越境に関する覚書は土地の買主にも効力が及ぶのか

1 越境に関する覚書

土地を測量すると実はフェンスが一部だけ越境していたなどということはよくあります。
その際、すぐにフェンスを取り壊して越境状態を解消しなければならないかというと、実務上は、わずかな越境で両方の土地の使用に支障がないような場合であれば、越境に関する覚書を交わしたうえで現状を維持するということがよくあります。
覚書としては、両当事者が越境している事実を認めたうえで、越境されている側が越境している側の現状の使用を承諾しつつ、越境している側が将来立て直し等する場合には撤去するという内容のものがよくあります。

2 土地所有者が変わった場合の覚書の効力

越境されている土地について売買がなされた場合、その新所有者に覚書の効力は及ぶのでしょうか?
例えば、新所有者が、越境をすぐに解消するように求めることができるのかということについて考えます。
まず、覚書は、あくまでも、越境している土地の所有者と越境されている土地の旧所有者との間で交わされているにすぎず、その効力が当然に新所有者に及ぶものではありません。
ただ、実際の不動産取引実務においては、旧所有者と新所有者との間の売買契約において、覚書の内容を承継させる旨の規定を入れることが一般的です。
その場合には、新所有者にも覚書の効力が及びます(弁護士としては法律構成が気になるところですが、契約上の地位の移転や債務引受等の構成により説明されるものと考えられます。)。
したがって、この場合の新所有者は、越境をすぐに解消するように求めることはできないということになります。
一方、旧所有者と新所有者との間の売買契約において、覚書について一切触れられていなかったような場合には、新所有者には覚書の効力は及びません。
この場合、新所有者としては、越境をすぐに解消するように求めることができそうですが、わずかな越境について越境している側に過大な負担を強いるような場合には、権利の濫用であるとして認められない可能性があります。

在留資格の手数料の引き上げ

2026年5月29日に入管法が改正され、在留資格の変更・更新許可や永住許可の手数料が大幅に引き上げられました。

従来は、在留資格の変更・更新許可、永住許可の手数料について、法律上、「1万円を超えない範囲内において別に政令で定める手数料を納付しなければならない」とされていました。

この法律の金額は、あくまでも上限であり、実際の金額は政令(出入国管理及び難民認定法施行令)で決められており、在留資格の変更・更新許可は6000円、永住許可は1万円とされています。

今回入管法が改正され、法律上の上限額が以下のとおり改められました。

在留資格の変更・更新許可:10万円
永住許可:30万円

実際の金額については、今後、政令の改正が予定されていますが、現時点では、許可される在留期間が3か月以下の場合は1万円程度、許可される在留期間が5年の場合には7万円程度、永住許可については20万円程度が見込まれています(令和8年4月10日 第221回 国会 衆議院 法務委員会)。

今回の手数料引き上げについて、政府は、審査に要する実費、在留管理に要する費用、諸外国の手数料水準などを考慮した上で、将来の物価上昇にも柔軟に対応できるよう、法定上限額を引き上げたと説明しています(同法務委員会)。

また、改正入管法67条3項は、「経済的困難その他特別の理由により手数料を減額し、又は免除することが相当である者として政令で定めるものであるときは、政令で定めるところにより…手数料を減額し、又は免除することができる」としており、一定の場合に減免される可能性を残しています。

今回の法改正は、外国人を雇用する企業にとっても実質的な負担増となる可能性があり、今後の政令改正の動向に注目する必要があります。

私も弁護士の立場から、情報を追っていきたいと思います。