自己破産をしても残る債務

9月に入って少しずつ涼しくなり,名古屋市内でも30度を下回るようになってきました。暑かった夏から少し涼しくなる季節が個人的には好きで,普段なら駅から裁判所までタクシーを使うことが多いですが,歩いて裁判所まで行くようになりました。

さて,自己破産をすると,すべての債務がなくなるというイメージをお持ちの方が多いと思いますが,自己破産をしてもなくならない債権(非免責債権)があります。自己破産を検討されている方で,以下の債務がある方はご注意ください。

①租税債務

借金を抱えている方の中には,住民税,自動車税,固定資産税などの税金や,社会保険料等を滞納してしまっている方がたびたびいます。これらの債務については,破産をしてもなくなりません。なお,これらの支払いについては,役所等と協議すれば分割での支払いにも応じてくれることが多いです。

②養育費

前の配偶者との間に子供がいて養育費を支払っている場合,破産をしても養育費は継続して支払っていかなければなりません。これは,養育費が子供を育てるために必要不可欠なものであり,破産をしたからといって免除すべきではないからだと思われます。

③悪意で加えた不法行為による損害賠償義務,故意または重大な過失により人の生命・身体を害する不法行為による損害賠償義務

収入等について虚偽の事実を伝えてお金を借りるような詐欺的な行為をした場合,相手方を殴ってケガをさせた場合,飲酒運転等重大な過失によって交通事故を起こしケガをさせた場合などは,相手方に対して損害賠償義務を負うことになりますが,これは被害者保護等の観点から破産をしたとしても免除されません。

④知りながら債権者一覧に挙げなかった債権者に対する債務

破産する場合,裁判所に債権者をもれなく一覧表の形で列挙しなければなりませんが,破産をする方が債権者であることを知りながらあえて債権者一覧に挙げなかった債権者に対する債務は,破産をしても残ってしまいます。破産をしようとしする場合,裁判所に隠し立てをすることなく,正直にすべての債権者を報告するようにしましょう。

他にも細かいものはありますが,破産の場面でよく登場するものを挙げさせていただきました。ご参考にしていただければ幸いです。

 

 

リツイートで著作権侵害?

8月に入りましたが,名古屋は暑さの厳しい季節が続いております。普段は裁判所に行くために外を少し歩くくらいしかしませんが,熱中症になるのではないかと思うくらいの暑さに参ってしまいますが,水分補給を適切に行い,熱中症にならないよう注意したいところです。

さて,7月21日に興味深い判決が出されましたので,少し触れたいと思います。

ある写真家が自身のホームページ上に掲載していた写真を,第三者が無断でツイッターに投稿(ツイート)し,別のアカウントがそのツイートをリツイート(自身のアカウントをフォローしている人に拡散すること)した際に,写真上に記載されていた写真家の名前が切り取られて表示されてしまったため,その写真家がツイッター社を相手取り,リツイートにより著作権侵害をされたとしてリツイートをしたアカウントの情報開示を求めた,という事案でした。

最高裁は,リツイートされた写真をクリックしなければ写真家の名前は表示されないことなどから,リツイートによる著作権侵害を認め,ツイッター社にリツイートをしたアカウントの情報開示を命じた二審の判断が確定しました。

なお,林裁判官は,リツイートをする際に元の写真の一部が切り取られてしまうのはツイッターの仕様であって,リツイートをしようとする者が変更を加えることができない点を指摘し,著作権を侵害したのはもともとのツイートをした者だけであるとの反対意見を述べました。また,本件でリツイートによる著作権侵害を認めると,画像をリツイートする際にリツイートをしようとする者は著作者の同意があるかなどを確認しなければならず,利用者にとって負担が重いという意見も述べています。

ツイッターを含むSNSが重要なコミュニケーションツールとして広まっておりますが,その反面,無意識のうちに誰かの権利を侵害してしまうことのないよう注意しなければなりませんね。

定期金賠償を認めた最高裁判例

最近,名古屋でも新型コロナウイルスの感染者が日に日に増えてきています。緊急事態宣言前後から手指の消毒,マスクの着用,換気等コロナ対策は徹底しておりますが,今一度気を引き締めて対策をしていこうと思います。

さて,交通事故に関して重要な最高裁判例(令和2年7月9日判例)が出されました。

交通事故によって後遺障害が残った場合,その損害の中に「逸失利益」というものがあります。イメージとしては,事故に遭わず健康でいられたら100%の力で仕事をすることができたのに,後遺障害を負ってしまったために仕事をする能力が下がってしまい,本来得られたであろう収入が得られなくなったので,その差額を損害としてとらえるものです。

これまで,逸失利益は一時金賠償として他の慰謝料や休業損害等と一緒に一括で請求が認められてきましたが,一時金賠償での逸失利益では中間利息控除として将来にわたって発生するはずの利息分があらかじめ差し引かれてしまっていました。しかし,定期金賠償が認められると,被害者は加害者から毎月定額の支払いを受け続けることができ,中間利息控除はされませんので,一時金賠償よりも総額として多くの金額を獲得できます。

また,上記判例では,被害者が就労可能期間(現状は67歳までとされています。)よりも前に亡くなった場合であっても,定期金賠償は終了せず,就労可能期間まで定期金賠償は続くとの判断もされました。

今後の交通事故実務に大きく影響を与える画期的判断であると思います。

話は変わりますが,弁護士法人心千葉法律事務所ができました。千葉県内に2か所目の支店となります。

今後とも弁護士法人心をよろしくお願いいたします。

自己破産によくある誤解②

今回は,前回の続きで,弁護士に自己破産の相談をされる方の中でよくある誤解について説明します。

①自己破産をすると家族に迷惑がかかるの?

自己破産の相談をされる方の中には,配偶者や親,兄弟,子供への影響として,自分が自己破産をしたら家族に請求が行くのではないか,家族も信用情報に傷がついてしまうのではないかと心配される方がいらっしゃいます。

家族が借金の(連帯)保証人等になっていない限り,借金の返済義務を負っているのは個人だけですから,自己破産をしたとしても家族がその支払い義務を負うことはありませんので,家族に請求が行ったり,信用情報に傷がつくということもありません。

②自己破産をすると,一生ローンを組めないの?

自己破産をすると,信用情報センター(CIC,JICC,全国銀行協会の3つがあります。)に自己破産をした旨の情報が載ります。

そして,その情報は5年~10年間載ってしまい,その期間はローンを組んだり,借入れやクレジットカードの発行も難しくなりますが,その期間が過ぎれば再びローンを組むこともできるようになります(なお,その時の収入,生活状況等によって審査が通らない場合はありますが)。

このように,自己破産について誤った認識を持たれている方は多く,その誤解によって自己破産の手続きを取ることを躊躇していたが,相談によって誤解が解けたため,安心して手続きに進むことができたという方は多くいらっしゃいます。

自己破産について悩まれている方は,弁護士にご相談ください。

また,当法人は近鉄四日市駅の近くに,【弁護士法人心四日市法律事務所】をオープンいたしました。

四日市で弁護士をお探しの方は,弁護士法人心四日市法律事務所までお気軽にご連絡ください。

自己破産によくある誤解

新型コロナウイルスの感染拡大が少しずつ収束に向かっており,愛知県でも緊急事態宣言が解除されました。

名古屋駅でも新型コロナウイルス流行前と同じとまでは言えないですが,緊急事態宣言時よりは人が増えてきた印象です。ただ,第2波,第3波の危険性がありますので,油断せずにマスクの着用,手洗い,消毒等を徹底していきたいと思います。

さて,自己破産の相談をお受けするときに,よくある誤解について紹介します。

①自己破産をすると財産を全部取られてしまうの?

自己破産をしても,例えば,衣服,食料,家財道具は生活に必要な物として残すことができますし,名古屋地裁の運用では,預貯金,自動車,生命保険の解約返戻金,敷金,電話加入権,退職金(原則として支給金額の8分の1)について,評価額が20万円以下であれば残すことができます。もっとも,財産の合計金額が99万円を超える場合には,財産が処分されてしまい,債権者に分配されてしまう可能性があります。

このように,自己破産をしてもすべての財産を取られるわけではなく,一定金額以下のものは残すことができます。

②自己破産をするとパスポートが取れなくなるの?

自己破産をしてもパスポートの申請が通らなくなることはありません。もっとも,自己破産手続き中(特に管財事件)の場合には海外渡航をする際には裁判所の許可を得なければなりませんので,その予定がある場合には事前に申立てをした弁護士に相談してください。

次回のブログに続く…

法テラスによる費用援助

緊急事態宣言が出されてから2週間ほど経ちましたが,新型コロナウイルスの感染者数は連日増えており,収束には程遠いように感じます。

緊急事態宣言の影響で,裁判期日は軒並み延期となり,裁判所からは次回期日の連絡もない状況ですが,緊急事態宣言が解除されない以上次回期日の指定もできないのだと思われます。

さて,コロナの影響で収入が減少し,あるいは失業してしまったため収入がなくなってしまったという方からの相談が多く寄せられます。そのように収入が減少してしまったため,自己破産をしたいが,弁護士費用を支払えないという方は,法テラスによる民事法律扶助という制度の利用を検討してみてはいかがでしょうか。

民事法律扶助とは,一定の金額以下の資産,収入しかない場合,法テラスに費用援助を申請することで,弁護士費用を法テラスが立て替えてくれる制度をいいます。お金がないから自己破産をしたいのに,弁護士に払うお金がないから自己破産ができないといった場合には,法テラスの利用を検討することになります。

もっとも,法テラスで立て替えてくれるのは弁護士費用のみで,申立ての際に裁判所に納める予納金は原則自己負担となりますので,例えば破産管財人が選任されるような場合には,予納金の積立てが必要となります。

法テラスの民事法律扶助が利用できる条件,必要資料等については,弁護士にご相談ください。

続・コロナウイルスの影響

先日,名古屋地方裁判所へ行ったところ,傍聴席のいたるところに「使用できません」と張り紙がしてありました。その法廷には窓もなく,換気もしにくそうな感じでしたので,座ることができる席と席との間に間隔を広く取って感染防止を図っているものと思われます。

また,先月のブログで予想した通り,名古屋地方裁判所本庁において行われる集団免責審尋の手続きが中止となりました。その代わりに,書面にて申立書に誤った記載がされていないか,申立後に新たな借り入れをしていないか,住所等の変更はないかなどの確認がなされ,再び破産することがないように考えていること,実行していることを記載して裁判所に提出する運用がなされています。破産する方にとっては,平日の日中に裁判所へ行く必要がなくなるため,負担はかなり減ったように思います。こういった状況がいつまで続くかはわかりませんが,運用が変わった場合にはまたブログに掲載しようと思います。

また,最近コロナの影響で収入が減ってしまい,債務整理を検討しなければならなくなってしまった方の相談も増えています。収入が減り,借金の返済が難しくなってしまった場合には,早めに弁護士にご相談ください。

新型コロナウイルスの影響

中国で発生した新型コロナウイルスが流行しています。愛知県内でも多くの感染者が出ておりますので,皆様もお気を付けください。

さて,先日,新型コロナウイルスの影響で,破産手続きに若干の影響が出たケースがありました。

名古屋地方裁判所本庁での破産申立ての場合,開始決定後に「集団免責審尋」といって,裁判所に破産を申し立てた方が何人か集まって裁判官と面談をする手続きがあります。

もっとも,名古屋地方裁判所一宮支部では,少し運用が異なっており,開始決定前に裁判官と面談する手続きが行われます(開始前面接)。

集団免責審尋では,裁判官から手続きの説明がなされ,破産を申し立てた方に対して個別に質問がされることは多くはありませんが(担当の裁判官にもよります。),開始前面接では,裁判官から個別的な質問がなされます。

しかし,先日,一宮支部から連絡があり,新型コロナウイルスの感染・拡大防止のため,開始前面接を中止し,書面でのやり取りで手続きを進めるということがありました。

このようなケースはかなりイレギュラーな事態だとは思いますが,裁判所も新型コロナウイルスの感染・拡大防止対策を練っているようです。

収束に向かっていくことを願うばかりですが,今後も感染拡大が続くと,もしかしたら本庁や他の支部でも集団免責審尋等の手続きについて変更等の措置が取られることもあるかもしれません…。

年末年始の家計の状況

新年あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

さて,年末年始といえば,忘年会,新年会,お年玉など,何かと支出が多い時期かと思います。

自己破産や個人再生など,裁判所を通じて借金の金額を減らす手続きをしている方は,家計の状況というものを毎月作成し,裁判所や破産管財人の弁護士等に提出しなければなりません。

家計の状況とは,簡単に言ってしまえば家計簿のようなもので,月ごとの収入と支出を記載するものです。収入としては,給料,子供手当,年金などが挙げられ,支出として家賃(住宅ローン),水道光熱費,食費,携帯電話料金,車をお持ちの方はガソリン代,各種保険料などが挙げられます。

これらを各項目ごとに可能な限り1円単位で記載しなければならず,今まで家計簿をつけたことがない方にとってはなかなか面倒な作業になります。また,家計の状況は世帯全体のものを提出する必要がありますので,同居しているご家族がいる場合,ご家族の収入・支出も記載しなければなりませんので,ご家族の協力を得ることも必要となります。

家計の状況を提出する意味合いとしては,破産であれば自分の収入の範囲内でつつましく生活できているか,浪費やギャンブル,投資等にお金を使っていないか(免責不許可事由に当たる事情はないか)をチェックするなどの意味合いがあり,個人再生の場合には減額した借金を支払っていくだけの資力があるかをチェックする意味合いもあります。

そして,忘年会,新年会は仕事上の付き合いもあるかと思いますが,使い過ぎは浪費ととらえられてしまうおそれがあります。また,お年玉は無償で自分の財産を他人に贈与する行為ですから,数千円~1,2万円ほどであれば裁判所も見逃してくれる可能性はありますが,程度問題なので一概には言えません。

何かと支出の多い時期ですから,家計の状況を付けている方は,より一層慎重にお金の管理をしていただき,実際に使う前に弁護士に確認をしてから使うことをお勧めします。

養育費算定表の改定

12月になりました。この時期は,12月のボーナスで弁護士費用や裁判所の予納金の積立てが終了し,自己破産,個人再生の申立てへ進む方が多く,その準備や打ち合わせなどで慌ただしくなりますが,年内に申立てへ進んで安心してお正月を迎えてもらえればと思いながら仕事をしています。

さて,債務整理とはそこまで関係はありませんが,養育費の算定表が改定されました。

離婚した夫婦に未成年の子供がいる場合,子供と別居するようになった親でも子供を扶養する義務があります。そこで,子供を扶養するために必要な費用を支払う必要があります。これが養育費です。

養育費は,まずは離婚する父・母の話し合いによって決められますが,話し合いがまとまらないような場合には裁判所での調停や裁判の場で決められます。そして,裁判や調停の場で養育費を決める場合には,養育費の算定表を参照して決定されます。

養育費算定表では,子供の人数,年齢,表の中では養育費を払う側(義務者)の年収と養育費を受け取る側(権利者の年収)によって金額が算定されます。今回久しぶりに改定がなされましたが,従前と比較して養育費の金額が全体的に増加傾向にあることがうかがえます。近年の景気変動や物価の上昇,税制度の変化等を反映させたものといえるでしょう。

とあるインターネットサイト

最近,弁護士の中でとあるインターネットサイトの存在が問題視されています。

あえて名前は出しませんが,そのインターネットサイトの中には,個人再生,自己破産を申し立てた個人・会社名及び住所・所在地が掲載されているのです。

個人再生,自己破産をすると,氏名及び住所が「官報」という政府が一般国民に向けて発行する文書の中に掲載されるのですが,当該インターネットサイトは官報に掲載されている情報のうち,個人再生,自己破産をした個人名及び住所等をピックアップして掲載しているものと思われます。

確かに官報は,誰もが見ることのできる文書ですが,個人再生や自己破産をしたことはその方にとって周囲の方には知られたくない情報であり,個人再生や自己破産をして人生を立て直そうと考えている方にとって,インターネットサイトに自分の名前及び住所が掲載されるのは,人生の再建を妨げるおそれがあるため,非常に問題だと思います。

なお,当該サイトには,ここに掲載されているのは破産者や個人再生者ではなく,フィクションである,などと記載されていますが,官報に掲載されている内容と同一の内容が掲載されていますし,フィクションだと言いながら「事実と異なる場合には修正に応じる」と記載されるなど意味不明です。

以前にも破産者マップと呼ばれる同様のインターネットサイトが問題視されましたが,また同じようなサイトを作るものが現れてしまうとは,非常に残念です。

このような悪質なサイトを興味本位で検索される方がいなくなることを切に祈るばかりです。

 

借金の時効

貸金業者から借金をしていたが,数年前から一切支払いをしていなかったという方の相談を受けることがあります。

この場合,いつから支払いをしていなかったのかがポイントになります。

借金の返済をしていなかったのが5年以上前からであれば,その借金は時効にかかっており,返済する必要がない可能性があります。

改正前の民法では,債権は10年で時効によって消滅するとされておりますが,商法上,商行為によって生じた債権は5年で時効になるとされています。貸金業者から借金をした場合,貸金業者は業としてお金を貸していますから,商行為による金銭消費貸借(お金を貸すこと)といえ,5年で時効によって消滅します。

改正後の民法では,「債権者が権利を行使できることを知った時から五年間行使しないとき」は時効によって消滅するとされていますから,改正前,後ともに時効期間は5年となります。

したがって,5年以上借金の返済をしていない場合,時効消滅している可能性があります。

ただし,ここであえて「可能性」と言ったのは,時効にならない可能性もあるからです。

借金の返済をしなくなった場合,債権者側が訴訟を起こしたり,支払督促をしたりすることがあります。そして,債権者側が勝訴の判決が確定したり,支払督促に対して異議を申し立てずに確定した場合,時効期間がその時から10年に延びてしまいます。

また,債権者に対して借金を支払う旨の話をしてしまうと,借金があることを認めた(債務承認)ことになり,時効が中断してしまうこともあります。

したがって,これらの事情がなければ,5年以上借金を支払っていない方は時効にかかっている可能性がありますので,弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。

名古屋で債務整理をお考えの方はこちら

支払督促とは

借金の返済を滞ってしまっている方のもとには,債権者からの電話や請求書などが届くことがあります。

そして,それらも無視していると,裁判所から書類が届くことがあります。裁判所からの書類には大きく分けて2種類あり,「訴状」というものと「支払督促」というものがあります。

今回は支払督促についてお話しします。

まず,支払督促とは,債権者(お金を貸した側)が,裁判所を通じて,債務者(お金を借りた側)に対して,貸したお金を返すよう求めることをいいます。

そして,通常の訴訟では,裁判所は証拠に基づいて請求が認められるか否かを判断しますが,支払督促では,債権者側からの申し立てがあれば,証拠の有無等の審査は特段せずに,裁判所から支払い督促が発せられます。

このように,通常の訴訟のように手間,時間がかからない点で,債権者にとっては便利な手続きとしてよく使われています。

もっとも,支払督促には証拠等の審査がなく,あくまで債権者側の一方的な主張に基づいて出されるものですので,すでに時効(次回,詳しくお話ししようと思います。)にかかっている借金について支払督促が送られてくるケースもあります。

その場合には,債務者側も適切に対処しなければなりませんが,支払督促には「支払督促送達の日から2週間以内に異議を申し立てないときは,債権者の申し立てによって仮執行の宣言をする。」との記載があり,2週間以内に何とかしなければなりません。

もし,支払督促をそのまま放置しておくと,債権者勝訴の判決が出たのと同様の効果が生じ(債務名義と呼ばれます。),給与や財産の差し押さえを受けてしまう危険性があります。

裁判所から支払督促が届いたという方は,1日も早く弁護士にその対処法をご相談された方がよいでしょう。

どのような場合に過払金請求ができるか。

前回の続きで,どのような場合に過払金請求ができるかをお話しします。

⑴ 利息制限法を超える利率での返済をしたこと

前回ご説明した通り,過払金の請求ができるのは,利息制限法の上限利率を超える利息を支払っていた場合に限られます。

したがって,利息制限法の範囲内で返済をした方は,たとえどれだけ多くの利息を支払っていたとしても過払金の請求はできません。

各貸金業者は平成18年の最高裁判例とその後の法改正を受けて,利息制限法の範囲内での貸付をするようになっていますから,それ以降に借入れ・返済をした方には過払金は発生しません。

また,銀行は平成18年判例が出る前から利息制限法に従った利息で貸付を行ってたため,銀行からの借入れの場合には過払金は発生しません。

⑵ 最終取引から10年を経過していないこと

過払金の返還請求権は,10年間行使しなければ時効にかかってしまいます。

したがって,最終取引日から10年以上経過している場合には,過払金を請求することはできません。

借金を払いすぎているか知りたいという方は,お早めに弁護士にご相談ください。

過払金が発生する仕組み

こんにちは。10月に入り,名古屋でも朝や夜は少し肌寒い季節になってきました。気温の変化で体調を崩されないようお気を付けください。

さて,今回はテレビや電車の中の弁護士事務所の広告等でよく見かける過払金ついて,そもそも過払金はなぜ発生するのか,という仕組みをご説明します。

⑴ 従前の法律の規定

まず,お金を貸す際につける利息については,利息制限法と出資法という法律がありました。

利息制限法では,利息の上限が定められており,元本が10万円未満であれば年20%まで,10万円~100万円未満であれば年18%まで,100万円以上であれば年15%までと規定されています。

また,改正前の出資法では,利息の上限は年29.2%までとされていました。

貸金業者が出資法の上限利息を超える利息を付けた場合,刑事罰の対象とされていましたが,利息制限法の上限利息を超えても刑事罰や行政処分の対象とはされていませんでした。

また,旧貸金業法には,一定の要件を満たす場合には,利息制限法を超えた利率で利息の支払いを受けたとしても,有効な弁済があったとみなすこと(みなし弁済)が認められていました。

そのため,多くの貸金業者は刑事罰を回避するために出資法の上限利息の範囲内には収めるけれども,利息制限法の上限利息を超えるような利率で貸付けを行っていました。この出資法の上限利息と利息制限法の上限利息との間の金利帯はグレーゾーン金利と呼ばれていました。

 

⑵ 最高裁判例と法改正

しかし,平成18年1月13日の最高裁判例において,旧貸金業法のみなし弁済が実質的に否定され,その後貸金業法,出資法の改正がなされ,グレーゾーン金利が撤廃されました。

⑶ 過払金の発生

このように,みなし弁済が実質的に否定されたことから,利息制限法を超えた部分の利息については,「借金を払いすぎていた」ことになるため,過払金として返還請求ができるようになりました。

次回は,どのような場合に過払金が請求できるかを詳しく見ていきたいと思います。

消費増税

令和元年10月1日から,消費税が10パーセントに引き上げられます。

もっとも,飲食料品や定期購入の新聞は消費税8%に据え置かれます(軽減税率)。コンビニなどで食品を持ち帰る場合には8%,イートインスペースで食べる場合には10%が適用されるとされるなど,10%が適用されるのか,8%が適用されるのかの線引きが難しいところがあります。

借金の抱えている方にとっては,消費増税によって家計が圧迫されることを心配されている方もいるかもしれません。

消費増税による家計の負担を軽減するために,経済産業省が対象の店舗でキャッシュレス決済をした場合に2%か5%のポイント還元を行うキャンペーンを行っています。

しかし,任意整理をしている方は相手方のクレジットカードを使うことはできませんし,自己破産や個人再生をしている方はすべてのクレジットカードを使うことができませんので,クレジットカード決済によるポイント還元が受けられません。もっとも,そのような方でもデビットカード(代金の支払いに利用した際,即時に銀行口座から引き落としが行われるカード)などは使用することができますので,ポイント還元を受けることは可能です。

任意整理中でクレジットカードが使えない方は,検討してみてはいかがでしょうか。

令和元年度サマースクール

今年も愛知県弁護士会主催のサマースクールの中高生模擬裁判に弁護人役として参加しました。

今年は,大学のソフトボール部が舞台でした。被告人が,監督に「気合が足りない」と言われてビンタを受けて倒れこんでしまい,さらに監督からソフトボールを投げつけられそうになったところ,近くに置いてあったバットで監督の脇腹を殴り怪我をさせてしまった,という事案でした(弁護人役が染みついているのか,被告人に有利な事実認定を前提とした説明になってしまっています。)。

争点としては,被告人がバットで殴った行為は正当防衛に当たるかという点で,そもそも被告人は最初から監督にビンタされることが分かっていて,これを機に監督に暴行を加えてやろうと計画していたのではないか(積極的加害意思),防衛行為としての相当性はあるかといった内容を議論してもらいました。

中高生にも身近な問題である部活動の指導者による体罰を取り扱ったため,生徒たちも真剣に議論をしているのが印象的でした。生徒たちからは,自分が厳しい指導者に口頭で怒られた時の体験談を踏まえ,口頭で怒られている時でさえ通常の精神状態ではいられないのに,今回の被告人のように監督にビンタをされる状況下では,冷静な判断はできずバットで殴ることもやむを得なかったのではないかといった意見が出た一方で,バットという道具の危険性を指摘し(当たり所が悪ければ監督は死んでいたかもしれない),相当性を否定する意見も出ました。

サマースクールでは,答えのない問題について,自分の意見を述べ,他人の意見を聞いた上で,結論を考えてもらうことに主眼を置いています。生徒たちにとって,よい経験になったのであれば幸いです。

 

話は変わりますが,当法人も新しい弁護士,スタッフが加入しましたので,ホームページの集合写真を更新しました。

今後とも皆様のお力になれるよう,尽力してまいりますので,よろしくお願いいたします。

http://www.lawyers-kokoro.com/

自己破産はどのような方に適しているか

こんにちは。すっかり夏の天気になり,私の住んでいる名古屋でも連日30度を超える厳しい暑さとなっています。皆様も熱中症にはくれぐれもご注意ください。

さて,今回は,自己破産についてどのような方に適しているのかをご説明したいと思います。もっとも,任意整理及び個人再生のところでは,それぞれの手続きのメリットをご紹介し,どのような方に適しているのかをご説明いたしましたが,自己破産の場合には逆にこういう方は自己破産すべきでない,というご紹介の仕方になります。

そもそも自己破産とは,裁判所を通じた手続きによって,借金の金額をゼロにしてもらうこと(「免責」といいます。)をいいます。

その最大のメリットは,やはり借金がゼロになるため,任意整理や個人再生とは違って手続き終了後に返済をする必要がなくなるということです(もっとも,滞納した税金や養育費,不法行為による損害賠償義務など,破産によっても免責されないものもあります。)。

ただし,このような大きなメリットをもたらす手続きですから,破産をする場合には様々なデメリットやリスクがあります。

①免責不許可事由があると破産が認められない可能性がある。

免責不許可事由とは,破産の申し立てをした方にそのような事情があった場合に,裁判所が免責を許可しないことができる事由のことをいい,例えばギャンブルや投資によって借金を増やした場合や,クレジットカードで購入した商品を決済が済まないうちに売却して現金化した場合などが挙げられます。

もっとも,免責不許可事由があっても,裁判所の裁量で免責許可が得られることもありますので,免責不許可事由があっても破産できる可能性はあります。

②財産が取られてしまう。

破産の申し立てをした方が,不動産や自動車などの価値の高い財産を持っている場合,それらの財産が処分されてしまい,債権者への配当に充てられてしまう可能性があります。

もっとも,すべての財産が取られるわけではなく,99万円以下の金銭や生活に不可欠な家財道具は,自由財産として手元に残すことも可能です。

自己破産をしても残すことのできる財産についてはこちらをご覧ください。

③破産をするとできない職業がある。

警備員や保険の募集人などは,破産をするとその職業に就くことができなくなってしまいます。

したがって,それらの職業で生計を立てている方は,破産をすることで職業を失ってしまうことになりますから,破産を避けるか,別の職種へ転職する必要があります。

自己破産をすると影響のある資格・職業についてはこちらをご覧ください。

以上より,破産をすると就くことができない職種に就いておらず,特に処分されて困るようなめぼしい財産もなく,かつ免責不許可事由にもあたらない方は,自己破産が適しているといえます。

また,免責不許可事由に該当していても,裁判官の裁量で免責許可が得られる場合もありますから,任意整理や個人再生では返済のめどが立たない場合には,自己破産を選択するのもよいかと思います。

ただし,ここでお話しした内容は簡単な一般論にとどまり,どの方針をとるべきかは個別具体的な判断が必要となります。

債務整理でお悩みの方は,弁護士法人心までご相談ください。

個人再生はどのような方に適しているか

先月は,任意整理はどのような方に適しているかというタイトルで,任意整理のメリットについてお話しさせていただきました。今月は個人再生についてお話したいと思います。

まず,そもそも個人再生とは,裁判所を通じた手続きによって借金の金額を減らしてもらい,分割によって完済を目指す手続きです。

メリット① 借金の金額を減らすことができる

任意整理の場合には,利息をカットできる可能性はありますが,借金の元本は減りません。

他方で,個人再生の場合には,借金の金額が,100万円か,5分の1か,清算価値(自分の財産をすべて処分した場合に得られる金額)のいずれか高い金額まで減額されます。例えば,借金の金額が1000万円あり,財産がほとんどない方は200万円まで減額され,借金は1000万円あるが,300万円の財産がある方は300万円まで減額されます。

また,分割弁済の期間は原則として3年間で,特別の事情が認められれば最大5年間まで延長することも可能です。

メリット② 家を残すことができる

個人再生の大きな特徴の一つとして,住宅ローンが残っている状態で個人再生をしても家を残すことができるという点です。したがって,借金の金額が多く任意整理では払いきることができないが,家を残したいという方は,個人再生が適しているといえます。

メリット③ 免責不許可事由があっても個人再生できる

自己破産の場合,投資やギャンブル,浪費等によって借金を増やした場合など,免責不許可事由に該当する事情がある場合には破産が認められないことがあります。もっとも,個人再生の場合には,免責不許可事由があっても認められますので,免責不許可事由に該当する方でも借金を整理することができます。

したがって,借金の金額を減らさないと完済はできないが,ローンを組んだ家は残したいという方,投資やギャンブル,浪費によって借金を増やしてしまったが,整理をしたいという方は個人再生が適していると考えられます。

個人再生をお考えの方は,弁護士にご相談ください。

個人再生に関する名古屋駅法律事務所のサイトはこちら

任意整理はどのような方に適しているか

今年のゴールデンウィークは,史上最大の10連でした。いかがお過ごしでしたでしょうか。

さて,先月のブログで借金の整理の方法は大きく分けて3つあるとのお話をさせていただきました。借金の整理をお考えの方にとって,自分はどの方針をとったらよいかわからないという方のために,それぞれの方針についてのメリットをご紹介したいと思います。

今回は任意整理についてお話します。

メリット① 家族に内緒で借金の整理ができる

借金問題は,家族や近しい友人などにも打ち明けにくいものだと思いますから,借金の整理についても誰にも知られずに終わらせたいという方もいらっしゃるのではないでしょうか。任意整理は,裁判所を通じた手続きではなく,弁護士と各貸金業者や銀行等(以下,「債権者」とします。)が個別に交渉し分割返済の約束をする手続きですから,家族にも知られずに行うことが可能です(もっとも,債権者が訴訟提起するなどした場合には,自宅に裁判所からの書面が届いてしまう場合があります。)。

メリット② 月々の返済金額や利息を減らすことができる

借金問題でお困りの場合,返済金額が多くて生活が回らない,毎月返済をしているがそのほとんどが利息に充てられてしまい元本がなかなか減らないというケースが多く見受けられます。任意整理では,借金の利息を免除(減額)してもらい,元本を長期間(目安としては3年~5年)で分割返済する合意を目指すことになります。したがって,任意整理によって月々の返済金額が減り,また利息が免除(減額)されることで完済までの見通しを立てることができます。

メリット③ 費用を安く抑えられる

個人再生や自己破産の場合,着手金だけで数十万円ほどかかりますが,任意整理では比較的費用を安く抑えることができます。なお,弁護士法人心の場合,着手金は1社当たり3万9800円+税,成功報酬金は0円です。

メリット④ 資料集めや書類作成の手間がない

個人再生や自己破産の場合,裁判所に提出しなければならない資料がたくさんあります。弁護士に依頼した場合でも,資料集めや家計の状況などについてはご自身で作成しなければならないものもあって手間がかかりますが,任意整理の場合にはそれらの負担がありません。

任意整理に要する期間についてはこちらをご覧ください。

来月は,個人再生のメリットについてご紹介したいと思います。