個人再生における清算価値①

小規模個人再生事件では、100万円、借金の金額の5分の1(※借金額が1500万円~3000万円以下の場合は300万円、3000万円を超え5000万円以下の場合は10分の1)、清算価値のうち最も高い金額まで借金が減額されます。

ここにいう清算価値とは、全財産に相当する金額のことを意味します。

では、清算価値にはどのようなものが含まれるのでしょうか。名古屋地方裁判所の運用をもとに説明します。

⑴ 現金、預貯金

現金、預貯金として持っている金額は、清算価値に含まれます。

⑵ 不動産

土地、建物等の不動産を持っている場合、その評価額が清算価値に含まれます。ただし、住宅ローンが残っていて、住宅を残しつつ個人再生を行う場合は、不動産の価値が住宅ローンの残額を上回っていた場合(いわゆるアンダーローンの場合)に、差額部分が清算価値に含まれます。他方で、住宅ローン残額の方が不動産の価格よりも多い場合(オーバーローンの場合)、不動産の価値はゼロと評価されます。

⑶ 保険解約返戻金

生命保険等の中には、解約する際に返戻金というお金が戻ってくるタイプの保険があります。このような保険に加入している場合、現時点で解約した際に支払われる返戻金の金額が清算価値に含まれます。

⑷ 自動車

自動車もその時価額が清算価値に含まれます。ただし、初年度登録から7年以上経過している国産車で、新車価格が300万円未満の車であれば、その価値はゼロと評価する運用がとられています。

⑸ 退職金

仮に現時点で退職したとしたら支払われるであろう退職金の金額も、清算価値に含まれます。ただし、現時点での退職金の金額の8分の1(※直近3年以内に定年退職が見込まれる場合には4分の1)の金額が、清算価値として計上される運用となっています。

このように、清算価値には様々なものが含まれます。次回は、清算価値の資料としてどのようなものを提出する必要があるか、その資料の集め方等も含めてお話ししていきたいと思います。