高次脳機能障害の目安

名古屋で交通事故案件を中心に取り扱っている弁護士の青山です。

今回も高次脳機能障害に関する記事です。

これまでも私のブログでは高次脳機能障害の記事を多数書いてきましたが、高次脳機能障害は、ご本人やご家族でも気づきにくいことが多いです。

被害者の方が頭を打つなどして生死の境をさまようような状態が続いた後、奇跡的に意識が回復すれば、家族もそのような奇跡を喜ぶあまり、被害者の事故前と事故後の小さな変化を見落としてしまうことが意外とあります。

事故により高次脳機能障害が残るか否かの目安は、概ね3つです。

①交通事故後による脳外傷を裏付ける画像所見

事故後に撮影された脳のCT・MRIでくも膜下出血、硬膜下血腫、その他の脳出血の存在や、脳挫傷痕が確認されること。

ただし、CTやMRIではDAI(びまん性軸索損傷)が発症している場合に、DAIの発生を確認することが困難です。

なぜなら、DAIは大脳白質部内部に張り巡らされた細かな神経コードの断線が推定される症状ですが、この神経コードそのものは、現在の画像技術では撮影できないためです。

DAIについては、また別の機会に記事を書きます。

②一定期間の意識障害の継続

事故後から、半昏睡~昏睡で開眼・応答しない状態が6時間以上継続すると高次脳機能障害の発生の可能性が高まる、と言われています。

また、上記のほどまでは至らない軽度な意識障害であっても、1週間以上続くと高次脳機能障害の発生の可能性がある、と言われています。

③高次脳機能障害に特有の異常な傾向が生じていること

怒りっぽくなった、感情の起伏が激しくなった、忘れっぽくなった、一つの作業を集中して行うことができなくなった、周囲の人間と衝突しやすくなった等の異常な傾向が生じていれば、高次脳機能障害の症状と考えられます。

交通事故に遭い、頭部を受傷した被害者の方は、奇跡的に意識を取り戻すなどの回復を見せたとしても、このような目安に照らして高次脳機能障害がないか、ご家族とともに確認することが重要です。