子どもが3人いるのですが,長男に全財産を相続させることはできますか?
人が死亡すると相続が発生します。
昭和の初め頃の日本においては,「相続」において,「財産は長男が継ぐもの」という風潮があり,「長子相続」という制度がありました。
「長子相続」とは,最初に生まれた子どもが財産を相続する制度のことをいいます。
しかも,ここでいう子どもとは,たいてい男子のことで,女性は含まれていません。
「長子相続」という制度は,1974年に廃止されましたが,その後においても,「長子相続」の考え方に従った「相続」がなされていました。
現在の民法においては,被相続人との関係に応じて,相続人ごとに法定相続分が定められています。
遺言で,遺産分割の方法の指定をすることが可能です。
それゆえ,被相続人は,「遺産はすべて長男に相続させる」という内容の遺言を作成することによって,いったんは遺産のすべてを長男に相続させることができます。
もっとも,現行民法においては,遺留分という制度が存在します。
遺留分とは,相続財産の中で一定の相続人に必ず相続させる割合をいい,相続財産の全体の2分の1です(直系尊属のみが相続人の場合には3分の1)。
被相続人の「全財産を長男に相続させる」旨の遺言などによって,自己の遺留分を侵害された相続人は,遺留分侵害額請求権(遺留分減殺請求権)を行使することによって,侵害額の回復を図ることができます。
本件のように子どもが3人いらっしゃる場合,ご長男に,被相続人の遺産のすべてを相続させようとしても,他の相続人から遺留分の請求をされることがあります。
ただ,生前贈与等の主張を組み合わせることによって,ご長男以外の相続人に支払うべき代償金をゼロにすることも可能な場合もあります。
名古屋にお住まいの方で,相続に関してお悩みの方は,一度,弁護士法人心にご相談ください。
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