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限定承認と相続放棄の違い

  • 文責:弁護士 上田佳孝
  • 最終更新日:2022年6月13日

1 限定承認と相続放棄は全くの別物

限定承認と相続放棄は、全く別の手続きであり、それぞれ内容が異なります。

そのため、深く考えずに手続きを行ってしまうと、トラブルになる可能性や債権者から損害賠償請求をされる可能性があるため、注意が必要です。

2 限定承認と相続放棄とは

まず、限定承認とは、相続人が故人(被相続人といいます)のプラスの財産の範囲で借金などのマイナスの財産を相続する手続きをいいます。

他方、相続放棄とは、被相続人のプラスの財産もマイナスの財産も相続しない(放棄する)という手続きです。

限定承認と相続放棄について、どちらも家庭裁判所での手続きが必要であり、3か月の期間制限あります。

なお、この3か月の期間制限を過ぎてしまうと、相続したものとみなされ、限定承認も相続放棄もできなくなるため、注意が必要です。

3 限定承認と相続放棄の違い

限定承認と相続放棄の違いについて、大きく分けて、①効果、②手続き、③専門家に依頼した場合の報酬が異なります。

① 効果

まず、限定承認は、プラスの財産の限度で、マイナスの財産を相続するという制度であるため、マイナスの財産の方が多い場合、限定承認をする意味はほとんどありません。

もっとも、マイナスの財産の方が多い場合でも限定承認を行う場合として、自宅に住み続けたいが借金を全額払えない場合などが当たります。

この場合、限定承認を行い、先買権という権利を行使して、自宅を優先的に買い取ることができます。

なお、自宅を買い取る場合、代金を準備する必要があり、代金も準備できない場合、限定承認をしても、自宅を取得できない結果となるため、あまりお勧めはできません。

他方、相続放棄は、すべての財産を放棄する手続きであるため、結果的にプラスが多い場合、損をする場合があります。

もっとも、そもそも遺産の取得を希望されない方や、プラスが多いのか不安な方は、相続放棄をした方が安心な場合もあります。

② 手続き

次に、手続き面での限定承認と相続放棄の違いについて、限定承認は相続人全員で行う必要があるため、相続人のうち、一人でも反対した場合は、限定承認ができなくなります。

他方、相続放棄は、相続人一人でも手続きを行うことができます。

また、限定承認の場合、家庭裁判所での手続きを行った後、官報公告といった手続きをし、その後、債権者に対し、プラスの財産を分配するなどの精算手続きが必要となります。

そのため、限定承認は、家庭裁判所に申立を行えば終わるものではなく、その後の手続きが非常に大変になる場合があります。

なお、その手続きの煩雑さもあってか、相続放棄と比較すると、限定承認はあまり利用されていません。

他方、相続放棄は、家庭裁判所に申立を行い、裁判所が相続放棄を認めれば手続きは終了となるため、限定承認ほど手続きが複雑ではありません。

③ 専門家に依頼した場合の報酬

限定承認を弁護士等の専門家に依頼した場合、専門家に支払う報酬として、50万円から100万円程度かかる場合があります。

他方、相続放棄を専門家に依頼した場合、専門家に支払う報酬として、7万円前後かかる場合が多いです。

ここまで限定承認と相続放棄の費用が異なる理由として、限定承認は、前述のとおり、手続きがかなり複雑であり、手続きが完了するまでに、相当な日数がかかるためです。

そのため、限定承認を行いたい場合は、専門家に支払う費用も考慮して限定承認を行うか決める必要があります。

なお、専門家の中には、相続放棄は取り扱ったことはあるが、限定承認は1件もしたことがないという方も少なくありません。

限定承認は、手続き自体も複雑ですし、税金に関する詳しい知識も必要となり、間違った手続きを行ってしまうと損害賠償責任を負う場合もあります。

そのため、限定承認を専門家にご依頼する場合は、その専門家が限定承認を行ったことがあるかも確認しておいた方が良いでしょう。

4 手続きに困った場合は専門家にご相談を

このように、限定承認と相続放棄は、①効果、②手続き、③専門家に依頼した場合も報酬について、かなり大きな違いがあります。

そのため、どの手続きを行うかについて、お困りの際は、この違いを意識しながら、どの手続きを行うか決めたほうが良いでしょう。

また、それでも限定承認か相続放棄のどちらを選んだ方が良いのか、ご不安な方は、一度専門家にご相談されることもおすすめです。

専門家の中には、限定承認や相続放棄に関する相談について、相談料が無料のところもございますので、積極的にそういった事務所にご相談された方が良いでしょう。

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