持続化給付金に関する裁判例

名古屋で交通事故案件を中心に取り扱っている、弁護士の青山です。

新型コロナウイルス関連で、最近、注目すべき裁判例が出ました。

新型コロナウイルス対策で、中小企業や個人事業主に対して給付されたいわゆる持続化給付金が、差し押さえの対象とならないと判示された裁判例です。

持続化給付金は、令和2年5月1日から申請が開始され、新型コロナウイルスの影響で売り上げが減少した法人や個人事業主を対象に、法人の場合は最大200万円、個人事業主の場合は最大100万円支給されるというものです。

この裁判例の事案では、個人事業主の女性が、持続化給付金の交付として、国から自分の口座に100万円の送金を受けたのに対し、消費者金融が同口座の100万円を差し押えたというものです。

これに対し、某地方裁判所は、持続化給付金の差押を禁じる法律はないが、持続化給付金は事業の再起の糧にすることが目的で、個人事業自身がこの持続化給付金を確保できなければ持続化給付金の目的を実現することが困難であるとして、差押えを禁止する決定を出しました。

なお、法人や個人事業主等に限らず、世帯主に対し家族1名につき一律10万円が支給される特別定額給付金には差押えを禁じる法律がありましたが、持続化給付金にはなかったため、司法判断が先行しました。

この裁判例は、評価されているようです。

もともと、債務者の生活上必要不可欠な財産や一定額以内の現金等は、民事執行法により差押えが禁止されております。

持続化給付金も、コロナの影響で売り上げが下がった事業者にとって、事業の継続の上で欠くことのできない財産と評価しうるということでしょう。

私自身も、この裁判例は合理的なものだと思います。