刑事事件における自首について

1 自首とは
犯罪に該当する行為をしてしまった方から、弁護士に、自首を考えているというご相談が時々あります。
「自首」というのは、日常でも使われる言葉ですが、刑法の条文でも用いられている法律用語でもあり、刑法上の「自首」は、日常用語として用いられる場合よりも狭いのではないかと思います。
刑法上の「自首」といえるためは、「犯罪事実」か「犯人」が捜査機関に発覚する前に行う必要があります。
犯罪事実が発覚する前というのは、例えば、他人の現金を盗むという窃盗事件をしてしまったとして、そのことが捜査機関に発覚していないような場合です。
犯人が発覚する前というのは、同じ事件の例で、誰かにお金が盗まれたということ自体は発覚しているが、それを誰がやったのかはわからないというような場合です。
つまり、犯罪事実も犯人も発覚しているが、逃走中であるため、まだ捕まっていないという場合には、捜査機関に出向いて自らが犯人である旨を申告しても、刑法上の「自首」にはなりません。

2 自首した場合の効果
刑法42条は、「罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。」とされており、自首すると刑を「減軽」することが「できる」とされます。
その意味ですが、まず、「減軽」については、刑法68条に刑の種類ごとに規定されていますが、例えば、有期の懲役刑の場合には、「その長期及び短期の2分の1を減ずる」とされています。
また、減軽することが「できる」というのは、裁判官の判断で「できる」というものであり、法律上、必ず減軽されるというものではありません。