破産と居住制限

破産すると,裁判所の許可なしに引越しできないと説明されることがあります。

すなわち,破産手続中,破産者はその申立てにより裁判所の許可を得なければ,その居住地を離れることができません(破産法37条1項)。

これは破産者の説明義務などを尽くさせるため,裁判所が破産者の所在を把握することを趣旨とするものです(伊藤眞『破産法・民事再生法[第4版]』(2018年,有斐閣))。

一時的な外出は,居住地から「離れる」ことに該当しません。

一般的には2泊以上の宿泊を含む旅行がこれにあたり,海外については1泊でもあたると解されています。

破産を依頼するとき,又は,破産の申立ての前後に,弁護士から旅行や出張をする場合は事前の連絡を入れるよう伝えられることがありますが,これは裁判所の許可を得るための申立てに必要となるのです。

裁判所が破産者の所在を把握することが趣旨ですから,居住地を離れる目的と許可の申立てが必要であることに関係はありません。

したがいまして,旅行とは観光目的に限らず,別居する家族の看病を目的とする場合等も含まれます。

通常,破産管財人の同意を得て,裁判所に上申し,破産手続の進行に支障がないと認められれば,許可されます。

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