続・スポーツ仲裁人研修

前回のブログの続きです。

弁護士会でのスポーツ仲裁人研修の際,ドーピングについても取り扱われました。

ドーピングは,「薬物その他不正な方法を用いて競技能力を向上させることと」と定義されます。

そして,ドーピングをした選手には,アンチ・ドーピング規則違反により,個人成績の失効,メダル・賞等の剥奪,資格停止,個人成績の失効等,選手にとっては非常に厳しい処分が下されます。

このようなドーピングが禁止される理由は,競技者の健康を害すること,フェアプレーの精神に反すること,社会悪を増加させること,スポーツの楽しみを奪う等があるとされています。

他方で,ドーピングと認定するには慎重にならなければならない側面もあります。

選手が悪気がなく口にしたものであっても,ドーピングに引っかかる結果が出る飲食物・成分は,思いのほか多いからです。

例えば,風邪をひいたときに飲む葛根湯は,そこに含まれるエフェドリンという成分がドーピングに引っかかるそうです。なので,スポーツ選手は大切な試合の前は,ドーピングを疑われないよう,葛根湯の服用はやめることが推奨されているとのことです。

ただの風邪薬と思っていたのに,,,意外です。皆さま,ご存知でしたか?

このような事情もあって,ドーピングの問題は非常に微妙で難しいです。

 

 

スポーツ仲裁人研修

先日,愛知県弁護士会でスポーツ仲裁人研修が開催されたので,参加してきました。

スポーツ関連の紛争には,代表選考に関する紛争,アンチ・ドーピングに関する紛争,チームの移籍に関する紛争,審判の判定に関する紛争等,様々な紛争が存在します。

このような場合,裁判をしようと思っても,裁判所による法的判断になじまず,裁判所による法的解決が難しい場合が多くあります。

そのような場合の解決機構として,公益財団法人日本スポーツ仲裁機構(JSAA)が存在します。上記のような紛争に関しては,JSAAに仲裁の申し立てをすることが可能です。

なお,ドーピング紛争に関しては,第1次的には公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構(JADA)で処分が出され,その判断に不服がある場合にJSAAに不服申し立てをするという流れになります。

この申し立ては,弁護士が代理することも可能です。

東京オリンピック開催に向け,スポーツに関する紛争も増えてきそうですので,大変勉強になりました。