穀雨

4月20日頃からのことを、二十四節気では「穀雨」というそうです。

この季節に降る雨は、これから穀物を育てるための大切な恵みの雨になることから、このような表現をするそうです。

たしかに、地域によって時期に違いはあるものの、5月前後から田植えが本格化する時期になりますが、田んぼの水張りをしようという季節に、水不足ではこまりますから、「穀雨」という表現で雨水を大切にするのも頷けます。

ちなみに、雨水の活用について「雨水の利用の推進に関する法律について」という法律が作られていることは、以前、このブログで言及したことがありますが、雨水をそのまま田畑に散布するだけで穀物を育てるのではなく、田んぼに水張をするときの水源は、通常は河川かため池のどちらかが一般的であると思います。

こういった水源の管理にも法律によるルール作りが行われています。

このうち、ため池については、「農業用ため池の管理及び保全に関する法律」という名称の法律が作られています。

第1条の趣旨規定では「この法律は、農業用ため池について、その適正な管理及び保全に必要な措置を講ずることにより、農業用水の確保を図るとともに、農業用ため池の決壊による水害その他の災害から国民の生命及び財産を保護し、もって農業の持続的な発展と国土の保全に資することを目的とする。」と記載されており、特に、決壊による水害その他の災害防止というところが協調されているのが印象的です。

たしかに、耕作放棄地などの問題を耳にすることがありますが、ため池が管理されずに放置されて決壊すれば大きな水害になりますので、管理に関するルール作りが重要なのはよく理解できます。

私個人の経験としては、弁護士として仕事をしてきて、「ため池」が関連する事件に触れたことは、今までありませんでしたが、おそらく農地関連の相続などを扱っている方は、相続財産を調べるなかに「ため池」が含まれている案件に触れることもあるのではないでしょうか。

不動産登記の地目にも、「ため池」という項目があるので、地域によっては「ため池」が相続財産に含まれることも珍しいことではないのではないかと思います。

そういったことを考えていると、ため池が、日本にどのくらいあるのかや、だれが所有者になっているのだろうかが気になってきて、調べてみました。

ちょうど「全国ため池等整備事業推進協議会」という組織が「『農業用ため池』の基礎情報」という資料で、情報をまとめて公開しているのを見つけました。

この全国ため池等整備事業推進協議会という組織は、戦前から名称を変えながら続く団体で、水利の改良等に携わっていた組織だそうです。

こういったことを調べていて思うのが、自分が知らないだけで、どんな分野にも専門家や専門的に情報を集約している組織が存在していて、日本の社会はすごいなと感じます。

提供されていた情報によると、全国には約15万ほどのため池が存在しているようです。

ちなみに、一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会の統計によると、日本全国のコンビニエンスストアの店舗数が2026年2月現在で約5万6000店舗のようですので、日本にはコンビニエンスストアの約3倍の農業用ため池がある計算になります。

西日本にため池が多いとのことで、そういえば弘法大師が満濃池を開いたとか、香川県は雨がすくないのでため池が多いとか、小学校の社会科で学んだ知識を思い起こしていたのですが、実は、日本で一番農業用ため池が多いのは兵庫県だそうです。

2位が広島県、3位が香川県となっており、いずれにしても瀬戸内海に面したエリアの機構が特にため池への需要を大きくしているようでした。

所有者については、約半数が集落または個人の所有となっており、約3割が地方自治体の所有だそうですが、15%程度は所有者不明になっているそうです。

約15万個のため池の15%とすると、2万以上が所有者不明という計算です。

ちなみに、国土交通省の「駅周辺における放置自転車等の実態調査の集計結果」という資料によると、全国の駅周辺における自転車の放置台数は約
2.0 万台だそうです。

普段、駅周りを歩いていて見かける放置自転車と同じぐらいの件数のため池が、所有者不明になっているというのは、なかなかすごい件数だなと思います。

ちなみに、日本で最大のため池は、香川県の満濃池だそうですが、現存する最古のため池は大阪府の狭山池で、飛鳥時代に造られたため池が、改修を繰り返しながら現在も使用されているそうです。

大阪に住んでいながら、知りませんでした。

法隆寺が建立されたのと同じころにできた、ため池が、いまだに現役で稼働しているというのは歴史ロマンを超えて、感動を覚えます。