帰化要件の厳格化

1 帰化とは?

最近、日本の帰化要件の厳格化がよく報道されています。
帰化については、国籍法4条1項において、「日本国民でない者(以下「外国人」という。)は、帰化によつて、日本の国籍を取得することができる。」とされています。
日本国籍がなくても在留資格があれば日本に滞在することはできますが、在留資格の場合は、定期的に在留資格の更新手続きが必要であったり、また、日本人と同じ社会保障が受けられない、ローンが組みづらいなどの理由から、帰化を考える外国人が少なくありません。

2 帰化人数の現状

2024年には、12,248人が帰化申請をし、そのうち8,863人が許可されています。
元の国籍別にみると、多い順に、中国3,122人、韓国・朝鮮2,283人、ネパール585人となっています。
ネパール人の帰化は、2022年は139人、2023年は331人でしたので、急激に増えてきているといえます。
参考リンク:法務省民事局・帰化許可申請者数、帰化許可者数及び帰化不許可者数の推移
参考リンク:法務省民事局・国籍別帰化許可者数

3 帰化の要件

帰化の要件については、国籍法5条1項で以下のように定められています。法務大臣は、次の条件を備える外国人でなければ、その帰化を許可することができない。
一 引き続き五年以上日本に住所を有すること。
二 二十歳以上で本国法によつて行為能力を有すること。
三 素行が善良であること。
四 自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能によつて生計を営むことができること。
五 国籍を有せず、又は日本の国籍の取得によつてその国籍を失うべきこと。
六 日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを企て、若しくは主張し、又はこれを企て、若しくは主張する政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入したことがないこと。

上記は普通帰化と言われ、他にも、簡易帰化や大帰化という制度があります。

4 帰化要件の厳格化

帰化要件のうち、「引き続き五年以上日本に住所を有すること」という点について、5年が短すぎるのではないかが議論されています。
永住権の場合、原則として10年以上日本に在留している必要がありますので、国籍を与えるというより慎重に判断すべき帰化について、永住権よりも期間が短いのは不合理ではないかというのが論拠として言われています。
また、諸外国と比べても、日本は帰化に必要な在留期間が短いということも言われています。
ちなみに、アメリカの場合は、原則として、永住資格を取得してから5年間経過していないと帰化することができません。
参考リンク:USCIS・Citizenship and Naturalization

5 今後の見通し

現時点での予測になりますが、永住権とのバランス、世論の状況、高市政権のスタンス等を考えると、帰化が認められるためには、10年の在留が必要とされる方向での法改正が進められる可能性が高いのではないかと思います。