破産手続中の海外渡航許可について

1 破産手続中の居住地の移転許可

破産手続中は、破産者がその居住地を離れる場合、裁判所の許可を得る必要があります(破産法37条1項)。

この規定の趣旨は、破産者の逃亡や財産の隠匿の防止を図るとともに、破産者に説明義務を尽くさせることにあるとされています。

通常の引越しであれば、代理人弁護士を通じた許可申立てによって、破産管財人による業務遂行に支障がなく、円滑な破産手続の進行に問題ないとして、基本的に裁判所による許可がなされます。

 

2 海外への渡航の許可

行先、時期、期間等によっては、海外への渡航も許可されます。

また、許可の際に一定の条件が付される例もあります。

たとえば、東京高決平成27年3月5日判例タイムズ1421号119頁は、破産手続中の2か月間の海外旅行の許可申立てについて、海外渡航を始める3日前の債権者集会等に出頭することを条件として許可がなされたのに対し、破産者が無条件での許可を求めた事案です。

当該事案において、裁判所は、破産者に債権者集会等に出頭して説明を尽くす義務があることを前提として、破産者がこれまで1度も債権者集会に出頭していないことや破産手続開始後の過去の海外渡航状況に照らして、条件を付することに十分な合理性があり、また、条件を付することが破産者の居住・移転の自由を不当に制限するものということができないと示しました。