ADRの利用

相手方保険会社との示談交渉が進まない場合,第三者的機関に裁定を求めることがあります。

その代表的なものが裁判ですが,裁判以外にも,民事調停や,ADR(裁判外紛争解決,Alternative Dispute Resolution)を利用する方法もございます。

交通事故案件で利用することが多いADR機関としては,「公益財団法人交通事故紛争処理センター」(「紛セ」と略されることが多いです)があります。

「紛セ」を利用するメリットとしては次のものがあります。

・申し立て費用が無料であること(ただし,弁護士に依頼する場合の弁護士費用はかかります)。

・裁判を提起すれば1年,長い場合は1年半程度かかることもありますが,裁判に比べ短期間で終了すること(3~6カ月程度が目安となります)。

・基本的には裁判基準に基づいたあっ旋案が提示されるため,示談交渉よりも高額になる可能性があること

デメリット

・あくまで話し合いによる解決が基本であるため,当方の主張が激しく対立する事件には向かないこと。

ただし,当事者の一方があっ旋案に合意しないときは,あっ旋不調となり,当事者のいずれかの申し立てがあれば審査会での審査に移行します。この場合でも,事案の性質によってあっ旋や審査会での採決になじまないと判断されたものについては,訴訟移行の判断がなされて紛セでの手続は終了します。

・自転車事故,後遺障害等級認定等は取り扱っていないこと

これらを踏まえた上で紛セを利用すれば,必ずしも裁判を起こさなくても事件解決が可能かもしれません。

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