個人再生における退職金の扱い

1 個人再生における財産の扱い

個人再生においては、総債務額が一定額まで減額されます。

個人再生の手続を定める民事再生法では、所有する財産の評価額よりも低い額には減額できないとのルールが定められています。

財産として扱われるものには、第三者に対する権利も含まれます。

そして、勤務先から将来支払われる予定の退職金も、その一部は財産として扱われます。

 

2 退職金の扱われ方

しかし、定年まで年月を要すると、退職金が将来必ず支払われるかは不明です。

そこで、名古屋地方裁判所では、退職までの期間が3年を超える場合、仮に現在自己都合で退職した場合に支払われるであろう退職金の8分の1相当額が財産として評価されます。

退職までの期間が3年以内の場合は、退職金の支払いが相当程度確実であることから、仮に現在自己都合で退職した場合に支払われるであろう退職金の4分の1相当額が財産として評価されます。

 

3 年金で受け取る場合

なお、最近は、退職金を一時金でなく年金で受け取るように定めた企業も多いです。

確定給付企業年金(DB)、企業型確定拠出年金(DC)を受給する権利は、それぞれの権利を定める法律によって差押えが禁止されているため、個人再生における財産としては評価しない運用となっています。