破産における債権の優先関係(その2)

弁護士の松山です。

前回の記事の続きです。

破産債権の中での優先関係は、以下のとおりです。

大枠としては、1優先的破産債権、2一般の破産債権、3劣後的破産債権、4約定劣後破産債権の順です。

 

1 優先的破産債権

優先関係は⑴、⑵、⑶、⑷の順です(98条2項)。

⑴ 優先的破産債権のうち国税(国税徴収法8条)

ア 財団債権とならない破産手続開始前の原因に基づいて生じた国税のうち、破産手続開始当時、納期限から1年を経過したもの(148条1項3号、98条1項)

イ アの延滞税破産手続開始前に生じたもの

⑵ 優先的破産債権のうち地方税(地方税法14条)

⑴と同様

⑶ 優先的破産債権のうち公課

⑴と同様

⑷ 優先的破産債権のうち私債権

優先関係はア、イ、ウ、エの順です(民法329条1項)。

ア 共益の費用(民法306条1号)

イ 雇用関係(民法306条2号)

① 給料のうち財団債権でない部分

② 退職金のうち財団債権でない部分

③ 解雇予告手当(一部の裁判所で財団債権とする扱いがある)

④ その他の労働債権

ウ 葬式の費用(民法306条3号)

エ 日用品の供給(民法306条4号)

個人の破産手続開始前6か月以内の上水道、電気、ガス料金

 

2 一般の破産債権

 

3 劣後的破産債権(破産法99条1項)

⑴ 破産手続開始後の利息の請求権(97条1号)

⑵ 破産手続開始後の不履行による損害賠償又は違約金の請求権(97条2号)

⑶ 破産手続開始後の延滞税、利子税若しくは延滞金の請求権又はこれらに類する共助対象外国租税の請求権(97条3号)

⑷ 租税等の請求権であって、破産財団に関して破産手続開始後の原因に基づいて生ずるもの(97条4号)

⑸ 国税通則法2条4号に規定する過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税及び重加算税若しくは地方税法1条1項14号に規定する過少申告加算金、不申告加算金及び重加算金の請求権又はこれらに類する共助対象外国租税の請求権(97条5号)

⑹ 罰金、科料、刑事訴訟費用、追徴金又は過料の請求権(97条6号)

⑺ 破産手続参加の費用の請求権(97条7号)

⑻ 54条1項に規定する相手方の損害賠償請求権(97条8号)

⑼ 57条に規定する債権(97条9号)

⑽ 59条1項の規定による請求権であって、相手方の有するもの(97条10号)

⑾ 60条1項に規定する債権(97条11号)

⑿ 168条2項2号又は3号に定める権利(97条12号)

 

4 約定劣後破産債権(破産法99条2項)