破産した場合の道路の補修代の扱い

1 名古屋の弁護士の松山です。

道路法58条は、「道路管理者は、他の工事又は他の行為により必要を生じた道路に関する工事又は道路の維持の費用については、その必要を生じた限度において、他の工事又は他の行為につき費用を負担する者にその全部又は一部を 負担させるものとする。」と規定しており、たとえば交通事故により道路を破損させた場合の工事費用を、交通事故の原因者に負担させています。

このような債務も破産によって免責を受けることができるでしょうか。

2 個人の方にとっては、破産する最大の目的は免責を受けることです。

免責によって、基本的に全ての債務について支払いをする責任が免れます。

しかし、破産手続について定めた破産法は、例外的に免責がなされない債権をいくつか定めています(このような債権を非免責債権といいます。)。

このうち租税等の請求権(破産法253条1項1号)とは、国税徴収法又は国税徴収の例によって徴収することのできる請求権です。

たとえば、滞納している住民税は、破産して免責決定が確定しても支払の責任は免除されません。

3 道路法73条1項は、「この法律、この法律に基づく命令若しくは条例又はこれらによつてした処分により納付すべき負担金、占用料、駐車料金、割増金、料金、連結料又は停留料金(以下これらを「負担金等」という。)を納付しない者がある場合においては、道路管理者は、督促状によつて納付すべき期限を指定して督促しなければならない。」と定め、同条3項前段は、「第一項の規定による督促を受けた者がその指定する期限までにその納付すべき金額を納付しない場合においては、道路管理者は、国税滞納処分の例により、前二項に規定する負担金等並びに手数料及び延滞金を徴収することができる」と定めています。

すなわち、道路法53条が規定する原因者負担金は、督促を受けた原因者によって期限までに納付されなければ、国税徴収の例により徴収することが可能な債権です。

したがって、基本的に、事故による道路の修理代は租税等の請求権にあたり、非免責債権となるため、免責を受けても支払わなければならない債務として残ってしまう可能性があります。