弁護士の仕事と日本語文法について

弁護士の仕事は,とにかくたくさんの「言葉」を使う仕事です。

顧客から事実関係を聴き取るときも,裁判所に提出する書面を書くときも,事務所内で同僚弁護士と事件の処理方針を議論するときも,

毎日,膨大な量の音声又は活字で「言葉」を使います。

その際,いちいち細かな日本語の文法などは意識しません。自然と,口をついてくる表現を言葉にしていきます。

そして,私は生まれも育ちも日本ですので,基本的には日本語の文法に従って話したり書いたりすることができます。

たいていの場合,日本語の文法で迷うことはありません。

しかし,普段はあんまり使わないけれども,誰かが使っていることは聞いたことがある表現については,

自分が使いたいと思った文脈で本当に使っていいのか,不安になるときもあります。

たとえば,「~されたし。」または「~されたい。」という表現があります。私は,裁判書面などで,参照して欲しい箇所を適示する際に,「~については,甲〇号証第〇頁〇行目を参照されたい。」などと書いたりすることがあるのですが,この表現は,弁護士になりたての頃に先輩弁護士が使っているのを見て,格好いい表現だなと思って真似して使うようになったもので,文法的に正しいのかどうかなどあまり深く考えたことはありませんでした。

ただ,ふと考えてみると,ここに登場する「されたい」は,「愛されたい」,「信頼されたい」,あるいは,「お前,殺されたいのか!?」といった文脈で使う「されたい」とは意味が違うはずです。

後者の例は,受け身表現ですが,前者は尊敬の意志をもって相手に何らかの行動を促す意図で使います。

ただ,言葉としては同じ「されたい」ですので,この違いは文法的にどうやって説明したらいいのだろうか,ひょっとしたら,自分の使い方は間違っていなかっただろうかと不安になりました。

しっかり調べてみると,「参照されたい」というときの「されたい」は,「参照する」の「する」という動詞部分が,未然形の「さ」に活用され,そこに助動詞「れる」の未然形の「れ」,願望の助動詞「たい」の終止形「たい」がついたということのようです。

未然形とか,学校で昔ならったなと懐かしく思いつつ,ひとまず「参照されたい」という言葉遣いが間違いではないようだったので安心しました。

ただ,結局のところ助動詞「れる」には,受身・可能・自発・尊敬のすべての意味があるそうなので,「~されたい」という文章は,そこだけをみても,意味を特定できないのだとわかりました。なかなか,あらためて文法的に自分の使っている日本語を省みてみると,まるで,外国語のような難しさを感じます。

ところで,話は変わりますが,弁護士法人心の支店として,新たに四日市法律事務所を開設することとなりました。

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これからも,できるかぎり皆様にとって身近な法律事務所となるよう励んで参りたいと思います。

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