判断が期待できます。

自賠責保険への異議申し立てでも後遺障害等級が変わらなかった場合は、裁判を起こす前に、紛争処理機構に対する紛争処理手続の申請をしてもよいかもしれません。

交通事故で裁判になる可能性

名古屋で交通事故案件を中心に扱っている弁護士の青山です。

交通事故の相談を受けていると、この件は裁判になりますか?という質問を受けることがよくあります。

実際、弁護士が依頼を受けるケースのうちで、裁判になる割合は少ないです。

多くのケースでは、加害者側と示談となります。

もっとも、中には示談できず、裁判をしなければならない場合もあります。

例えば、過失割合で争いがある場合です。

双方に過失がある場合には、その過失割合を巡って争いがあれば裁判になる可能性が高くなります。

事故状況に争いがあり、ドライブレコーダーや目撃証言等の証拠がない場合です。

また、治療期間で双方の主張に差がある場合があります。

例えば、被害者側が半年間の治療費、慰謝料等を請求したところ、加害者側からこの事故で半年もの治療を要するはずがない、治療期間は3か月程度が相当だという主張がなされたような場合です。

他には、加害者側が任意保険に未加入の場合も訴訟になる可能性が比較的高いです。

加害者側が保険に加入していない場合、加害者側は支払能力がない場合が多く、治療費や慰謝料を請求しても、スムーズに支払ってくれない場合が多く、裁判を起こさざるを得ないのです。。

 

高次脳機能障害と成年後見等

名古屋で交通事故案件を取り扱っている弁護士の青山です。

高次脳機能障害が残ってしまった被害者の方からのご相談は非常に多いです。

その際に気を付けることは、被害者の方の判断能力です。

判断能力があまりにも低下している場合は、被害者の方自身が弁護士との契約や示談内容などを理解できないため、成年後見人などを付けなければご依頼を受けることができないこともあります。

この場合は、成年後見開始の審判の申し立て等をして、成年後見人からご依頼を受ける、という形で示談交渉等を行います。

契約の途中で判断能力に問題がありそうなことが判明した場合にも、成年後見の申し立てをご提案し、改めて成年後見人から、ご依頼を受けます。

このようにしなければ、後々誰かから示談内容について疑義を出され、本人が判断能力がない状態で示談したとして、示談の無効を主張されたりするリスクも0ではないからです。

成年後見人を立てる必要がある場合、家庭裁判所への後見開始の審判の申し立てが必要ですが、被害者やそのご家族の方がやるとなると、難しいですし負担も大きいです。

そこで、交通事故の損害賠償と併せ、後見開始の審判の申し立てもご依頼いただくことが可能です。

一度ご相談ください。

 

高次脳機能障害と将来の介護費

名古屋で交通事故案件を中心に取り扱っている弁護士の青山です。

最近でも、事故に遭い、頭部を強く打つなどして高次脳機能障害が残りそうな被害者の方からのご相談を受けます。

高次脳機能障害が認定された場合、賠償金の交渉の際には弁護士に依頼した方が良いです。

認定された後遺障害の等級が1級か2級である場合、1級と2級は介護が必要であることを念頭に置かれた等級であるため、将来の介護費用も通常認められます。

なお、1級は常時介護を要し、2級は常時まではいかないものの随時介護を要する等級です。

これに対し、3級以下の場合は、介護を要することが念頭に置かれた等級ではないので、加害者や保険会社側からは、将来の介護費用は認めない、という主張が出てくることが多いです。

しかし、3級以下であっても、介護や見守りが必要な場合には、介護日額は1級や2級よりも少なくなりますが、将来の介護費用を認める裁判例も多数出ております。

そこで、弁護士に依頼し、被害者の状況と類似した裁判例を指摘するなどして、将来の介護費用を認めてもらう必要があります。

将来の介護費用は高次脳機能障害の賠償項目の中でも特に金額が大きい項目ですので、介護が必要な状態であるにもかかわらず、全く将来の介護費用が認められないか、金額が少ない場合には、安易に示談せず、必ず弁護士に相談することをお勧めします。

 

 

高次脳機能障害の目安

名古屋で交通事故案件を中心に取り扱っている弁護士の青山です。

今回も高次脳機能障害に関する記事です。

これまでも私のブログでは高次脳機能障害の記事を多数書いてきましたが、高次脳機能障害は、ご本人やご家族でも気づきにくいことが多いです。

被害者の方が頭を打つなどして生死の境をさまようような状態が続いた後、奇跡的に意識が回復すれば、家族もそのような奇跡を喜ぶあまり、被害者の事故前と事故後の小さな変化を見落としてしまうことが意外とあります。

事故により高次脳機能障害が残るか否かの目安は、概ね3つです。

①交通事故後による脳外傷を裏付ける画像所見

事故後に撮影された脳のCT・MRIでくも膜下出血、硬膜下血腫、その他の脳出血の存在や、脳挫傷痕が確認されること。

ただし、CTやMRIではDAI(びまん性軸索損傷)が発症している場合に、DAIの発生を確認することが困難です。

なぜなら、DAIは大脳白質部内部に張り巡らされた細かな神経コードの断線が推定される症状ですが、この神経コードそのものは、現在の画像技術では撮影できないためです。

DAIについては、また別の機会に記事を書きます。

②一定期間の意識障害の継続

事故後から、半昏睡~昏睡で開眼・応答しない状態が6時間以上継続すると高次脳機能障害の発生の可能性が高まる、と言われています。

また、上記のほどまでは至らない軽度な意識障害であっても、1週間以上続くと高次脳機能障害の発生の可能性がある、と言われています。

③高次脳機能障害に特有の異常な傾向が生じていること

怒りっぽくなった、感情の起伏が激しくなった、忘れっぽくなった、一つの作業を集中して行うことができなくなった、周囲の人間と衝突しやすくなった等の異常な傾向が生じていれば、高次脳機能障害の症状と考えられます。

交通事故に遭い、頭部を受傷した被害者の方は、奇跡的に意識を取り戻すなどの回復を見せたとしても、このような目安に照らして高次脳機能障害がないか、ご家族とともに確認することが重要です。

 

 

 

 

司法試験のデジタル化

名古屋で交通事故案件を中心に取り扱っている弁護士の青山です。

最近のニュースで目にしたのですが、司法試験のデジタル化が進んでいるようです。

法務省の発表では、2026年を目途に、司法試験の受験にPCを導入する方針であるとのことです。

では、これまではどうだったのか?

司法試験は、短答式試験(マークシート式)と、論述式試験に分けられます。

短答式試験で合格点を満たした受験者のみ、論述式の答案が採点されます。

そして、この論述式試験は、これまで手書きで答案を作成しなければなりませんでした。

合計8科目ある試験科目について、一科目につき横A3判で8枚まで答案を書くことができ、3日間で8科目について、答案を作成します。

8枚マックスで答案を作成する各受験者が多かったので、その場合は3日間で最大合計64枚の答案を書くこととなります。

当然、答案を作成する側にも、採点する側にも負担がかかりました。

作成する側は3日間で最大64枚もの答案を手書きするのですから、手の疲労感が半端ではありません。

途中で疲労がたまってくると、書くスピードも落ちますし、文字もだんだん読みにくくなります。

しかし、精神力で書き上げます。

少しでも手の負担を少なくするように、文房具屋でボールペンや万年筆を買いあさり、試し書きをしたのが思い出されます。

また、どのようにすれば疲れずに正確な文字をかけるか、ペンの持ち方なども研究しました。

他方、採点する側も、文字が読みにくい答案の採点は非常に苦労します。

弁護士になってからは、手書きで文書を作成することはほぼないのですから、司法試験の答案をPCで作成できるようにすることは非常に好ましいと思います。

私が受験生であったのは10年以上前になりますが、字を書くことが苦手は私が受験生のうちに、PCでの答案作成が可能となってほしかったです(笑)

 

高次脳機能障害ではいつ頃後遺障害を申請すべき?

名古屋で交通事故案件を中心に取り扱っている弁護士の青山です。

ようやく暑さも落ち着いてきた感がありますが、いかがお過ごしでしょうか。

交通事故に遭い、高次脳機能障害の残った方やそのご家族からのご相談をよく受けます。

そして、高次脳機能障害は治療が長くなることが多いので、どのタイミングで症状固定として後遺障害の申請をするか、悩まれるケースが多いです。

基本的には、それ以上は回復の見込みがないと主治医が判断した時点が症状固定時期となります。

もっとも、高次脳機能障害の場合、身体機能障害や認知機能障害だけではなく、常識的な行動がとれなくなったり、周囲との調和がとれなくなるという、社会行動障害の回復の程度も考慮して判断しなければなりません。

そのため、学生であれば、復学をして学業に耐えられるか一定期間様子を見てからでなければ症状固定となったか判断できない場合があります。

社会人であれば、職場復帰した後、業務内容や周囲との調和等の様々な観点から、労働に耐えうるか一定の期間様子を見なければ、症状固定となったか判断できない場合があります。

また、乳幼児の場合、回復したか、更なる回復の可能性があるかは、成人の患者に比べて判断しにくい場合が多く、保育園等で集団生活を開始する時期、あるいは、就学を開始する時期まで適応状況を調査する必要があり、後遺障害の申請をするタイミングもその後になることがあります。

しかしながら、保険会社からは、比較的早期に「症状固定なので早く後遺障害の申請をしてほしい」、という要請をされることがしばしばあります。

このような場合は、医師と相談の上、被害者の生活状況も考慮に入れつつ、症状固定時期をもう少し先にするなどの交渉が必要です。

そして、是非一度当法人までご相談ください。

 

高次脳機能障害は見落とされることがある

名古屋で交通事故案件を中心に取り扱っている弁護士の青山です。

交通事故に遭い、頭部に衝撃を受けた場合、高次脳機能障害が残ることがあります。

この高次脳機能障害というものは、将来にわたって障害が残るにもかかわらず、意外と見落とされることがあるなぁ、とよく感じます。

まず、医師も見落とすことがあります。

なぜなら、脳挫傷、外傷性くも膜下出血等の診断名がついていれば、脳のMRIやCT画像でも明確に異常所見が映るため、見落とされることが少なくなりますが、いわゆるびまん性軸索損傷の場合は、画像撮影の技術的な限界で、異常が確認できないことが多いです。

そこで、画像上は一見、異常が明らかでなくても、本人が何となく怒りっぽくなった、物忘れがある、周りの人間との衝突が多くなった等がないか、家族等の見守りが極めて重要になります。

また、被害者である高次脳機能障害患者自身が、高次脳機能障害について自覚を持ちにくいことも、高次脳機能障害が見落とされやすい要因です。

被害者自身には、病識がないゆえに、患者自身の客観的な能力と、患者自身の自己認識のギャップが、思わぬ事故を呼び、初めて高次脳機能障害が判明することもあります。

更に、発覚までに時間がかかること場合があります。

例えば、交通事故に遭った場合、事故直後の時点では高次脳機能障害が明らかではなくても、成長し、大人になって仕事を始めたときに、初めて周囲となじめない等で社会的な適応能力の問題が発覚し、高次脳機能障害が発覚することもあります。

このような高次脳機能障害を見落とさないためにも、交通事故に遭い、頭部に衝撃を受けた場合は、医師に詳しく検査をしてもらうこと、家族の見守りが極めて重要となりますが、損害賠償の観点から弁護士がアドバイスできることもありますので、一度ご相談ください。

 

 

相続土地国庫帰属制度②

名古屋で交通事故案件を中心に取り扱っている弁護士の青山です。

全国的に40度近い猛暑が続いておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

東海地方は、本日の午前中に梅雨明けした、との発表がありました。

学校も夏休みに入るちょうどよいタイミングでの梅雨明けですね。

直近の土日は、外出を控えたほうが良いといわれるほどの猛暑日でしたが、今後は暑さが落ち着くことを願います・・・。

お出かけの際には、熱中症に気を付けましょう。

さて、前にも書きましたが、相続や遺贈によって利用できない土地の所有権を取得してしまった場合に、法務大臣の承認により、土地を手放して国庫に帰属させることを可能とする制度でである相続土地国庫帰属制度をご紹介しました。

令和5年4月27日から施行されています。

利用ができない相続土地の処分にお困りの方は検討されるとよいかと思いますが、どのような土地でも国が引き取ってくれるわけではなく、対象外となる土地もあります。

具体的には、却下要件か、不承認要件に当たる場合には、対象外となります。

却下要件は、申請の時点で直ちに認められないこととなるものです。イメージとして、門前払いに近いものです。

例えば、土地の上に建物が建っている土地、担保権(抵当権等)や使用収益権(地上権、地役権等)が設定されている土地、他人による利用が予定されている土地(道路として利用されている、墓地内の土地、境内地等)、土壌が汚染されている土地、隣地との境界が明らかではない土地や所有権の範囲が明らかでない土地等が却下要件に当たります。

これに当たれば、申請しても直ちに却下されます。

不承認要件は、審査には入るものの、一定の要件に該当する場合に不承認となる場合があるというものです。審査には入る点で却下要件とは異なります。

不承認要件は、勾配・高さの崖があって、管理に過分な費用・労力がかかる土地、土地の管理・処分を阻害する有体物が地上にある土地、逆に除去しなければいけない有体物が地下にある土地、隣接する土地の所有者等との争訟が予想される土地、その他、通常の管理・処分に当たって過分な費用・労力がかかる土地等がこれに当たるとされております。

不承認要件の場合は、担当官により書面調査や実地調査は行われます。

その上で、不承認か否か判断されます。

却下要件や不承認要件に該当するケースは、思いのほか多そうですね。

別荘地などで一帯の土地を管理する管理組合があり、その管理組合への土地の管理費を一定額支払っているような場合等は、不承認要件に当たる可能性があります。

相続土地国庫帰属制度を利用しようとお考えの方は、一度、土地の所在地を管轄する法務局や地方法務局にお問い合わせいただいたほうが良いと思います。

 

高次脳機能障害と等級

名古屋で交通事故案件を中心に扱っている弁護士の青山です。

交通事故案件を多数扱っていると、頭部外傷を負い、高次脳機能障害が残ってしまった被害者やそのご家族からのご相談をよくいただきます。

ここで、高次脳機能障害が残った場合は、自賠責保険における等級がものすごく重要です。

高次脳機能障害で後遺障害等級が認定される場合、自賠責保険の等級では、1、2、3、5、7、9級の各等級が設けられています。

1級、2級は日常生活上において介護が必要な場合です。

1級が常に介護を要する場合、2級は随時介護を要する場合です。

3級以下は、日常生活上の介護は必要ではないものの、労働能力の喪失の度合いに応じて定められています。

3級は労働能力を全く喪失してしまった場合で、労働能力の程度が残存するにつれて級は軽くなります。

高次脳機能障害は、介護が必要になったり、労働が困難になる等の状態が将来に亘って続くことになりますので、賠償金額は大きくなる場合が多いです。

そして、後遺障害等級が変わると賠償金が大きく変わります。

後遺障害慰謝料は等級ごとに設定されており、裁判基準で1級が2800万円前後、2級が2370万円前後、3級が1990万円前後、5級が1400万円前後、7級が1000万円前後、9級が690万円前後、とされております(一応の目安であり、事案によって異なる場合があります)。

また、後遺障害逸失利益も、等級ごとに異なる労働能力喪失率が設定されていいます。自賠責保険の労働能力喪失率は、1級~3級が100%、5級が79%、7級が56%、9級が35%程度と定められております。

等級が異なると、金額が大きく変わってきます。

また、1級や2級の場合では、将来に亘る介護費用が支払われます。

将来の介護費用は、かなり金額が大きいです。

そこで、高次脳機能障害で後遺障害等級が認められた場合には、その等級が妥当なのかどうか、弁護士に相談してみたほうが良いと思われます。

弁護士に相談した結果、等級が不当に軽いということであれば、自賠責保険に異議申し立てする、裁判外紛争処理機関(ADR)である紛争処理機構(一般財団法人自賠責保険・共済紛争処理機構が正式名称)に紛争処理手続きの申請をする、最終手段として訴訟を提起する等の手段で等級の妥当性を争うことができます。

ただし、自賠責保険への異議申し立てが圧倒的に多いです。

高次脳機能障害で後遺障害等級が認定された方やご家族の方は、等級が妥当か、ご相談ください。

 

耳鳴りと後遺障害

名古屋で交通事故案件を中心に取り扱っている弁護士の青山です。

事故に遭い、耳鳴りがしたり、耳が聞こえにくくなってしまったという被害者の方がしばしばいらっしゃいます。

事故により聴覚障害が生じることは、実は珍しくありません。

この場合、聴覚障害が残れば、後遺障害が認定されることも有ります。

聴覚障害の等級は、両耳の聴覚障害と、片耳の聴覚障害、傷害の程度などによって等級が設けられています。

最も重い等級は、両耳の聴力を全く失ったもので、自賠責等級のうち、4級に該当します。

次が両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもので、6級です。

両耳で最も軽い等級は両耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもので、11級です。

片耳で最も重い等級は、1耳の聴力を全く失ったもので、9級です。

片耳で最も軽い等級は、1耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもので、14級です。

これらは、耳鼻科で聴力検査の結果により認定されます。

これらの聴覚障害は事故との因果関係が認められなければならず、事故からなるべく早い段階で耳鼻科を受診し、検査を受けていること、その後も定期的に耳鼻科を受診しており症状の継続がわかること、が必要です。

従って、事故からあまりに時間が経過して耳鼻科を受診したり、1回しか耳鼻科を受診していない等では、事故との因果関係が認められにくいです。

事故により聴覚障害が出てしまった方はご注意ください。

その他、治療中に注意することについてアドバイスをご希望であれば、お気軽にご相談ください。

休業損害の計算方法

名古屋で交通事故案件を中心に取り扱っている弁護士の青山です。

最近、交通事故案件で、損害賠償請求をする中でよく感じるのが、休業損害の計算方法は正しい計算方法が浸透してきたということです。

給与所得者の休業損害のお話ですが、これは、事故により欠勤し、給与の減額があった場合や有休を使用した場合に請求できます。

勤務先で休業損害証明書を書いてもらい、保険会社等に提出します。

以前よく問題になっていたのが、その計算方法です。

事故前3カ月間の給料合計額を事故前3カ月の日数で割って一日あたりの休業損害日額を出すのですが、保険会社側から、事故前3カ月間の給料を÷90日で計算する方法をよく主張されていました。

これですと、土日が休みの会社員の方などは、3カ月間で60日ちょっとしか働かないので、労働日数1日の給与相当額を計算すると、例えば事故前3カ月間の給与の合計が90万円だとすると、90万円÷60日=1万5000円が労働1日あたりの給与相当額となります。

しかし、これを90日で割ってしまうと、90万÷90日=1万円となってしまい、不当に低くなり、被害者は損をします。

この÷90日の計算方法でも間違いではない場合もあるのですが、÷(実際の稼働日数)で計算するほうが正しいことが多いです。

今でも保険会社側からは÷90日の計算で休業損害の支払いが提示されることは多いですが、弁護士が介入して交渉すれば÷(実際の稼働日数)で休業損害が支払われることが多くなってきました。

多くの交通事故被害者ないしその弁護士が、正しい計算方法で交渉してきたことの効果が地道に表れ、計算方法が保険会社側にも浸透してきたものと思われます。

私も、今後より定着することを期待して、休業損害の正しい計算式で交渉を続けて参ります。

相続土地国庫帰属制度の開始

名古屋で交通事故案件を中心に取り扱っている弁護士の青山です。

今回の記事は交通事故関連ではなく、相続分野に関連が深い話題となりますが、間もなく興味深い制度が始まりますので、ご紹介させていただきます。

相続土地国庫帰属制度です。

私は、以前、交通事故案件以外に相続案件を取り扱っていたこともあります。

そのなかで、相続財産の中に利用することが困難な土地が含まれており、その土地だけ手放したいが、相続放棄をすればそのほかの相続財産も全て放棄しなければならないことから、やむを得ず利用困難な土地も含め相続する、というケースがよく見受けられました。

しかしながら、利用できない土地であっても、土地の固定資産税や管理費はかかるため、相続人の負担となりますし、結局他に買い手もいないため、更に相続が発生することで当該土地の所有者が膨れ上がり、より処分が困難となるケースもありました。

今回の相続土地国庫帰属制度は、相続や遺贈によって土地の所有権を取得した相続人であれば申請が可能で(共有者全員で申請する必要があります)、法務大臣の承認により、土地を手放して国庫に帰属させることを可能とする制度です。

ただし、国庫帰属が認められないケースもあります。

令和5年4月27日より施行されます。

この制度により、相続により不要な土地を取得した方の負担の解消、所有者不明土地増加の歯止めにつながることが期待されています。

 

Youtubeと著作権

名古屋の弁護士の青山です。

今回は、興味深いなと思った最近の裁判例について少し触れます。

Youtubeはとても身近な情報ソースであり、私も見ることがあります。

このYoutubeで、長編の映画を編集して10~15分程度にまとめ、映画の全容がわかるような内容の動画がアップされたところ、映画の著作権者の著作権を侵害するとして、損害賠償が認められた裁判例が最近出ました。

映画等の著作物の著作権者には、著作権の内容として、翻案権、公衆送信権が認められます。

翻案権とは、著作物を翻訳、編曲、変形、脚色、映画化その他翻案する権利をいいます。

小説や漫画の映画化などが典型的です。

今回のYoutubeへアップされた動画も、映画の全容がわかるような形で10~15分に編集したものであり、翻案にあたると判断されました。

また、公衆送信権とは、その名のとおりで、著作物を公衆に送信する権利です。

今回のYoutubeへの動画アップは、この公衆送信権も侵害するとされました。

そして、このケースの損害額は、問題となった映画は、本来消費者がストリーミング形映画を視聴するには所定の料金を支払ってはじめて可能になることから、この料金を考慮して定める金額に、再生数を乗じて算定するのが相当であると判断されまし。

Youtubeがこれだけ広まっている中でこのような裁判例は今後も増えていくのではないでしょうか。

また、法規制も進んでい行くでしょう。

既存の映画等の作品を題材にした動画をYoutube等にアップする際には、他人の著作権を侵害していないか、注意が必要ですね。

タクシー共済との交渉

名古屋で交通事故案件を中心に扱っている弁護士の青山です。

タクシーとの間で交通事故に遭った場合、タクシーが任意保険に加入していれば、任意保険会社がタクシー側の窓口になります。

ところが、タクシーは任意保険に加入していないことも多く、タクシー共済に加入している場合はタクシー共済が交渉の窓口になります。

そもそもタクシー共済がどのようなものなのかですが、タクシー会社は、その保有する膨大な数のタクシー車両について、全て任意保険に加入するとなると、保険料の負担が莫大なものになります。

そこで、いくつものタクシー会社が寄り集まり、交通事故の損害賠償請求に備えるための自主的な組織がタクシー共済です。

このタクシー共済が任意保険会社は何が違うのかですが、任意保険会社は、その存在意義の一つに被害者救済というものがあります。

ところが,タクシー共済は,交通事故を起こしてしまった場合にタクシー会社側を守ることにも重点が置かれています。

タクシー共済と任意保険会社のこのような性質の相違から、タクシー共済が相手方の場合は、賠償金を支払わないで済むよう話をもって行こうとすることがあり、注意が必要です。

タクシー共済が相手方の場合,例えば,次のようなことを主張される可能性があります。

交通事故自体が起こっていない、この程度の事故で怪我をするはずがない、あなたのほうが過失が大きい等です。

タクシー共済が相手である場合、話し合いでは解決がつかず、裁判が必要になることも多いです。

タクシー共済が相手方でお困りの方は、一度弁護士に相談してみるのも良いと思います。

民法改正

名古屋で交通事故案件を中心に取り扱っている弁護士の青山です。

民法の重要な改正がありました。

嫡出推定の制度を見直す改正民法が、12月11日参院で可決され、成立しました。

改正民法が施行されるのは2024年夏ころとのことです。

これまでは、女性が婚姻中に懐胎した子どもは夫の子どもと推定され、離婚後300日以内に生まれた子どもは前夫の子供と推定されました。

そして、女性が離婚後に再婚した場合、再婚後200日経過後に生まれた子どもは現夫の子どもと推定されました。

この嫡出推定の制度は古く、明治時代に制定された民法がそのまま現代まで続いておりました。

このような嫡出推定の制度から、離婚から300日以内、かつ再婚から200日以降に生まれた子どもは、両方の夫の子どもの推定を受けてしまいます。

このような推定の重複を避けるために、現行法では女性は離婚後100日間は再婚が禁止されており、男女平等の原則に反する等でこれまで多くの議論を呼んでおりました。

今回の民法改正により、離婚から300日以内に生まれた子どもでも、女性が再婚後なら現夫の子と推定されるようになりました。

これにより、推定の重複の問題が解消されたため、女性の再婚禁止期間は撤廃されることとなります。

高次脳機能障害と成年後見

名古屋で交通事故案件を中心に取り扱っている弁護士の青山です。

交通事故で高次脳機能障害を負い、被害者に判断能力がなくなった場合には、成人であれば成年後見人を付けたほうが良いケースがあると、以前にもお伝えしたことがあると思います。

最近の報道で、交通事故の後遺症で高次脳機能障害と診断され、精神障害者手帳の交付を受けた被害者が、亡くなる直前に自宅を不動産会社に売却していたことが分かり、被害者の遺族が不動産会社を相手取り提訴した、というニュースを目にしました。

このケースでは、交通事故の被害者が意思能力(単独で有効に意思表示をできるだけの能力、判断能力)を欠いていたかかが主な争点になると思われます。

意思能力があったかは、ケースごとに、行われた契約等の法律行為の難易度や重要性等を考慮して、その行為の結果を正しく認識できていたかで判断すると裁判例上考えられております。

本件でも、この意思能力がなかった点を原告側が主張・立証していかなければならないでしょう。

この点、高次脳機能障害が残り、判断能力がないことが判明した時点で、なるべく早期に成年後見人をつけるということが、重要です。

成年後見人がついていれば、本人が単独でなした法律行為は取り消すことができ、被害者を守ることができます。

高次脳機能障害の被害者は、後見人を付けたほうが良いケースが一定数ございます。

この点も含め、高次脳機能障害が残った交通事故患者様やそのご家族の方は、一度ご相談ください。

 

通院先の病院等をどのように選ぶか?

名古屋で交通事故案件を中心に扱っている弁護士の青山です。

交通事故案件の相談を多数いただいておりますが、通院先をどのように選べばよいのか?というご質問をいただくことが良くあります。

どの病院や接骨院で治療を受けるのかによって、その後に大きな違いが出てくる場合がありま。

まず、一定期間、場合によっては長期、通院するわけですから,病院(整形外科等)の医師,接骨院の柔道整復師との相性は大事です。

自分の話を親身になって聞いてくれる医療機関を選ぶようにしましょう。

医師や柔道整復師は、万一保険会社から不当な治療費の打ち切りに遭いそうになったとき、患者の味方になってくれる重要な存在です。

自分と相性の良い病院、接骨院を選びましょう。

また、レントゲン、MRIなどの機器が揃っているかも大事です。

交通事故に遭った場合、定期的に画像等を撮影し、症状の経過を残していくことが重要になります。

これらの機器が無いと、画像撮影のために外部の医療機関を受診しなければならなくなり、患者にとって手間が増えます。

更に、交通事故患者の治療実績が豊富か否かも重要なポイントになります。

医師や柔道整復師は保険会社の担当者から治療経過を聞かれる等、保険会社とやり取りをすることも多々あります。

このような時,交通事故患者の治療実績が豊富なほうが、保険会社の担当者に対しても適切に対応してくれることが期待できます。

ホームぺージ等で、交通事故患者の取り扱い実績があるか否かを調べてみるとよいでしょう。

 

自転車と歩行者の事故

名古屋で交通事故案件を担当している弁護士の青山です。

おかげさまで、交通事故の新規相談を日常的に多数いただいております。

そのような中で、自転車と歩行者との事故で、歩行者にも過失割合が認められるのか?というご相談をいただくことがあります。

道路交通法上も自転車は軽車両として扱われていること、道路上では「歩行者優先」という認識が根強いことなどから、歩行者には基本的に過失が認められず、歩行者は損害賠償義務を負わないとも考えられがちです。

この点、歩行者が青信号で横断歩道を渡っている際の事故であれば、歩行者には過失割合は認められません。

もっとも、歩行者にも一定の過失が認められる場合があり、その場合は自転車に乗車していた方から歩行者への損害賠償が認められます。

例えば、横断歩道を黄色ないし赤色で横断中の歩行者には10~60%の幅はありますが、過失が認められます。

また、横断歩道があるにもかかわらず横断歩道の手前で横断を開始した場合も、信号色に応じて歩行者にも10%~80%程度の過失が認められます。

更に、歩行者が横断歩道が無い場所で横断中に自転車と衝突した場合にも、歩行者に一定程度で過失割合が認められる傾向にあります。

最近では、歩行者がスマートフォンを見ながら歩行していた場合に過失割合上考慮されないかというご相談もあります。

状況によっては歩行者側に過失割合が加算修正されることもあるでしょう。

このように、歩行者であれば過失がないと扱われるわけでは必ずしもありませんので、注意が必要です。

お盆

名古屋で交通事故案件を中心に取り扱っている弁護士の青山です。

今年は、6月頃から猛暑日が続き、暑さで長らく苦しんでいる感覚があります。

さて、夏休みの時期に入っております。

今年は、コロナが流行してから初めて、緊急事態宣言や蔓延防止措置等の行動制限が出ていない夏となりました。

旅行や遠出を計画していらっしゃるかたも多いのではないでしょうか。

コロナ感染数は過去1番で、20万人越えの毎日が続いておりますので、感染対策は万全にした上で、楽しい夏休み、お盆を過ごしたいですね。

お盆と言えば、帰省や遠出などで車の運転をする機会が増え、「交通事故に遭った」という新規の交通事故法律相談が増加する時期でもあります。

皆様、帰省や遠出の際にはせっかくの規制や遠出を台無しにしないためにも、交通事故には細心の注意を払ってください。

万が一、事故に遭ってしまった場合には、すぐに医療機関を受診しましょう。

旅行先でまだ何日か滞在する予定がある場合は、帰省してから通院しようとすると、事故から日数が空いてしまい、怪我と事故との因果関係が否定される可能性も無くはないです。

このような場合は、旅行先で一旦、現地の医療機関を受診しましょう。

また、警察にも診断書を提出し、人身事故扱いにしておく方が無難です。

自身にもそれなりに過失がある場合は、人身事故にすることで罰金等の刑事処分や免許の減点等のリスクもありますが、自身が被害者であれば、このような心配は通常ありません。

事故には気を付けつつ、楽しい夏休みやお盆をお過ごしください。

そして、万が一事故に遭われた際には、私までご相談ください。