警察への診断書の提出

名古屋で交通事故案件を中心に取り扱っている弁護士の青山です。

すっかり涼しくなってきまして,過ごしやすくなりました。

今年の夏はコロナのせいで,夏らしいことはほとんどすることができませんでしたが,皆さまも同じではないでしょうか。

9月末になり,コロナの新規感染者数も落ち着いてきてはいますが,未だ一定数は出ていますね。

引き続き,万全の感染対策をとりたいと思います。

さて,コロナにもかかわらず,おかげさまで,交通事故案件の新規ご依頼数は,今のところ目立った減少はなく済んでおります(もちろん,いつ新規依頼数が減少してもおかしくありませんが)。

その中で,お客様から,交通事故に遭い,怪我をした場合,警察に診断書を提出し,人身事故扱いにした方がよいのか,物損事故扱いのままでよいのか,というご質問を受けることがよくあります。

この点,人身事故扱いにしていなければ,怪我が大したことがないという扱いをされてしまい,治療費が早期に打ち切られる,適切な後遺症認定が受けられない等のおそれがあることは否めません。

しかしながら,加害者から,車両を仕事で使用するため免許が停止等されると困るとして,人身事故扱いにしないでほしいと懇願されることは多くあります。

このような場合に,加害者を気遣って,あるいは,加害者の逆恨みをおそれ,人身事故扱いにしないでいることも少なくはありません。

人身事故扱いとしないからといって,直ちに治療の面で不利益な取り扱いを受けることは,近時では少なくなっているようですが,そのリスクが無いとは言えないので,できれば,人身事故扱いにしておいた方が良いとは言えます。

事情があり,物損事故扱いのままにするときは,治療費の対応は十分にしてもらえるよう,あらかじめ保険会社と相談しておくことをおすすめします。

また,過失に争いがある場合は,人身事故扱いとしておくことをお勧めします。

なぜなら,物損事故扱いの場合は,事故現場の実況見分等の詳細な捜査は行われず,簡単な「物件事故報告書」が作成されるのみとなります。これでは,事故状況をはっきりさせる材料がなく,過失が争いになった場合に示談交渉が進まなくなるおそれがあります。

ただし,人身事故扱いとする場合は,警察は双方を被疑者として捜査を開始する場合がありますので,場合によってはご自身も刑事処分等の対象となる可能性はあることだけご注意ください。