破産と倒産の違い

1 破産と倒産は異なる

「破産」と「倒産」という言葉について,同じような意味だとお考えの方も多いかと思いますが,厳密には異なる意味で使われます。

 

2 破産について

まず,「破産」については,法律上の用語で,破産法2条に,「この法律において「破産手続」とは,次章以下(第十二章を除く。)に定めるところにより,債務者の財産又は相続財産若しくは信託財産を清算する手続をいう。」と規定されています。

簡単にいうと,破産は,支払い不能や債務超過の状態になっている債務者が,裁判所が関与する手続きを通じて,財産を現金化し,それを債権者に分配するものです。

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3 倒産について

一方,倒産は,一般的には,「会社が潰れる」「事業が継続できなくなる」といったイメージがありますが,厳密には,破産のみならず,民事再生や会社更生といった再建型の手続きも含みます。

再生型手続きの場合,会社はなくならず,一定の手続きを経て再建されることになります。

「倒産」しても会社がなくならないというのは不思議な感じがするかもしれませんが,実際にはそのようなケースも少なくありません。

有名な例としては,2010年に日本航空(JAL)が会社更生法の適用を申請し,「戦後4番目の大型倒産」などと報道されましたが,その後再建され,ご存じのとおり今でも存続しています。

 

4 司法試験科目としての「倒産法」

現在の司法試験には選択科目があり,その一つとして「倒産法」という科目があります。

司法試験の「倒産法」においても,その対象は,破産法だけでなく,民事再生法や会社更生法も出題範囲に含まれています。

なお,倒産法という名前の法律はなく,上記の破産法,民事再生法,会社更生法といった倒産に関わる法規を総称して倒産法とよばれています。

ちなみに,労働法についても,労働法という法律があると誤解されている方も多いのですが,実際は,そのような名称の法律はなく,労働関係の法律を総称して労働法とよんでいます。

 

5 破産・倒産に関するご相談

破産や倒産については,上記のとおり,司法試験でも選択科目扱いですので,弁護士であっても必ずしも勉強しているわけではありません。

また,実務上も,倒産問題について経験豊富な弁護士は限られていますので,弁護士へのご相談をお考えの際には,詳しい弁護士を探してご相談されることをおすすめいたします。
弁護士法人心には,倒産問題に詳しい弁護士が所属しており,会社の破産にも対応しております。

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