社会福祉協議会の貸付けと自己破産

1 社会福祉協議会の貸付け

新型コロナ感染症の影響で、地方自治体の社会福祉協議会から緊急小口資金や総合支援資金の貸付けを受けている方もいらっしゃるかと思います。

これらの貸付けについて、「国からの借入れ」との認識から自己破産しても支払わなければならない債務として残ってしまうと思っていらっしゃる方も散見されます。

2 自己破産の対象となる

しかしながら、社会福祉協議会の貸付けも自己破産の対象となります。

裁判所から免責が認められれば、原則として全ての債務について法律上支払う必要がありません。

免責が認められても支払わなければならない債務については、法律で非免責債権として列挙されたものに限られます。

非免責債権の代表例としては、税金や罰金、養育費等です。

社会福祉協議会の貸付けは、法律で列挙された非免責債権のいずれにも該当しないため、自己破産をして免責されれば、支払う必要がなくなるのです。

3 注意点

社会福祉協議会の貸付けが自己破産の対象となることから、自己破産するに際して特に注意しなければならない点が2つあります。

一つ目は、自己破産を進めるに当たって、依頼した弁護士に対して社会福祉協議会からお金を借りていることを忘れずに伝えることです。

払う必要があるため破産とは関係ないと誤解していると、つい伝えるのを忘れてしまうかもしれません。

しかし、社会福祉協議会からの借入も銀行や消費者金融、カード会社に対する債務と同じように扱われるため、これが漏れた債権者名簿を裁判所に提出すると免責不許可事由に該当する可能性があります。

二つ目は、自己破産すると決めた以上は、社会福祉協議会からの貸付けを受けてはいけないという点です。

社会福祉協議会の貸付けは、据置期間の設定によって返済開始が数年後になっている場合があります。

すぐに返さなくてよいとの認識や、「公共団体からの恩恵・援助」との認識から借りてもよいと思う方もいらっしゃいます。

しかし、社会福祉協議会の貸付けも自己破産の対象になり、免責が認められれば返済する必要はありません。

自己破産して免責を受けると決めたのにお金を借りることは、当初から返すつもりがない行為と評価され、こちらも免責不許可事由となる可能性があります。