高次脳機能障害に関して,後遺障害等級によって受けられる損害賠償額はどのように異なるのですか?
1 高次脳機能障害の後遺障害等級
交通事故によって高次脳機能障害が生じてしまった場合,その症状の程度によって次のとおり,1級から9級までの後遺障害等級が認定される可能性があります。
- ・1級1号:神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
- ・2級1号:神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
- ・3級3号:神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
- ・5級2号:神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
- ・7級4号:神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
- ・9級10号:神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
2 後遺障害等級ごとによる受けられる損害賠償額の違い
交通事故による頭部外傷により高次脳機能障害が残存してしまった場合には,後遺障害部分につて後遺障害慰謝料及び逸失利益の損害賠償を請求することができます。
後遺障害等級ごとのいわゆる赤本基準の損害賠償額としては,以下のとおり,認定される等級により損害賠償額の目安額は大きくかわります。なお,逸失利益は,事故前の基礎収入が600万円,労働能力喪失期間15年と仮定して算定しています。
⑴ 1級1号
- 【後遺障害慰謝料】
- 2800万円
- 【逸失利益】
- 基礎収入600万円×労働能力喪失期間15年に対応のライプニッツ係数10.3797
×労働能力喪失率100%
=6227万8200円
⑵ 2級1号
- 【後遺障害慰謝料】
- 2370万円
- 【逸失利益】
- 基礎収入600万円×労働能力喪失期間15年に対応のライプニッツ係数10.3797
×労働能力喪失率100%
=6227万8200円
⑶ 3級3号
- 【後遺障害慰謝料】
- 1990万円
- 【逸失利益】
- 基礎収入600万円×労働能力喪失期間15年に対応のライプニッツ係数10.3797
×労働能力喪失率100%
=6227万8200円
⑷ 5級2号
- 【後遺障害慰謝料】
- 1400万円
- 【逸失利益】
- 基礎収入600万円×労働能力喪失期間15年に対応のライプニッツ係数10.3797
×労働能力喪失率79%
=4919万9778円
⑸ 7級4号
- 【後遺障害慰謝料】
- 1000万円
- 【逸失利益】
- 基礎収入600万円×労働能力喪失期間15年に対応のライプニッツ係数10.3797
×労働能力喪失率56%
=3487万5792円
⑹ 9級10号
- 【後遺障害慰謝料】
- 690万円
- 【逸失利益】
- 基礎収入600万円×労働能力喪失期間15年に対応のライプニッツ係数10.3797
×労働能力喪失率35%
=2179万7370円
3 高次脳機能障害でお困りの方は
上記のようにどのような後遺障害等級が認定されるかによって大きく損害賠償額がことになります。
高次脳機能障害について適切な後遺障害等級認定を受けるためには,脳外傷の事実の立証に加え,どのような症状が残存しているのかを適切に把握し,主張することが重要になります。
弁護士法人心 名古屋法律事務所では,高次脳機能障害をはじめとする難易度の高い後遺障害についても,交通事故による後遺障害を得意とする弁護士が対応させていただいております。
交通事故による高次脳機能障害でお困りの方は弁護士法人心 名古屋法律事務所までお気軽にご相談ください。