相続放棄の熟慮期間
1 相続放棄とは
相続放棄とは、法律で定められた期間内に、家庭裁判所に対して相続放棄の申述書を提出することによって、相続人の財産にかかる権利や義務を一切承継しないこととする制度です。
相続人は、原則として、被相続人の一切の財産にかかる権利や義務を承継します(民法896条1項)。
しかし、個別の事案によっては、相続により多額の負債を抱えることになる場合や、家の後継ぎとなる特定の相続人に相続財産を集中させる場合など、相続を望まないこともあり、相続放棄が行われます。
参考リンク:裁判所・相続の放棄の申述
2 熟慮期間
法律上、相続するか否かを決めるための期間が決まっており(この期間を「熟慮期間」といいます。)、この熟慮期間を過ぎると相続放棄をすることができなくなります。
熟慮期間は、①被相続人が亡くなったことを知り、②これによって自分が相続人であると知ったときから3カ月間とされており(民法915条1項本文)、この間に相続人は相続財産の調査などを行います。
3 熟慮期間の伸長
相続財産の調査が難航するなどの特別の事情がある場合には、熟慮期間の伸長を求めることができます。
いったん相続の承認や放棄を行ったら、熟慮期間中であっても撤回することはできないので、慎重に判断する必要があります。
仮に、何もせずに熟慮期間が経過すれば、相続人は自動的に相続を承認したものとみなされます。
また、相続するつもりがなくても、相続財産を処分等した場合には、相続を承認したものとみなされるおそれがあるので注意が必要です。
相続放棄に関しては、限られた時間内に必要な調査をして、相続するか否かの判断をしなければなりませんので、相続関係を得意とする弁護士にお早めにご相談されることをおすすめいたします。
名古屋で相続放棄やその熟慮期間に関してお悩みの際は、弁護士法人心にお気軽にご相談ください。