相続土地国庫帰属制度②

名古屋で交通事故案件を中心に取り扱っている弁護士の青山です。

全国的に40度近い猛暑が続いておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

東海地方は、本日の午前中に梅雨明けした、との発表がありました。

学校も夏休みに入るちょうどよいタイミングでの梅雨明けですね。

直近の土日は、外出を控えたほうが良いといわれるほどの猛暑日でしたが、今後は暑さが落ち着くことを願います・・・。

お出かけの際には、熱中症に気を付けましょう。

さて、前にも書きましたが、相続や遺贈によって利用できない土地の所有権を取得してしまった場合に、法務大臣の承認により、土地を手放して国庫に帰属させることを可能とする制度でである相続土地国庫帰属制度をご紹介しました。

令和5年4月27日から施行されています。

利用ができない相続土地の処分にお困りの方は検討されるとよいかと思いますが、どのような土地でも国が引き取ってくれるわけではなく、対象外となる土地もあります。

具体的には、却下要件か、不承認要件に当たる場合には、対象外となります。

却下要件は、申請の時点で直ちに認められないこととなるものです。イメージとして、門前払いに近いものです。

例えば、土地の上に建物が建っている土地、担保権(抵当権等)や使用収益権(地上権、地役権等)が設定されている土地、他人による利用が予定されている土地(道路として利用されている、墓地内の土地、境内地等)、土壌が汚染されている土地、隣地との境界が明らかではない土地や所有権の範囲が明らかでない土地等が却下要件に当たります。

これに当たれば、申請しても直ちに却下されます。

不承認要件は、審査には入るものの、一定の要件に該当する場合に不承認となる場合があるというものです。審査には入る点で却下要件とは異なります。

不承認要件は、勾配・高さの崖があって、管理に過分な費用・労力がかかる土地、土地の管理・処分を阻害する有体物が地上にある土地、逆に除去しなければいけない有体物が地下にある土地、隣接する土地の所有者等との争訟が予想される土地、その他、通常の管理・処分に当たって過分な費用・労力がかかる土地等がこれに当たるとされております。

不承認要件の場合は、担当官により書面調査や実地調査は行われます。

その上で、不承認か否か判断されます。

却下要件や不承認要件に該当するケースは、思いのほか多そうですね。

別荘地などで一帯の土地を管理する管理組合があり、その管理組合への土地の管理費を一定額支払っているような場合等は、不承認要件に当たる可能性があります。

相続土地国庫帰属制度を利用しようとお考えの方は、一度、土地の所在地を管轄する法務局や地方法務局にお問い合わせいただいたほうが良いと思います。