自己破産に対する誤解

弁護士として,できるだけ自己破産をしたくない方のご相談をお受けすることも多いですが,その理由を聞いてみると,自己破産手続について誤解をしているケースが少なくありません。

1 基本的に会社や親戚に知られることはありません。

自己破産をしても,戸籍や住民票に破産の事実が記載されることはありません。

また,政府が発行する「官報」に氏名が載りますが,一般の人が官報を目にすることはめったにありません。

したがいまして,滞納が続いて給料の差押えがなされたり,親戚と同居していたりする場合でなければ,会社や親戚に自己破産を知られる可能性は低いです。

2 必ず仕事をやめないといけないわけではありません。

自己破産をすると,手続きをしている間は,警備員や生命保険募集人等の一定の資格・職業に就くことが制限されます。

しかし,制限があるのは手続中のみですし,そのような資格・職業に就いていたり就く予定があったりするわけでなければ,自己破産による影響はありません。

3 選挙権はなくなりません。

自己破産をしても選挙権が制限されることはありません。

4 破産手続き終了後は,海外旅行の制限はありません。

自己破産の手続中は,転居や宿泊を伴う出張をするには裁判所の許可を得る必要があり,海外旅行の許可がなされないことも多いです。

しかし,上記の許可が必要なのは自己破産の手続中だけですし,自己破産をしてもパスポートに制限が加えられるわけではありませんので,自己破産の手続きが終了した後は海外旅行をすることができます。

会社の破産につきましては,こちらもご覧ください。