「大麻」に関する「麻薬及び向精神薬取締法」の改正

これまで、大麻の所持等については、大麻取締法で規制されていましたが、昨年12月の法改正により、今後は、「麻薬及び向精神薬取締法」で規制されることになりました(施行時期は2024年中のようです。)。

改正された「麻薬及び向精神薬取締法」では、2条1号の麻薬の定義として「麻薬 別表第一に掲げる物及び大麻をいう。」と「大麻」が追加され、また、2条1号の2に「大麻 大麻草の栽培の規制に関する法律(昭和二十三年法律第百二十四号)第二条第二項に規定する大麻をいう。」と大麻の定義も追加されました。
麻薬及び向精神薬取締法66条1項は、「ジアセチルモルヒネ等以外の麻薬を、みだりに、製剤し、小分けし、譲り渡し、譲り受け、又は所持した者(第六十九条第四号若しくは第五号又は第七十条第五号に規定する違反行為をした者を除く。)は、七年以下の懲役に処する。」とされており、この「麻薬」に、上記のとおり、「大麻」が含まれることになりましたので、今後は、大麻の所持等もこの条文が適用されることになります。
これまで、営利目的でない大麻の単純所持は、大麻取締法24条の2で「大麻を、みだりに、所持し、譲り受け、又は譲り渡した者は、五年以下の懲役に処する。」とされており、5年以下の懲役でしたが、改正された麻薬及び向精神薬取締法の施行後は、7年以下の懲役に厳罰化されることになります。

また、大麻の使用については、麻薬及び向精神薬取締法27条1項本文で「麻薬施用者でなければ、麻薬を施用し、若しくは施用のため交付し、又は麻薬を記載した処方箋を交付してはならない。」とされ、同法66条の2において、「第二十七条第一項(中略)に違反した者は、七年以下の懲役に処する。」とされていることから、単純所持と同じく7年以下の懲役になります。

大麻規制の背景については、「大麻使用罪の創設と若者の大麻蔓延」をご覧ください。

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大麻使用罪の創設と若者の大麻蔓延

1 大麻使用罪の創設
2023年12月6日に、大麻取締法が改正され、「大麻使用罪」が創設されました。
これまで、大麻取締法では、「大麻を、みだりに、所持し、譲り受け、又は譲り渡した者は、五年以下の懲役に処する。」(大麻取締法24条の2第1項)とされ、「使用」自体は犯罪になっていませんでした。
もっとも、これまでも、大麻をみだりに、「所持」することが犯罪となっていましたので、使用するために所持した時点で犯罪となったのですが、今回の改正で、より直接的に、「使用」が犯罪となりました。
なお、施行は、2024年になるようです。

2 大麻取締法改正の背景
今回の法改正の背景には、大麻の広がり、特に若者の間での蔓延があります。
犯罪白書によると、大麻取締法違反で警察が検挙した人数は、2000年は1224人であったのに対し、2010年には2367人、2020年には5260人、2021年には5783人と増加傾向にあります(もう少し厳密にみると、2009年に3087人と一旦当時のピークを迎えてから、2013年に1616人まで減少しますが、その後再び増加に転じ、2017年には3218人と以前のピークを越え、その後も増加し続けています。)。
大麻取締法違反で警察が検挙した人数を年代別にみると、以下のとおり、20代以下の若者の間で、大麻が蔓延していることが窺えます。
20歳未満:81人(2011年)→ 994人(2021年)約12.3倍
20代:805人(2011年)→ 2823人(2021年)約3.5倍
30代:510人(2011年)→ 984人(2021年)約1.93倍
40代:185人(2011年)→ 507人(2021年)約2.74倍
50歳以上: 67人(2011年)→ 174人(2021年)約2.6倍
参考リンク:法務省・令和4年版犯罪白書

このように、若者を中心に大麻が広がっている中で、大麻所持で検挙された人の7~8割が、大麻の使用罪が無いことを認識していたという調査結果もあり、大麻の使用罪が無いことが「大麻を使用してもよい」というメッセージになっているという懸念があり、大麻使用罪が創設されたものと考えられます。
参考リンク:第210回国会厚生労働委員会第7号

3 大麻取締法改正による影響
まず、大麻使用罪の創設によって、大麻の使用が犯罪であるという明確なメッセージが出されたことで、大麻使用への心理的なハードルが上がり、大麻を使用する人が減るものと考えられます。
また、刑事実務上も、例えば、尿検査の結果から大麻の「使用」が明らかとなった場合、「所持」について明確な証拠がなくても、立件される可能性が高くなるなど、大麻に関して従来よりも広く処罰されるようになるものと考えられます。
さらに、法改正で、大麻について厳しく対処していくという国の姿勢が明確になったことにより、起訴・不起訴の判断、起訴された場合の執行猶予の有無、量刑などが従来よりも厳しくなると思われますので、弁護士としても対応に注意が必要です。