交通事故の損害賠償と自己破産
1 交通事故の加害者の方が自己破産をする場合
⑴ 交通事故損害賠償債務の性質
破産手続きにおいては,消費者金融等と同じく,交通事故の被害者も債権者であることになります。
したがって,自己破産をする方が,破産手続開始決定前に交通事故を起こしていた場合,交通事故被害者は破産債権者であることになります。
⑵ 交通事故損害賠償債務は免責されるか
交通事故損害賠償債務が非免責債権に該当する場合は免責を受けることができません。
たとえば,加害者が交通事故をわざと発生させた場合や,不注意の程度があまりにも大きい場合には,交通事故損害賠償債務の支払義務は残り続ける可能性があります。
そうでない場合には基本的には免責されると考えられます。
2 交通事故被害者の方が自己破産をする場合
⑴ 損害賠償請求権は,財産にあたります
損害賠償債権は債権であり,発生したタイミングによっては破産財団に帰属し,債権者への配当原資となります。
破産手続開始決定後に発生した交通事故に基づく損害賠償請求権は自由財産となるため,債権者に分配すべき財産にはならず,賠償金を手元に残すことができます。
しかし,破産手続開始決定前に発生した交通事故に基づく損害賠償請求権は,破産法の建前からすると,各債権者に分配すべき財産になる可能性があります。
⑵ 賠償金を手元に残せる場合と残せない場合
例えば,車両の修理費といったいわゆる物損の損害賠償請求権は自由財産として賠償金を手元に残すことができない場合が多いとおもわれます。
一方で,治療費や慰謝料,介護費用等の請求権については自由財産として手元に残すことができる場合もあると考えられます。
3 名古屋で自己破産を検討されている方へ
名古屋地区は全国的にみても交通事故の件数が多く,自己破産と交通事故が関連する問題が発生する事例も決して少なくありません。
また,名古屋地方裁判所は規模の大きい裁判所であり,多くの事件を処理するべく独特の運用が定められています。
裁判所特有の運用に詳しくない弁護士に依頼してしまった場合,思わぬ落とし穴が待ち受けているかもしれません。
名古屋で自己破産を検討されている方は,弁護士法人心の弁護士にご相談ください。
弁護士に自己破産を依頼している間にクレジットカードを使ってしまった場合 自己破産を弁護士に依頼する場合のポイント