高次脳機能障害と等級

名古屋で交通事故案件を中心に扱っている弁護士の青山です。

交通事故案件を多数扱っていると、頭部外傷を負い、高次脳機能障害が残ってしまった被害者やそのご家族からのご相談をよくいただきます。

ここで、高次脳機能障害が残った場合は、自賠責保険における等級がものすごく重要です。

高次脳機能障害で後遺障害等級が認定される場合、自賠責保険の等級では、1、2、3、5、7、9級の各等級が設けられています。

1級、2級は日常生活上において介護が必要な場合です。

1級が常に介護を要する場合、2級は随時介護を要する場合です。

3級以下は、日常生活上の介護は必要ではないものの、労働能力の喪失の度合いに応じて定められています。

3級は労働能力を全く喪失してしまった場合で、労働能力の程度が残存するにつれて級は軽くなります。

高次脳機能障害は、介護が必要になったり、労働が困難になる等の状態が将来に亘って続くことになりますので、賠償金額は大きくなる場合が多いです。

そして、後遺障害等級が変わると賠償金が大きく変わります。

後遺障害慰謝料は等級ごとに設定されており、裁判基準で1級が2800万円前後、2級が2370万円前後、3級が1990万円前後、5級が1400万円前後、7級が1000万円前後、9級が690万円前後、とされております(一応の目安であり、事案によって異なる場合があります)。

また、後遺障害逸失利益も、等級ごとに異なる労働能力喪失率が設定されていいます。自賠責保険の労働能力喪失率は、1級~3級が100%、5級が79%、7級が56%、9級が35%程度と定められております。

等級が異なると、金額が大きく変わってきます。

また、1級や2級の場合では、将来に亘る介護費用が支払われます。

将来の介護費用は、かなり金額が大きいです。

そこで、高次脳機能障害で後遺障害等級が認められた場合には、その等級が妥当なのかどうか、弁護士に相談してみたほうが良いと思われます。

弁護士に相談した結果、等級が不当に軽いということであれば、自賠責保険に異議申し立てする、裁判外紛争処理機関(ADR)である紛争処理機構(一般財団法人自賠責保険・共済紛争処理機構が正式名称)に紛争処理手続きの申請をする、最終手段として訴訟を提起する等の手段で等級の妥当性を争うことができます。

ただし、自賠責保険への異議申し立てが圧倒的に多いです。

高次脳機能障害で後遺障害等級が認定された方やご家族の方は、等級が妥当か、ご相談ください。