1 個人再生は債務総額が5000万円を超えると利用できない
個人再生を利用するには、基本的には住宅ローン以外の債務が合計5000万円以下である必要があります。
すなわち、小規模個人再生の利用要件として、民事再生法221条1項は、個人である債務者のうち、将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがあり、かつ、再生債権の総額(住宅資金貸付債権の額、別除権の行使によって弁済を受けることができると見込まれる再生債権の額及び再生手続開始前の罰金等の額を除く。)が5000万円を超えない者は、小規模個人再生を行うことができる、と定めています。
再生債権の総額に関する要件は、給与所得再生でも同様です(民事再生法239条1項)。
2 5000万円要件から除外される債権
再生債権は、個人再生の手続開始決定前に発生した債権を指します。
このうち、5000万円の要件から外すことができる債権が定められています。
①住宅資金貸付債権、②別除権の行使によって弁済を受けることができる見込まれる債権、③再生手続開始前の罰金等です。
⑴ 住宅資金貸付債権
住宅資金貸付債権とは、住宅の建設若しくは購入に必要な資金又は住宅の改良に必要な資金の菓子受けに係る分割払いの定めのある再生債権であって、当該債権等を担保するための抵当権が住宅に設定されているものをいいます(民事再生法196条3号)。
具体的には、自宅不動産の住宅ローンで、自宅に抵当権がついているものです。
⑵ 別除権の行使によって弁済を受けることができると見込まれる債権
住宅ローンでなくとも、不動産に抵当権を設定してローンを組むこともあるでしょう。
その場合のローンは、抵当権が実行されれば、不動産の売却額(の一部)から(少なくとも一部の)返済を受けます。
たとえば、5500万円の借金をする際に不動産に抵当権を設定し、かつ、その借金以外に当該不動産に抵当権等の担保権が設定されていないとき、その抵当権が実行されれば4000万円で売却される見込みであれば、4000万円が別除権の行使によって弁済を受けることが見込まれる債権です。
3 個人再生の利用をお悩みの方へ
個人再生の利用には一定の条件が存在します。
場合によっては、自分が個人再生を利用できる状態なのか分からないケースがあると思います。
専門的な判断が必要となることが多いので、個人再生の利用をお悩みの方は、お早めに弁護士にご相談ください。