過失相殺と損益相殺による控除の先後関係

損益相殺とは、不法行為によって損害を受けた被害者が、同一の不法行為によって利益を受けた場合に、受けた利益を損害から控除することをいいます。

損益相殺の対象となるのは、利益と損害が同一の不法行為によって生じ、利益と損害との間に同質性が存在する場合であるとされています(最高裁平成5年3月24日判決)。

損益相殺で控除が認められるものには、健康保険による傷病手当金、労災保険法による特別支給金を除く給付、障害基礎年金、遺族基礎年金、所得補償保険などがあります。

 

被害者が得た利益を損害額から控除できるとして、過失相殺も問題となる場合に、被害者に生じた総損害額から控除するのかや費目を拘束するのかなどの問題があります。

この点、健康保険は、過失相殺前の損害額から控除されています。

労災保険については過失相殺後の損害額から控除数路tの最高裁平成元年4月11日判決があります。

 

損益相殺による控除がどの範囲でなされるか、損益相殺による控除と過失相殺との先後関係は被害者の方が受け取る損害賠償額に大きな影響を与えます。

加害者側に賠償請求を進める際には、弁護士として誤りがないよう、裁判例を確認するとともに利益と損害が同一の不法行為によって生じ、利益と損害との間に同質性が存在するか慎重に検討することが重要となります。