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特別受益がある場合の遺産分割の計算方法

  • 文責:弁護士 上田佳孝
  • 最終更新日:2023年6月28日

1 特別受益の金額で遺産分割の内容が異なる

特別受益の金額によって、遺産分割の内容が大きく異なる場合があります。

そもそも、特別受益とは、簡単にいうと、被相続人から生前贈与や遺贈等によって受けた、遺産の前渡しとしての利益のことをいいます。

たとえば、生前、相続人に対し、相続人が住む建物の購入費として、被相続人が当該相続人に1000万円を贈与していた場合、その1000万円が特別受益に当たる可能性があります。

他方、被相続人から、お小遣いとして、月1万円程度を貰っていたとしても、金額が低いため、基本的に遺産の前渡しとしては評価されにくく、特別受益には当たらない可能性が高いです。

2 特別受益がある場合の遺産分割の計算方法

特別受益がある場合、その特別受益の分も含めて、遺産の分け方を決定することになります。

たとえば、父が亡くなり、相続人が長男と長女で、遺産が4000万円、長男の特別受益が1000万円の場合で考えてみます。

特別受益がある場合は、その特別受益の分も含めて遺産の総額を計算します。

その後、法定相続分で遺産を分け、そこから、特別受益がある相続人は、その金額について、遺産の取得額から控除されます。

先ほどの例では、遺産4000万円に1000万円を加えた合計の5000万円を相続人二人で、各2分の1ずつします。

そうすると、一人2500万円となり、長女の取り分は、2500万円のままです。

もっとも、長男は、1000万円の特別受益があるため、長男の取り分は、2500万円から1000万円を控除した1500万円となります。

3 特別受益の金額が多額の場合

仮に先ほどの事例で、長男の特別受益の額が6000万円の場合はどうなるでしょうか。

先ほどの計算式に当てはめると、遺産4000万円に特別受益の6000万円を加えた1億円を相続人二人で、各2分の1ずつします。

そうすると、一人5000万円となりますが、遺産は4000万円しかありませんので、長女は4000万円、長男は、5000万円から6000万円を控除したマイナス1000万円になり、長男は長女に1000万円を返さないといけなくなるとも考えられます。

しかしこの場合、長男は、計算上ではマイナス1000万円になりますが、遺産分割ではこのマイナス1000万円は控除されないため、結局、遺産の取り分について、長男の取り分は0円、長女の取り分は遺産全額の4000万円となります。

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