特定技能の受入れ上限について

1 外食業分野の受入れ上限

令和8年3月27日付で、出入国在留管理庁から、「特定技能「外食業分野」における受入れ上限の運用について」という通知が出されました。
現在、分野ごとに令和6年4月から令和11年3月までの「特定技能」「育成就労」それぞれの受入れ見込数が定められており、外食業分野の特定技能の受入れ見込数は、5万人とされています。
令和8年2月末の時点で、約4万6000人となったことを受け、外食業分野の特定技能1号の在留資格認定証明書交付申請について、令和8年4月13日以降の申請については不交付とするなどが示されました。
参考リンク:出入国在留管理庁・特定技能「外食業分野」における受入れ上限の運用について

2 そもそも受入れ上限とは?

現在の受入れ上限は、入管法などの法律に明記されているものではなく、令和7年3月11日に閣議決定された「特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する基本方針及び育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護に関する基本方針」に基づいています。

同基本方針において、外国人の受入れについて、「生産性向上のための取組や国内人材の確保を行ってもなお当該分野における人手不足が深刻であり、当該分野の存続・発展のために外国人の受入れが必要な分野に限って、必要な範囲で外国人の受入れを行う」とし、「日本人の雇用機会の喪失及び処遇の低下等を防ぐ観点並びに外国人の安定的かつ円滑な在留活動を可能とする観点から、特定産業分野及び育成就労産業分野における5年・・・ごとの受入れ見込数について示し、人手不足の見込数と比較して過大でないことを示さなければならないものとし、それぞれの受入れ見込数は、大きな経済情勢の変化が生じない限り、「特定技能1号」の在留資格をもって在留する外国人(以下「1号特定技能外国人」という。)及び育成就労外国人の受入れの上限として運用する」としています。

要するに、分野別の人手不足見込みに基づき、5年ごとに分野別の受入数を定めるというものです。
参考リンク:出入国在留管理庁・特定技能制度に係る制度の運用に関する基本方針・分野別運用方針・運用要領

3 具体的な分野別の受入数

令和11年3月末までの、特定技能1号(左)と育成就労(右)の人数は以下のとおりです(本記事執筆時点)。
介護:126,900人/33,800人
ビルクリーニング:32,200人/7,300人
建設:76,000人/123,500人
造船・舶用工業:23,400人/13,500人
自動車整備:9,400人/9,900人
宿泊:14,800人/5,200人
自動車運送業:22,100人/-
農業:73,300人/26,300人
漁業:14,800人/2,600人
外食業:50,000人/5,300人
林業:900人/500人
木材産業:4,500人/2,200人
工業製品製造業:199,500人/119,700人
航空:4,900人/-
鉄道:2,900人/1,100人
飲食料品製造業:133,500人/61,400人
リネンサプライ:4,300人/3,400人
物流倉庫:11,400人/6,900人
資源循環:900人/3,600人

4 現在の受入れ状況

現時点での受け入れ状況については、 JITCO(公益財団法人 国際人材協力機構)のウェブサイトにわかりやすくまとめられています。
参考サイト:JITCO – 公益財団法人 国際人材協力機構・一目で判る!特定技能外国人制度の受入れ上限と受入れ充足率

5 対応方法

日々状況が変わっていきますので、在留資格取得をお考えの外国人の方や、外国人雇用をお考えの企業の方は、就労ビザに詳しい弁護士にご相談されるのがよいかと思います。

帰化要件の厳格化

1 帰化とは?

最近、日本の帰化要件の厳格化がよく報道されています。
帰化については、国籍法4条1項において、「日本国民でない者(以下「外国人」という。)は、帰化によつて、日本の国籍を取得することができる。」とされています。
日本国籍がなくても在留資格があれば日本に滞在することはできますが、在留資格の場合は、定期的に在留資格の更新手続きが必要であったり、また、日本人と同じ社会保障が受けられない、ローンが組みづらいなどの理由から、帰化を考える外国人が少なくありません。

2 帰化人数の現状

2024年には、12,248人が帰化申請をし、そのうち8,863人が許可されています。
元の国籍別にみると、多い順に、中国3,122人、韓国・朝鮮2,283人、ネパール585人となっています。
ネパール人の帰化は、2022年は139人、2023年は331人でしたので、急激に増えてきているといえます。
参考リンク:法務省民事局・帰化許可申請者数、帰化許可者数及び帰化不許可者数の推移
参考リンク:法務省民事局・国籍別帰化許可者数

3 帰化の要件

帰化の要件については、国籍法5条1項で以下のように定められています。法務大臣は、次の条件を備える外国人でなければ、その帰化を許可することができない。
一 引き続き五年以上日本に住所を有すること。
二 二十歳以上で本国法によつて行為能力を有すること。
三 素行が善良であること。
四 自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能によつて生計を営むことができること。
五 国籍を有せず、又は日本の国籍の取得によつてその国籍を失うべきこと。
六 日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを企て、若しくは主張し、又はこれを企て、若しくは主張する政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入したことがないこと。

上記は普通帰化と言われ、他にも、簡易帰化や大帰化という制度があります。

4 帰化要件の厳格化

帰化要件のうち、「引き続き五年以上日本に住所を有すること」という点について、5年が短すぎるのではないかが議論されています。
永住権の場合、原則として10年以上日本に在留している必要がありますので、国籍を与えるというより慎重に判断すべき帰化について、永住権よりも期間が短いのは不合理ではないかというのが論拠として言われています。
また、諸外国と比べても、日本は帰化に必要な在留期間が短いということも言われています。
ちなみに、アメリカの場合は、原則として、永住資格を取得してから5年間経過していないと帰化することができません。
参考リンク:USCIS・Citizenship and Naturalization

5 今後の見通し

現時点での予測になりますが、永住権とのバランス、世論の状況、高市政権のスタンス等を考えると、帰化が認められるためには、10年の在留が必要とされる方向での法改正が進められる可能性が高いのではないかと思います。

帰化ついてどうすべきかをお悩みの方は、Immigration Law分野に詳しい弁護士にご相談されるのがよいかと思います。

経営・管理ビザの厳格化

経営・管理ビザの取得要件が厳格化されることが報道されています。

現在は、経営・管理ビザを取得するための、事業の規模に関する要件として、省令で以下のとおり定められています。

申請に係る事業の規模が次のいずれかに該当していること。
イ その経営又は管理に従事する者以外に本邦に居住する二人以上の常勤の職員(法別表第一の上欄の在留資格をもって在留する者を除く。)が従事して営まれるものであること。
ロ 資本金の額又は出資の総額が五百万円以上であること。
ハ イ又はロに準ずる規模であると認められるものであること。

つまり、原則として、日本に居住する2人以上の常勤職員、または、資本金500万円以上が必要となっています。

これが、今後、省令改正によって、資本金は3000万円以上、かつ、日本に居住する1人以上の常勤職員が必要になると見込まれています。

さらに、申請人が、「経営管理に関する分野又は申請に係る事業の業務に必要な技術又は知識に係る分野において博士の学位、修士の学位又は専門職学位・・・を有している」か、あるいは、「事業の経営又は管理について三年以上の経験・・・を有している」ことが必要になる見込みです。

加えて、入管法施行規則も改正される見込みで、これまでは、「事業計画書の写し」の提出が求められていたのに対し、今後は、「経営に関する専門的な知識を有する者による評価を受けた事業計画書の写し」が必要になります。

詳細については、在留資格に詳しい弁護士にご相談ください。

外国人との結婚と夫婦別姓

近年、夫婦別姓の議論が活発になってきていますが、現時点では、日本人同士の結婚の場合は、民法750条で「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。」と定められており、少なくとも法律上は、夫婦同姓が必要となっています。

これに対して、日本人が外国人と結婚した場合、日本人の戸籍上の氏は変わらず、そのまま氏について何も手続きをしないと夫婦別姓となります。

参考リンク:名古屋おしえてダイヤル・婚姻届で、夫婦別姓とすることができますか

戸籍としては、日本人同士が結婚した場合は、「夫婦」について新戸籍が編製されるのに対し(戸籍法16条1項)、日本人と外国人が結婚した場合は、「その日本人」について新戸籍が編製され(戸籍法16条3項本文)、外国人についての戸籍は作られません。

日本人が、結婚した外国人の方の氏に変更したい場合には、婚姻の日から6か月以内に届出をする必要があります(戸籍法107条2項)。

6か月を過ぎてしまった場合には、「裁判所の許可」を得たうえで、届出をすることが必要になります(戸籍法107条の2)。

他方、外国人が、結婚した日本人の方の氏に変更したい場合、これができるかどうかは外国人の自国の法律によって異なります。

在留資格の取消し

1 在留資格の取消制度

外国人が日本に滞在するためには、在留資格が必要です。
在留資格を取得してしまえば、次の更新までは資格が維持されるかというと、必ずしもそうではありません。
それは、在留資格取消制度があるからです。
入管法22条の4第1項は、「法務大臣は、・・・在留資格をもつて本邦に在留する外国人・・・について、次の各号に掲げる事実のいずれかが判明したときは、法務省令で定める手続により、当該外国人が現に有する在留資格を取り消すことができる。」としています。

2 在留資格取消件数・具体例

2023年の在留資格取消件数は、1240件でした。
「特定技能」の在留資格の取消が983件と特に多く、「留学」が183件と次に多くなっています。
この2つの在留資格で、全体の約94.1%を構成しています。
在留資格取消事由として最も多いのが、入管法22条の4第1項第6号で、技能実習生が失踪し在留資格に応じた活動を行わずに3か月以上日本に在留していたケースなどがこれに該当します。
同号による取消しは、1049件と多く、また、2019年の431件から2倍以上になっており、大きな問題であるといえます。
また、入管法22条の4第1項第5号による取消しも128件と比較的多く、留学生が学校を除籍されアルバイトを行って在留していたケースなどがこれに該当します。
参考リンク:出入国在留管理庁・令和5年の「在留資格取消件数」について

3 技能実習生の失踪に関連する最近の動向

現時点では、技能実習生は原則として3年間は転籍できないことから、劣悪な職場環境に置かれた技能実習生が失踪するケースが増加しており、社会問題化しています。
対策として、転籍が認められる場合の要件の明確化がなされるとの報道がされています。
在留資格の取消しの前の段階で、適切に対応できる制度設計が望まれます。
また、お困りの方は、在留資格に詳しい弁護士にご相談ください。

ビザ(査証)と在留資格との違い

1 それぞれの意味と注意点
ビザ(査証)は、入国許可(上陸許可)を受ける際に必要なものです。
在留資格は、外国人が、日本に滞在するために必要な資格です。
ここで、注意すべきなのが、日常用語で、「ビザ」が後者の在留資格の意味で頻繁に使われているということです。
そのため、「ビザ」と言われた際に、本来のビザの意味である「査証」を意味しているのか、それとも、「在留資格」を意味しているのかは人によって異なります。
弁護士でも在留資格のことを「ビザ」という人は少なくありません。
この認識がずれていると会話が嚙み合わず、間違った手続き等をしてしまう恐れがありますので、注意が必要です。

2 本来の意味の「ビザ」(査証)とは
冒頭で記載したとおり、本来の意味のビザ(査証)は、日本に入国する際に必要となるもので、事前に、自国の日本大使館または領事館で発給を受けます。
英語では「VISA」と表記されます。

3 在留資格とは
こちらも冒頭で記載したとおり、在留資格は、外国人が日本に滞在するために必要な資格で、入国(厳密には上陸)の際に、法務省(出入国在留管理庁)から付与されます。
英語では「Status of Residence」と表記されます。
在留資格は、在留の目的に応じて多くの種類があり、例えば、日本で働くための在留資格であれば、「技術・人文知識・国際業務」「特定技能」「経営・管理」などがあります。
なお、よく「就労ビザ」などの言葉を聞くことがありますが、これは、厳密には、本来の意味のビザ(査証)ではなく、就労可能な「在留資格」を意味しているものと考えられます。