家事従事者の休業損害①

こんにちは。名古屋の弁護士の松岡聡司です。

今回は,家事従事者,いわゆる主婦の休業損害についてお話します。

事故によって傷害を負い,その通院等のために仕事を休んだ場合の収入の減少を損害ととらえて相手方に請求することができます。もっとも,主婦の場合,日常生活上の家事で収入は発生していませんから,家事を休んだとしても「収入の減少」はありません。しかし,主婦が交通事故に遭って受傷し,家事ができなくなってしまった場合に休業損害を認めた裁判例が多数ありますので,示談交渉においても主張していくべきでしょう。

では,主婦の休業損害はどのようにして計算されるのでしょうか。

①自賠責保険基準

自賠責保険基準では,家事への支障が認められる日数(通院日数が基準になる場合が多い)×5700円で計算されます。

②裁判基準

裁判基準では,賃金センサス(3月1日のブログにて取り上げました。)を基に一日当たりの基礎収入が算出され,事故前と比較して何パーセントくらい家事ができなかったかを掛け合わせて導かれます。

例えば,事故後10日間入院しその間は何も家事ができず,退院後20日間は事故前と比べて50パーセントくらいしか家事ができず,その後1カ月間は少しずつ症状が良くなり事故前と比べても30パーセントくらいの支障にとどまった,という場合でみると,「一日当たりの基礎収入×10日×100%+基礎収入×20日×50%+基礎収入×30日×30%」という計算に基づいて休業損害の金額が導かれます。

少し長くなってきたので,次回ももう少し家事従事者の休業損害についてお話ししようと思います。

専業主婦の基礎収入についてはこちらもご覧ください。